TFSコンサルティンググループ/TFS国際税理士法人 理事長 山崎 泰

『事務所に中学生がやって来た! 『職場訪問』と『建国記念の日』』(3月号)

14.05.30
【バックナンバー】山崎泰の月刊メッセージ(2014年5月まで)

2012年3月6日18:41:00

■「税を考える週間」がきっかけ

 そもそものきっかけは、「税を考える週間」の一環として、昨年11月に行った区内中学校への下敷き配布。 
 私の所属する法人会では、“税金の使いみち”を分かりやすいテーマに落とし込んだ下敷きを毎年作成し、区内の中学校を訪問して配布するという活動を、長年にわたって続けています。

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■ 下敷き配布、スタート

 昨年は11月14日(月)午前10時、税務署長室に集合して、下敷き配布スタート。
 自動車を出す担当になっていた私は、事務所の全体ミーティングを早々に切り上げて、車に飛び乗って税務署に。 
 経営者にとっては一番忙しい、月曜日の午前中の時間帯に税務署集合??
 その後、下敷き配布???…

 やはり、公務員と民間人はだいぶ感覚が違うナ、などと実は心の奥底で思いつつ、顔だけはにこやかに税務署長室に入っていったのでした。
 税務署幹部としばし懇談、打ち合わせの後、自動車数台に分かれてそれぞれの担当
中学校に向けて出発。

 実は私は、娘の在学する中学校に行きたかったのですが、娘から「頼むからやめて」という声が聞こえてきそうで、自分自身の出身中学校へ。



■熱心な校長先生から、職場訪問の依頼が…

 出身中学といっても、厳密には私の母校が統廃合された中学校。
 その校舎で学んだわけでもないので、悲しいかな、母校という感傷にも浸れません。
 そんな複雑な心境を抱きながら、中学校の門をくぐりました。

 しかしながら、下敷きを配布後、校長先生と話をするうちに、その熱心な教育方針に感心して、すっかり意気投合。
 1時間以上にわたり、教育談義を交わした頃、最後に校長先生から
「来年、本校で職場訪問を行うので、是非とも協力して欲しい」とのお申し出。
 よくよく聞いてみると、中1の3学期に職場訪問、中2の3学期に職場体験を行い、将来の職業選択に役立てていくというカリキュラムとのこと。
 職場訪問・職場見学の受入先一覧を見ると、錚々たる老舗企業、コンビニエンスストアやスーパーなどがずらっと並んでいるのですが、“士業”が少ないのが意外でした。

 “士業”は、仕事をしている私達からしてみれば、国家資格なので何をやっているのかは分かっていただいているのではと思っていても、地元中学生から見れば、何をやっているのか分かりにくいのかナ、人気もないのかナ‐‐‐そんな不安も抱えながら、とにかく地元でもあるので、ご協力することに。


■平成24年2月9日(木) 職場訪問

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 約束の午後2時に、中1女子生徒が2名、訪ねて来られました。
 本来は3名の予定だったのですが、あいにく1名は怪我をしてしまい休みとのこと。
 
 迎え入れる私どもも、朝から掃除をしたり、それぞれの事務所案内や士業の内容のわかる資料を用意したり、国家試験の内容をHPから抜粋したり、さらには訪問記念に渡す著書に揮毫したり…と、将来の希望溢れる中学生を失望させてはいけないと、準備に余念がありません。
 
 会議室に、公認会計士、税理士、税理士科目(4科目)合格者、行政書士、社会保険労務士が揃って、女子中学生と向かい合って、職場訪問スタート!


■少し拍子抜けのスタートながら…

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 しかしながら、正直いって、最初のコメントを聞いて、少し拍子抜け。
 「公認会計士って、知っていますか?」
 「税理士って、知っていますか?」

 私たちの最初の質問に、きょとんとして、「知りません」といった様子。
 もちろん、知らないから職場訪問しているのでしょうが、会計士になりたいのかナ、税理士を志望しているのかナ、将来地元からうちの事務所に来てくれればいいナ…
 などと勝手な思い込みと期待をしていた私たちとしては、少しガッカリ。

 せめて、どんな資格なのかくらいは、WEBでもすぐに調べられるのに、とも一瞬思いましたが、仕事の内容をひとつひとつ丁寧に説明しながら、職場訪問を進めることに。
 
話を進めるうちに、さすがに好奇心旺盛の年代だけあって、それぞれの仕事の内容に高い感心をもって、
「この仕事について、つらかったことや楽しかったことは、何ですか?」
「仕事を続けていくのに、一番必要なことは?」
「その仕事を目指す中学生へのアドバイスを聞かせてください!」
 まさに、各士業のメンバーが、質問攻めにあっている様子でした。


