「人生も、また経営や」
2012年12月19日21:32:00
■感謝の集いを開催・・・特別講演は、上甲晃・松下政経塾元塾頭
12月11日、TFSグループ感謝の集いを開催いたしました。
今年の特別講演は、私自身が長年私淑し、人生で一番苦しい時にいただいた手紙にあった『難を人生の宝に!』とのメッセージを手帳に貼って、毎日見続けながら人生の支えとしてきた、上甲 晃・松下政経塾元塾頭。
グループ社員全員、毎朝7時に上甲先生から配信されるデイリーメッセージを読んで、同じ想いで一日をスタートしています。
大事な顧問先様、業務を提携している皆様、そして大切な社員さんに、是非とも上甲塾頭の話を一緒に聞いていただきたい・・・そんな願いを込めて開催しました。
・・・人生に無駄なことなどなにもない!
上甲塾頭にご講演いただく当日未明、社員さんにこんなメッセージを送りました。
先週末、税理士試験の結果発表がありました。そして今日の全体ミーティングで、こんなお話をしましたね・・・
私が人生でもっとも辛かった時、今日お招きする上甲塾頭(私にとっては、何歳になっても政経塾時代から変わらぬ塾頭です・・・まるで松下村塾みたいですね)からいただいた手紙に、『難を人生の宝に』 とありました。
私は、この手紙を手帳にはさんで、片時も離さずに持ち歩いていました。
「難有り」をひっくり返してみると、「有難い」となります。
人生は、必要な時に必要な高さのハードルがあらわれる。決して避けて通ってはいけない。
まさに「人生無駄なことはなにもない」ということが、お恥ずかしながら50歳を過ぎて、少しずつ実感として分かってきたように思っています。
図らずも今日、上甲塾頭がかつて書かれた同タイトルの本を、出版社の方が持ってきて販売してくださるそうで、少し驚いています。
是非ともご一読なされることを、心からお勧めします。
■大きな努力で小さな成果を
・・・鍵山秀三郎先生からの教え
小さな努力で大きな成果を得る」・・・
よりも、『大きな努力で小さな成果を得る』ことが、人間を大きく成長させる。
上甲塾頭とも親しく、政経塾時代から掃除の指導をしていただいた鍵山秀三郎先生から教わりました。
イエローハットの創業者で、掃除一筋で上場会社までに育て上げ、今では日本を美しくする会が世界中に掃除の大切さを説いています。
より少ない勉強時間で、より少ない努力で、より大きな成果を得るよりも、人間は大きな努力で小さな成果を得たときに、本当に成長するものだ、との生き方の真髄です。
税理士試験、会計士試験、司法試験、様々な試験があろうかと思います。
今行われている総選挙も然りです。
人に言えないくらい苦労して、より大きな努力をして成果をつかんだ暁には、顧問先様はじめ社会の皆さんが努力して懸命に生きている苦労が、本当に我がこととしてわかってくるように思うのです。
決して、税理士試験の結果が芳しくなかった方への負け惜しみや、残念だった方への慰めで、モノを言っているわけではありません。
51年間の人生の実感として、本心からそう思っています。
社会の痛みのわかる立派なプロフェッショナルになるために、きっと「大きな努力」という、今もっとも必要な宿題を与えられているということなのだと思います。
■「目先のこと」「自分だけのこと」・・・だから行き詰る
人間は、「目先のこと」「自分だけのこと」を考えると行き詰まる、とも上甲塾頭に教わりました。
私事で恐縮ですが、受験生の息子にも、勉強の中身に関しては親父としてひと言もいいません。
ただ、「何のために勉強するのか」「何のために生きていくのか」ということだけは、繰り返し話しています。
決して自分だけのためではない。よもや良い進学をするためだけではない。
社会に役立つ知識・知恵をつけて、将来、社会に貢献できる人間に成長するために勉強するのだ、と何度も繰り返し教えています。
資格試験でも、「自分のため」「目先のため」だけを思うと・・・行き詰ることもあろうかと思うのです。
勉強して資格を取って、大事な顧問先様のために役に立ちたい。
自分が資格を取って、そしてより役に立てることを、大事な顧問先様が待ってくれている。
ひいては、自身の税務会計の知識をも活かして、将来は社会に貢献してみせる。
どうしても辛いときには、どうか「将来のこと」「他人のこと」「広く社会のこと」に思いを巡らせてみてください。
自殺が絶えないのは、「目先のこと」「自分だけのこと」で頭がいっぱいで、自分の目先のことが真っ暗になってしまうからだと思うのです。
今の政治も、政治家も、日本全体が「目先のこと」「自分だけのこと」しか考えていないから、この国そのものが行き詰ってしまっているのです!
