黎明の風
2008年6月27日13:40:00
黎明の風
仕事でもプライベートでも、「趣味は?」と聞かれることが、皆様もよくおありのことと思います。
私事で恐縮ですが、私の趣味の一つは「宝塚歌劇鑑賞」。
長年、宝塚歌劇が好きだった妻に誘われたのが、そもそものきっかけ。
その後、兵庫県宝塚市にある本場の宝塚劇場まで、家族揃って見に行ったこともあるくらいです。
見始めて10年強くらいになりますが、ミュージカルには史実に基づく公演なども多く、歴史の勉強にもなります。
先月、娘と一緒に出かけた公演タイトルは、『黎明の風』。
終戦直後、外務大臣に就任した吉田茂の懐刀として、GHQに対しても一歩もひるむことなく、日本の戦後復興・講和条約締結に尽力した白洲次郎の物語。
激動の終戦直後を、まさに黎明の風の如く生き抜いたことから付けられたタイトルです。
忘れてはならない日本の大切な歴史を、宝塚に属する若いタカラジェンヌが猛勉強し、白洲次郎を、吉田茂を、そしてダグラス・マッカーサーを――すべて女性が演じきる姿は、趣味の部分を差し引いても“圧巻”です。
マッカーサー率いるGHQに対して、直言することが憚られたような時代に、『我々は戦争に負けたのであって、奴隷になった訳ではない!』と正面から正論を言い切る白洲。
サンフランシスコ講和会議には、全権団顧問として乗り込む。
原案が、英語で書かれていた吉田茂首相の講和受諾演説原稿を、「独立を果たすからには、日本語で演説すべき!」と一喝。
一晩で日本語に書き直し、国としての姿勢を貫く白洲。
GHQをして、『従順ならざる唯一の日本人』と言わしめたのが、まさに白洲次郎でした。
それから57年。今日6月26日、外交のトップニュースは、「米政府、北朝鮮のテロ指定国家解除手続き開始」。
拉致問題の解決に向けたてこを失うのでは、との記者団の質問に対して、日本の立場や外交戦略を語るわけでもなく、「予定された行動」と平静を装うだけの政府首脳。
拉致という最たる主権侵害に対して、国の立場を貫き通せない日本。
先人の努力に恥じない行動をして欲しいと願うばかりです。
平成20年(2008年)6月