 ちなみに、私の役目は進行役。
 私があまり発言すると、参加メンバーも話しにくいので、聞き役に徹することに。
 実は私にとっても貴重な機会となったのは、普段一緒に仕事をしているメンバーが、なぜ士業の世界に入ってきたのか、つらいことや楽しいこと、夢と希望を持って今の仕事を語れるくらい日々が充実しているのか…等々を、あらためて確認できたこと。

 中学生の真摯な質問には、あいまいな回答では許してはくれない、素朴さや率直さがあるのです。本音での受け答えが続いた、充実したひと時でした。



■「何のために、勉強するのか」「何のために、仕事をするのか」

 最後に、ひと言だけ、私からもコメント。
「何のために、勉強するのかを考えたことがありますか?」
「何のために、将来仕事をするのか?を考えてみてください」

 私にも同じ世代の娘がいるので、いつも我が家でも言っていること。

 自分自身のためだけに勉強するのではないのですよ。
 勉強して、社会の役に立てる知恵と知識をつけるため。
 ガンを治して世の中の役に立ちたいと思っていても、細胞や遺伝子などガンを治せる知識と知恵を学ばなければ、いくら役に立ちたくても役に立てないのです。

 自分のためだけに勉強していると思ったら、つらいですよ。
 今のことだけを考えていたら、遊んでいたほうが楽で、勉強するのはつらいのです。

 「自分さえ良ければ」「今さえ良ければ」という、目先に流されない姿勢を、是非ともこの中学生のうちに体得して欲しいのと思いを、娘を諭すような気持ちで伝えました。
 少しだけでも、思いが伝わったなら嬉しいのですが…。


■平成24年2月11日(土) 建国記念の日

「明日の建国記念の日って、何の日か知っているか?」
 職場訪問の翌晩、風呂に入りながら、息子に尋ねてみました。

「大日本帝国憲法の定められた日」と答える息子を見て、確かに日本史的にはそうだけれど…。

 2月11日午前10時、靖国神社にて昇殿参拝。
 政経塾以来の先輩である山田宏・前杉並区長が率いる団体参拝に参加しました。
 お恥ずかしながら、伊勢神宮の神楽殿には参拝したことはあるものの、靖国神社にて昇殿参拝したのは、生まれて初めて。
 まさにちょうど参拝中に、地震で昇殿が大きく揺れ、建国記念の日に大きく揺れるのも、今の日本に対する、天の何某かの啓示かとも思った次第です。


■今日はなぜ祝日なのか、子供たちに教えていますか?

 そもそも、建国記念の日は、「日本書紀」が伝える初代天皇である神武天皇即位の日(紀元前660年2月11日)に由来するとされています。
 1948年に廃止されるまでは、「紀元節」とされ、現在の祝日法では「建国をしのび、国を愛する心を養う日」とされています。
 今年で、日本が建国されて、2672年ということになるわけです。

 日本各地の寺社仏閣で行われる建国祭などに関しては、様々な賛否両論もありますが、少なくとも祝日の意義、なぜ今日が休みなのか、日本ができて何年になるのかくらいは、親としても学校としても子供たちに教えておかなければならないと思うのです。

 先の職場訪問の中学生然り、わが子も然り、

 なぜ、職場訪問するのか、
 なぜ将来、仕事に就くのか
 何のために、今、勉強するのか
 なぜ今日、学校は休みなのか
 国が定めた、どんな祝日なのか
 国の誕生日には、何をするべきなのか

 厳しい時代を迎える日本を支える、
 次の世代の子供たちに、私たちがしっかりと教え込めるかどうかが、問われているように思えてなりません。

■『英霊の言の葉』

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 参拝を終えて帰ろうとしたとき、社務所の片隅で、『英霊の言の葉』という本が目に留まりました。
 この書の冒頭には、このような解説があります。

  本書は、靖國神社を御参拝される方々に、家族や同胞への思い切なる中にもこよなく祖国を愛しつつ、戦場に斃れられた英霊の至情と対峙していただきたいと、昭和35年8月から社頭に掲げられてきた英霊の遺書や遺詠、また御家族の書簡等を編集したものです。

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 皆様の胸のなかでも、様々な想いが沸いておられることと思います。

 その晩、家に帰って、子供たちにも読ませました。
 事務所スタッフ全員が集まるミーティングの最後、遺稿集を、全員の前で読みました。

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2672年といわれる建国以来の日本の歴史が、国の将来を願った先人の想い、命まで捧げた犠牲、そして幾多の苦しみのうえに成り立ってきたことだけは、忘れない日本人でありたいです。

 

2012年(平成24年)3月

山  崎   泰