『霜に打たれた柿の味、辛苦に耐えた人の味』
2009年11月30日18:48:00
『霜に打たれた柿の味、辛苦に耐えた人の味』
忘れられない故人の生誕の日―皆様も、それぞれ心に刻まれている日がおありのことと思います。
私の場合は、5月31日と11月27日。
5月31日は、1926年(大正15年)、亡父の生まれた日です。
亡父の次に心に刻んでいるのが、11月27日。松下幸之助翁の生誕日です。
1894年(明治27年)11月27日、和歌山県海草郡和佐村先旦ノ木(現・和歌山県和歌山市禰宜)に、松下政楠・とく枝夫妻の三男として生まれた日です。
政経塾時代の関西方面在住の同期生が呼びかけ人となって、毎年11月27日に、幸之助翁の墓参りに和歌山県まで行く卒塾生も多くいます。
その夜、皆様にこの月刊メッセージを書きながら、所長室の机のすぐ横に目をやると、『道をひらく』と題した幸之助翁の「日々のことば」が目に入りました。
27日の「日々のことば」には、こうあります。
『平凡が非凡に通ず』
問い合わせを受ければ、速やかに回答する。
命じられた仕事が終われば、命じた人に報告する。
仕事に大切なのは、こうした些細、平凡と思われることをおろそかにしない心がけ。
些細なこと、平凡なことの積み重ねが、ついには非凡な仕事さえなし遂げるのである。
その幸之助翁の「日々のことば」の横に掲げて、毎日心に刻んでいるのが、鍵山秀三郎さんの「凡事徹底」集です。
政経塾時代の研修で、20代の身には、もっとも有難味がわからなかった研修。できればサボりたいとさえ思っていた研修。朝が苦手の私にとって、それは早朝の掃除でした。
しかし、政経塾卒塾後も、掃除の大切さを教えて頂き、今では時に早朝の街頭清掃活動にも一緒に参加させて頂き、まさに掃除を通じた『凡事徹底(平凡なことも徹底して続ければ、非凡に通ずる)』の生き方を教えて頂いた方です。
まさに幸之助翁のことばを受けるように、27日にはこう記されています。
『霜に打たれた柿の味、辛苦に耐えた人の味』
厳しい霜にさらされた渋柿は、色も味も良くなるように、苦労を重ねて生きてきた人には、人を惹きつける魅力があります。人間の魅力は、苦労してはじめて身に備わるものです。
この言葉に最初にふれた時―人生の中でのいろいろな挫折、人に言えない様々な苦労、やり直したいと思えるような経験等々、すべての辛苦を乗り超える勇気を与えてもらったような感動で身ぶるいしたのを覚えています。
いつか、自身も忘れることのできない故人になれるような魅力ある人生を生き抜きたいものです。
平成21年(2009年)11月 |