『日本人』に生まれた感銘そして感謝
2008年7月31日11:04:00
『日本人』に生まれた感銘そして感謝
6月末に、伊勢神宮に研修に参りました。そこで今月号では、税務会計とは直接的には関係ありませんが、伊勢神宮で感じた率直な思いについてレポートさせて頂いた次第です。
宿泊・研修会場は、明治39(1906)年創設の財団法人修養団・伊勢道場。創始期には渋沢栄一翁が物心両面から応援した、由緒歴史ある社会教育団体です。
青少年研修センターとしても、全国から広く研修やセミナーを受け入れていますので、次代の子供達にも是非とも参加させたい施設です。
五十鈴川での水行の翌朝は、快晴。伊勢神宮内宮前にある修養団から総勢30名以上が、宇治橋を渡り内宮に入ります。
御垣内の中での特別参拝では、玉砂利に膝をつけて座った姿勢での二礼二拍一礼。先頭には、政経塾時代からの恩師・上甲元塾頭。以前「我が家では毎朝、神仏へのお供えを続け、子供達とともに欠かさずお祈りしています。」とこれ見よがしに報告した時、「本当の祈りとは、『他人のために祈ることだ!』」と一喝されたことを思い出しながら、後に続きました。
20年来の先輩・同志の背中、横顔を見ながら、「本当に、国民が他人のために祈り続けることができたなら、この国は必ず良くなる」と無言で心を交わした、静寂のひと時でした。
志摩半島の付け根に位置する、人口約13万人の三重県・伊勢市。この地で、7世紀末の天武・持統天皇時代から続く式年遷宮。
二十年に一度のこの行事が、1300年にも亘り厳格に受け継がれてきたことは、諸外国から見ればひとつの「奇跡」にも映ると思うのです。
時の速さに押し流されそうになる今を生きる私達にとっても、まさに「奇跡」です。
豊受大神宮では、外宮の鎮座以来1500年もの間、朝夕の一日二回、飯三盛、鰹節、鯛、海草、野菜、果物、御塩、御水、御酒三献と定められた食事が、一日も絶えることなく供えられ続けています。
1500年前は、日本人は一日二食だったことを、今でもそのまま引き継いでいるのです。毎日の献立や、出仕した毎日5名の神官の名前まで記録されている事実にも、驚くばかりです。
お供えの後、「国民が今日一日、食べることに困らないように」との祈りを込めた祝詞奏上も、1500年間続けられている――日本人であることに感銘と感謝を覚えたひと時でもありました。
平成20年(2008年)7月