TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

『辛抱』→『心棒』→『信望』

14.05.30
【バックナンバー】山崎泰の月刊メッセージ(2014年5月まで)

2009年9月30日17:12:00

『辛抱』→『心棒』→『信望』

 私ども会計事務所業界のリクルーティングは、一般企業とは少し異なり、8月上旬の税理士試験を終えた後、お盆明けから9月くらいまでが、一つの大きなピークを迎えます。

 当事務所でも、今年も例年同様に8月に募集・採用面接。大企業でもないので、当事務所規模の毎年の募集人数は、2~3名規模の若干名。
 その募集人数に、今年はなんと70名以上の応募があったのです。
 
事務所内でも、あまりの応募人数の多さに緊急ミーティング。
理由として考えられるのは、
 ①急激な雇用情勢の悪化、
 ②当事務所の人気が急上昇

---どう考えても、私どもの事務所の人気が一年間でそこまで急上昇するとは考えられず、やはり雇用情勢が相当悪化している実態を、事務所スタッフ一同まざまざと実感した次第。

私の方針として、少なくとも数ある会計事務所の中から私どもの事務所に応募して頂いた以上、出来うる限り書類選考だけでなく一次面接まではするように、との指示を採用担当者に出しました。

しかしながら、指示された担当者は、他の日常業務も抱えているため、たまったものではない様子。
応募者の性別、年齢、経験などに応じて、面接官として事務所スタッフを割り振り、懸命に対応してくれました。

もう一つ、さらなる指示。
採用できなかった60数名の応募者の皆さん全員に、結果通知書とともに「職業会計人を目指す後進の皆さんへ」メッセージを送付すること。
もちろん、メッセージ自体は、最終責任者である私が書きました。

仕事と勉強との両立に行き詰ってしまった時には、今回の採用結果に拘らずいつでも相談に来て欲しい旨、未経験ゆえに不採用になってしまった方には経験を積んだ上で再チャレンジして欲しい旨、当事務所の月刊メルマガを見ながら、最新の社会情勢にも気を配って欲しい旨、そして何よりも私どもは応募して頂いた“縁”を大切にする事務所であり続けたい旨等々の内容です。


さらにさらに、人材教育に関して、一話。

私どもの事務所では、私の政経塾時代の上甲晃塾長が率いる青年塾に、心ある社員を研修に派遣しています。
当グループでは、各部門はそれぞれ独立採算制を厳しく求めます。

しかしながら、その独立採算制に追い付ききれない部門があるのも事実。
そのうちの一部門長を育てたいと、青年塾に研修派遣したものの、なかなか思うように実績が上がらず、上甲塾長に相談しようということになり、私も同席した折の一コマ。


 松下幸之助翁は、政経塾の最終面接で、こう語った。

「君は、5年間『辛抱』できるか!」

 私の在塾時にはまだ5年間の全寮制で、まさに5年間辛抱できるかどうかが正念場。

「5年間辛抱できれば、心に支柱、『心棒』ができる。」

「『心棒』ができれば、『信望』が集まる。信用と人望や。」



 青年塾に派遣している部門長が、上甲塾長から指導を受けている姿を見ながら、私もそのコメントをメモしてきた次第です。

 毎秋、他の事務所スタッフも参加する、入所間もない新入社員教育研修を、私が担当しています。
 当事務所の新入社員も参加した、今年の研修でも私が強調したのが、まさに「『辛抱』できまっか?」の一言でした。

 我々の歩んで来た『道のり』を、今から新たなる希望を持って歩もうとしている新しい人財―心ある「後進」を責任もって育て上げていくのが、我々「先達」の使命であると、改めて認識している次第です。 

平成21年(2009年)9月