参院選直前に思う!福祉と税---今月のメッセージ(6月号)
2010年6月22日02:39:00
参院選直前に思う!『福祉と税』
手許に、一冊の本があります。
1977年1月、松下幸之助翁が著された「私の夢・日本の夢 21世紀の日本」。そこには、経済危機を克服し、理想的な国家となった日本の姿が描かれています。
当時からしてみれば、近未来小説。
その設定が、まさに2010年4月になっているのです。
「かつて日本政府も、予算が組めるかどうかわからない状態に追い込まれた。行政コストの削減だけでは賄い切れずに、増税や赤字国債を実施しかけたが---実は反対に、大減税を行った。」
この点、確かにかつてのケネディ大統領が、不況で赤字財政にもかかわらず、法人税、個人所得税の一律3割削減を行って米国経済の復活させたことは有名です。
「アメリカには、減税によって政府が財政赤字になっても、その結果国民活動が盛んになり、それ以上に国民の収入が増えれば、国全体としては差し引きプラス、政府の税収増加となって返ってくるという発想がある。政府と国民が一体という点で、いい意味で、民主主義が非常に徹底している。」
古い話ですが、かつて日本でも、仁徳天皇が高台に登って、街の様子を見たところ、人々の家のかまどから煙が立っていない。国民が窮乏して炊事も十分にできないからだろう、と税金と用役を3年間、一切免除したという話は有名です。
「財政赤字の折に減税をすると、当面は財政に大きな穴があく。日本がそのために行ったことは二つ。一つは、政府、地方自治体問わず、財政支出の徹底削減。政治や行政のあり方を根本から洗い直して、半分の費用でもっといい政治が出来ないかということを考えて断行した。もう一つは、先行投資的国債の発行。」
6月24日、参議院議員選挙がスタートします。
民主党も自民党も、消費費率10%引き上げに舵を切ったようです。税収37兆円、新規国債発行額44兆円。年間20兆円超の社会保障費は、高齢化の進行で毎年1兆円ずつ増えていく構図。増税分は、高齢者福祉にあてると首相も明言。
確かに消費税率を1%引き上げると、税収は2.4兆円増。10%にすれば12兆円になる計算で、魅力的な財源です。
しかし、この点についても松下幸之助翁は語っています。
「長寿国家になればなるほど、福祉を充実せねばならない。福祉の充実は、半分は公平に政府が国民から税を徴収して強制的にやる。半分は、自分の子どもが親に孝養を尽くすという意味で直接福祉を与える。」
「そういう二本の道をとらんといかん。」
「古来あるところの、子どもは親を大切にするという絆を政府が断ち切って、福祉は国がやってやる、その代わり税金を出せ、そのような状況に追い込んでいるのが今日の政治。」
「これは、国民の精神文化、情操の涵養、そういう最も好ましい良風美俗というものを根本から破壊する、非常に間違った考え方やという感じがしてならない。」
実は私自身、今回の参院選出馬の打診を複数筋から受けました。
しかしながら、長年にわたって首長連合とともに歩んできた一人として、まずは地方自治体の減税実現という思いが強く、改革派の首長とともに『自治体改革』の道を選びました。
現内閣にも野田佳彦・財務大臣、玄葉光一郎・公務員改革担当大臣、そして減税自治体の実績を掲げて日本創新党を結党した山田宏・前杉並区長はじめ、松下幸之助翁の思いを共有する同
志が、まさに『福祉と税』論争の中核におられます。
夢のようにも思える遠大な理想に向かって、立場は違えど実現に一歩でも近づけていくことの使命を感じています。
平成22年(2010年)6月 |