新年を迎えて―『辛卯』から『壬辰』に(1月号)
2012年1月1日00:00:00
◆『辛卯』から『壬辰』に
新年、明けましておめでとうございます。
ちょうど一年前、『辛卯』についてこんなご紹介をしました。
『辛』は、動物を解体する時に用いる鋭い刃物の象形文字。
永年積もった難問や古い組織を、手際よく解体すべき年。
『卯』は、タテ2本は門柱、ヨコのふくらみは門扉。「冒」の意味もあり、前にいばらが茂って、どうしようもない状態。
『辛卯』は、混乱が激しく、主「宰」力のあるリーダーが鋭く解決しないと、『壬辰』はさらに難しい年になる。
まさに、『辛卯』の年に東日本大震災が起き、日本が大きく混乱。一国のリーダーシップ如何が、国民の命をも左右することを実感する一年になろうとは…。
さて、『壬辰』はどのような年でしょうか。
真ん中の横「一」が、一番長いつくり。人間の身体でいえば、腹がふくれている様子。女性でいえば懐妊している状態。
『辛卯』までに起きた問題を解決しないまま、節分が明けて『壬辰』を迎えてしまうと、これまでの問題が大きくはらんでしまう。
解決しにくくなってしまう年。
個人、家庭、会社、地域などで抱えている様々な課題…。
頭の中で、そして心の中で思い浮かぶことも多いと思います。日本という国をとってみても、同じことがいえるでしょう。
まずは年初、節分までの一ヶ月の日々を、課題解決を先送りしないよう、大事に過ごしていきたいものです。
◆「感謝のつどい」を開催
先月、当グループが平素よりお世話になっております顧問先様にご案内申し上げた「感謝の集い」を開催いたしました。
ご参加いただきました皆様はじめ、多くの皆様にご理解・ご協力いただきましたことに、心より厚く御礼申し上げます。
特別講演会には、今まさにベストセラー作家の佐々木常夫先生にお越しいただきました。
是非とも、大切な顧問先様と一緒に佐々木先生のお話を伺ってみたい、と思っていただけに、感動のひと時でした。
◆タイトルは『私は仕事も家族も決してあきらめない!』
佐々木先生から事前にいただいたパワーポイントの資料を見たとき、思わずグッとこみ上げてくるものがありました。
奥様、ご息子、お嬢様、これまでの生い立ちが写真とともに、赤裸々に紹介されているのです。
普通は写真だけでも嫌だろうに、生い立ちから病名、自殺未遂の場面まで、ここまで包み隠さず明らかにすることを、許されるご家族とは…。
我が家であれば、写真だけでも大騒動になりそうです。
佐々木先生の著書の最後に記されている経歴は、私がいくら説明をしても説明しきれないくらい、はるかにリアル。
最初に出版社から頼まれて、ビッグツリーという本の原稿を書き終えた時、家族に見せました。
家族みんなが原稿をすべて読み終えた後…「出版しよう」ということになったのです。
◆自閉症のご子息、うつ病の奥様を守り抜いて
自閉症のご子息、うつ病の奥様の心と命を守り抜いた人生の軌跡。
自閉症のご子息は、集団生活に馴染めず、幼稚園も早々に退園。
小中学校でも学校に馴染めず、不登校。
高校時代は、幻聴が聞こえ出して混乱。
二十歳になっても幻聴がひどく、時々暴れる。
単身赴任先の大阪から、ご子息が一週間に読んだ話をじっと聞くべく、週末に横浜に帰る日々。
まさにその時々の様子を表すご子息の写真が、包み隠さず講演に出てくるのです。
思わず、聴衆全員が言葉を呑み込み、まさに佐々木ファミリーの生き様に引き込まれていくかのようでした。
奥様も、自身が自閉症の子を産んでしまったことも遠因となり、うつ病で3回の自殺未遂。なんと7年間で40回の入院。
◆家庭の事情をオープンにせざるを得なくなって
実は、私は長い間、会社ではごく限られた人にしか、家庭の事情を話していませんでした。
恥ずかしくもあり、仕事上で不利になることも心配でした。孤軍奮闘でした。
平日は、大阪で単身赴任。毎週金曜の夜、横浜に飛んで帰り、息子と一緒に自宅に戻ります。
土曜日は家族と一緒に過ごしますが、日曜日には息子を連れて、彼のアパートに行き、一週間分の家事。そして、月曜日の朝一番の新幹線で大阪に戻るという生活でした。
さすがに、きつかったですね。
そして妻の自殺未遂をきっかけに、いよいよすべてをオープンにせざるを得なくなったのです。
うつ病の妻は、いつも「死にたい」と言っていました。
だから職場には事情を話して、病院や家族から連絡があった時には、会議中であっても必ず連絡をしてくれるようにお願いすることにしたのです。
私にとっては、とても勇気のいることでした。
だから、ひとりで悩みを抱え込まないで。
何か問題を抱えた時は、できるだけそのことをオープンに。
日頃から信頼関係を築いていれば、周りはきっと手を差し伸べてくれるはず。そして、周りの人との絆ももっと深めることができるはず。
佐々木先生の言葉は、なんともいえない重い説得力をもって、心に響いてきます。
◆『働く君に贈る25の言葉』
奥様が最初に入院し始めた頃、お子さんは中2・小6・小5。
5時半起床、3人分の食事と弁当。そして18時退社。土曜日は病院に見舞い、日曜日は一週間分の家事。
この苦境が、仕事も家事も、すべて計画的かつ戦略的にこなさなければならなくなった原点、と佐々木先生は語ります。
私にも年子の子供がいますが、5時半起きで毎朝弁当づくり…一週間で倒れそうで、なんとも情けない限りです。
そんな佐々木先生が、講演レジュメの最後に披瀝していただいた『働く君に贈る25の言葉』を記して、新年の皆様へのメッセージとさせていただきたいと思います。
皆様の人生にとって、大切な一年となりますように。
「目の前の仕事」に真剣になりなさい 欲を持ちなさい 欲が磨かれて志になる 強くなければ仕事はできない 優しくなければ幸せにはなれない 君は人生の主人公だ 何ものにもその座を譲ってはならない 自分を偽らず素のままに生きなさい 逆風の場こそ君を鍛えてくれる 信頼こそ最大の援軍 人は自分を磨くために働く 「それでもなお」という言葉が君を磨き上げてくれる 人を愛しなさい それが自分を大切にすることです 運命を引き受けなさい それが生きるということです |
2012年(平成24年)元旦