■職業会計人は・・・直接的に「人の命を救える」仕事!
先週土曜日の事務所入社説明会でも、若い志望者の皆さんにお話ししました。
直接的に人間の命を救える仕事・・・に我々は就いているのだということを。
医師・看護師はもとより、税理士・会計士、我々職業会計人も然りです。
私は、こう確信しています。本気で確信しています。
中小企業の経営者が、命を懸けて最後に駆け込むのは、資金繰りが厳しい時に、手形が落ちない時に、生命保険金を使って自ら命を絶ってでも借金を返そうと悩んだ時に駆け込むのは、会計事務所のもとなのです。
皆さんには、そんな尊い職業に就いている、目指しているのだということを誇りにもって、弁護士・社労士・行政書士さんともしっかりと手を携えながら、これからもしっかりと歩んでいって欲しいのです。
さて、今日の午後6時から、いよいよ上甲塾頭の講演です。
きっと、魂にふれる講演になろうかと思います。
図らずも、税理士試験直後に重なって、運命的なものすら感じます。
顧問先様にも聞いていただきたいのはもとよりですが、大事な社員さんにも是非とも、私の精神の柱でもある上甲塾頭の熱いお話を聞いていただきたい気持ちでいっぱいです。
今日の感謝の集い、みんなで力を合わせて成功させましょうね。
2012年12月11日 山 崎 泰
■上甲晃・政経塾元塾頭の講演スタート・・・『一人でええ、本物が欲しい』
あまりにも思い入れが深かったので、長い前段となってしまいました・・・。
さて、午後6時、魂溢れる熱い講演がスタート。
今、確かに内閣だけで野田首相はじめ5人もの松下政経塾出身者が重責を担っているが、果たして松下幸之助はなんというだろうか?
『一人でええ、本物が欲しい』
地位、役職、数を誇り始めたら、政経塾は終わり。
京都にある真々庵。松下幸之助がその中に「根源の社」を創って祈り続けたのは、「感謝」と「素直」の二つ。
「感謝」・・・
人間は感謝した分だけ、幸せになれる。
「素直」・・・
真理に素直であれ、流行はすたれる。真理に沿った生き方を。
だからこそ、真理に沿った生き方をする本物が欲しい・・・というだろう。
■経営とは、社員が奮い立つような「将来のあるべき姿」を指し示すこと!
日本の政治には、経営がない。将来のあるべき姿を指し示すという意味での経営がない。
政治家はみんな目先のことしか言わん。そして自分のことしか考えていない。目先のことと自分のことしか考えなくなったら、必ず日本は行き詰まる。
40年近くも前から、幸之助が言い続けてきたこと。
会社経営にしても同じ・・・まず何よりも、社員が奮い立つような「会社の将来あるべき姿を指し示すことができるかどうか!」に経営がかかっている。
人生も、また経営や。自分の人生は、自分が社長。自分の人生経営者や。自分の人生経営があるか。
幸之助は、こうも語ってきた。
欠点でも、見方を変えれば長所になる。
だから経営とは、“すべてを活かす”ことでもある。
たとえ素人でも・・・素人が素人の良さに気がついたら、素人の良さが生きてくる。
今までのプロは、決して明日のプロではない。
■トップは、“熱心さ”だけは誰にも負けてはいかん!
