『首長連合新党』と『民主党』---今月のメッセージ(4月号)
2010年4月10日15:41:00
『首長連合新党』と『民主党』
桜咲く4月、春の訪れに心も湧く日々です。
先日、ある雑誌の対談取材で松山に出かけました。丁度、松山城も桜が満開で、温暖な気候とともにそこに住む皆さんの温厚な雰囲気に、すっかり虜になってしまいました。
対談相手は、中村時広・松山市長。様々な改革実績を残してきたことでも有名で、首長連合のメンバーでもあります。
まず松山に行くと、路面電車やロープウェイなど、様々な所で「ことば」に出会います。
正岡子規や夏目漱石を生んだ松山らしい、かつお金がかからない事業として、「21世紀に残したいことば集」を市民から募集、その入選作を市内各地に掲げているとのこと。
ここから生まれたのが、「この街で」というCD。市長室に掲げてあった入選作品のことばに、新井満さんが感銘して、すぐに作曲、CD作成・販売にまで至ったそうです。
実は、私も生まれてはじめて買ったCDが、この曲。
この街で 恋し この街で 結ばれ
この街で お母さんに なりました
この街で いつか おばあちゃんに なりたい
おじいちゃんに なったあなたと 歩いて ゆきたい …
と続く歌は、ふるさとを愛する者にはジーンときます。
様々な政策のベースとして、これまで力をいれて取り組んできたのは、職員の意識改革による役所の基礎体力の向上。
①「何故できないか」から「どうすればできるか」へ
②「やってあげる」から「やらせて頂く、一緒にやる」へ
③「自治体に倒産はない」から「自治体に倒産はありうる」へ
④「情報に振り回される」から「情報を活用する」へ
⑤「失敗を隠す」から「失敗を報告する」へ
職員の意識改革、そして役所の基礎体力を増すことで、新しい政策立案・実行に次々と取り組んできた実績を、雑誌出版の折には、是非ともご覧いただければと思います。
首長連合に関連して、本日4月10日発売の文芸春秋に、「『首長決起』地方からの叛乱」と題する記事が掲載されました。
山田宏・杉並区長、中田宏・前横浜市長、齋藤弘・前山形県知事によるものです。
日本の将来の国家財政を心配し、国家百年の大計としての無税国家論も掲げ、その実現のためにも志ある政治家をつくらなれば、と松下幸之助翁が松下政経塾を創設したのが昭和54年。爾来、30年以上が経ちました。
しかしながら、税収37兆円に対して、新規国債発行額が過去最大の44兆円に上るという状況。戦後、どれほど景気が悪くとも、当初予算の段階で借金が税収を上回ったことなど、ただの一度もありません。あまりにも幸之助翁が目指した国家像とは正反対になってしまっている現状。
昨今の子ども手当、高校授業料無償化、消費税論議などに関する世論調査を見ても、財政破綻を心配する良識ある国民の意識が、かなり変わってきているように思うのです。
そんななか、依存競争に走りかけてしまっている今の政治を転換して、依存から自立へと舵を切ることの意義、そして爪に火をともすような改革を積み上げてきた首長がその先陣として立ち上がろうとする決意には、心から賛同します。
私自身、民主党や首長連合に関連する様々な団体の税制顧問を務めてきました。山田宏・中田宏・中村時広氏が、原口一博総務大臣が所管する総務省の顧問を務めてきたことからも、目指すべき地方主権の方向性にも共通する点が多いと思うのです。民主党に属する国会議員の仲間と話しても、財政規律を心配する声ばかりです。
船底に穴が開いて、このまま進めば沈んでしまうかもしれない「日本丸」。その穴に気づかずに、気づかぬ振りをして、デッキにあるレストランで、美味しい食事を注文し続ける。そして、支払いは税金で---。
よもやこんな事態にならないように、既存の垣根を超えたオールジャパンで、借金という船の水をかき出すときです。
平成22年(2010年)4月 |