トップが、決して社内の誰にも負けてはいけないもの・・・それは“熱心さ”だ。
後継者が、親父に決して負けてはいけないもの・・・まさに“熱心さ”だ。
そして、業界の常識を変えるくらいの勇気をもつこと。そうしなければ、中小企業や新興勢力は、業界大手や古参企業には勝てない。
私自身も、政経塾塾頭就任後、新しい政治家を育てるにあたり、今までの政界の常識に挑戦した。
第一に、世襲に挑戦。政経塾では身内に政治家のいない塾生を採用した。
第二に、選挙にお金をかけないことに挑戦。塾生には、お金以外の財産、いっぱい持っとるやないか。「やる気」然り。「金を使うな、心を使え」と指導した。
人間が本当に逞しくなれるのは、自立の覚悟を決めた時。地盤・看板・カバンなし・・・松下電器の応援もなし。塾生には、「~してくれない」と「くれない族」になってはいかんと。
■青年塾の教育方針は、「不便」「不自由」「不親切」
だから今でも、私の主催する青年塾の教育方針は、「不便」「不自由」「不親切」。
人間は、与えれば与えるほど。足らざると文句を言う。子供も然り。
人間は、苦労して初めて感動する。一緒に苦労させると絆ができる。
昨年、ワシントンツアーの案内状は、「9月4日〇〇時、ワシントンヒルトンホテルのロビー集合」だけ。
どのように行けば良いのですか・・・との質問にはひと言「気をつけて来てください」だけ。
だからこそ全員が無事にワシントンヒルトンホテルに集合した時には、もう抱き合って喜ぶくらい感動して、ワシントンツアーがスタート。
人生にできない理由は何もない。人生にハンディなし。道は無限にある。道を閉ざしている理由は、ただひとつ“その気がないから”。
富士山の目の前に住んで、長年毎日富士山を見ながら暮らしていても、「よしっ、登ろう!」という気にならない限り、絶対に富士山には登れない。
人生も、まさに構え方が大事。
■人間は、自分の一番の弱みが「生きる力」になる!
人間は、自分の一番の弱みが「生きる力」になる!
幸之助は、体が弱かった。学歴がなかった。家が本当に貧しかった。
だからこそ衆知を集めて、自分の足りない所をすべて集めることができた。
知らなかったから、熱心に人の話を聞くことができた。弱みを受け止めた時の考え方で、人生が変わる。
何よりも間違わない経営とは、周知を集めた経営・・・幸之助がそう教えてくれているようだ。
話し方教室はあるが、拝聴教室はない。
話す力は、テクニックで教えられるが、聞く力は、テクニックでは教えられない。
聞く力は、心の力。聞く姿勢は、まさに心の姿勢。
お客様が何か言われた時に、絶対にその場でできないと言わない会社がある。
お客様の言われることを、徹底して聞き届ける。そうすると、感動した客の口コミが自然と広がっていく。
■目の前の「難」を、いかに「有難い」に変えていくか・・・これが人生であり、経営である
目の前にふりかかる「難」を、いかに「有難い」ことに変えていくか・・・これが生きることであり、まさに経営である。
難を避けることはできないのだから。
「難」に遭遇した時、「難」を受け入れられない間は、いつまで経っても「難」が「有難く」ならない。どこかで受け入れなければならない。
涙を流しながらでも良い・・・ 「難」を「はいっ!喜んで」と受け入れてやると人生が開ける。
幸之助の「好景気よし、不景気なおよし」も、まさに通じるものがある。
不景気は難ではなく、好景気の時にできなかったことをやるチャンス。
反省の時でもあり、あらゆる会社改革は、不景気の時に行われるもの。
まさに底力を養うチャンス!
■小さな実践の継続が、会社を変化させる!
真理は、平凡のなかにある。人間の本質は、変っていないのだから。
どこの会社でもやっている「当たり前」のことを徹底してやる!
例えば、挨拶。平凡なこと。でも挨拶が大事だということは、人間の本質として変わっていない、大事な真理。でもこの平凡なことが、なかなかできない。
名前を呼ばれたら、「ハイッ」と言う。会社全体で、この平凡なことが徹底してできるか。素直な気持ちがなければ、「ハイッ」と言えない。
社員全員が素直な気持ちにならなければ、社員全員が「ハイッ」と言えるようにはならない。
社員全員がその気になれば、会社の“土(土壌)”が変わる!
小さな実践の継続が、会社を変化させる!
■今年も一年間、本当に有難うございました。
今年最後の月刊メッセージを、お届けしました。
松下政経塾時代から私淑する上甲 晃・元塾頭からのメッセージ・・・総選挙開票の深夜、日本の行く末に思いを馳せながら、万感の思いで綴りました。
来年に向けた皆様の人生、そして仕事に些かなりともお役に立てれば幸いです。
今年も一年間、本当に有難うございました。
平成24年(2012年)12月
山 崎 泰