「100円のコーラって、本当に1000円で売れるの?」
2013年2月8日00:58:00
■誇大広告ギリギリのようなタイトル本、最初は抵抗が・・・
いま当社では、『100円のコーラを1000円で売る方法』(永井孝尚著・中継出版)を課題図書に、社内勉強会をしています。
稼ぐ人はなぜ長い財布を・・・的な、この手の誇大広告ギリギリのようなタイトル本には、どうも抵抗があるものの・・・当社のアドバイザーから「是非とも読んで一緒に勉強を!」と強く薦められて、素直に課題図書にしてみた次第。
読み始める前、少しはすに構えていたのもスッカリ忘れて・・・私自身、面白くて食い入るように、引き込まれるように、一気に読み込んでしまいました。
ときどき、昔習った経営学を思い出しながら。。。
■『自社の事業とは何か?』
舞台は、会計ソフトウェアの開発・販売会社。
画部をリードする与田誠のもとに、鼻っ柱の強いアラサー女性が転属してくるところから・・・物語風にマーケティングを説明していくのです。
与田が率いる“商品企画部ナイトスクール”。
『自社の事業とは何か?』がテーマです。
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化粧品会社を例に出して、自社の事業をA社は「化粧品の製造販売」、B社は「ライフスタイルと自己表現、そして夢を売ること」と定義。
その違いは・・・。
生き残るのは、B社。
もし「化粧品の製造販売」にこだわっていると、化粧品に代わる新しい美容方法が生まれたときに、会社の事業は衰退してしまうかもしれない。
「ライフスタイルと自己表現、そして夢を売ること」と考えると、新しい美容方法は会社を発展させるチャンスにもなりうる・・・
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リーダーの与田が、こう解説していくのです。
■『製品志向』と『市場志向』
深く考えさせられたのが『市場志向』と『製品志向』。
私たち士業グループという事業は、顧問先様に、そして広く社会に、何を提供しようとしているのか?
税務・会計・社労士・行政書士業務などを通じて顧問先様へ貢献する、という事業目的だけでは・・・やはり『製品志向』を脱し切れていないことを痛感。
士業のコンサルティンググループとして、顧問先様ひいては社会の何を実現しようとしているのか?
私たちは『会計を通じて、会社・地域・社会を強くする!』との経営理念を掲げているが、その先にある“人の幸せ”を求めてきたはず。
この先、何度も何度も、社員さんとの意見交換を重ねながら、あせらずにみんなで考えを深めていかなくては・・・
そんな想いをめぐらせながら、本を読み進めていました。
■ナショナル・ショップに学ぶ!
20代の頃、松下政経塾時代に販売実習という研修がありました。
夏の暑い日に、来る日も来る日も家電製品を売って歩くのです。もちろん名簿もなし。
あるのは自転車とパンフレットだけ。あとは自分で考えろ!そんな研修でした。
出来もしないのに・・・電球、蛍光灯交換、エアコンでも、どんな小さなことでも、なんでもお手伝いしますといって、家庭訪問。
決して政経塾と名乗ってはいけない・・・そんな研修。
いままた高齢化社会で、パナソニックの家電ショップが注目されています。それはなぜか?
その答え・・・この本でも解説されていました。
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まさにシニア層のお客様が感じる価値≒街の電気屋さんが提供できる価値ということは・・・
街の電気屋さんはシニア層にターゲットを絞れば、価格や品揃えはそれほど気にする必要はなくなる・・・
これが『バリューポジション』。
顧客が望んでいて、“競合他社が抵抗できない”“自社が提供できる価値”なのです。
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リーダーの与田は、こう解説するのです。
■『顧客が何に価値を感じるか』まずは徹底的に頭で考えること!
顧客が何に価値を感じるか、まずは徹底的に頭で考えること!
むしろ、顧客本人も気づいていないような価値を見つけられるかどうか!ほとんどの企業は、時間とコストをかけて、他社と同じことを一生懸命自社でもやろう としています。
このくだりで・・・
しばし本を置いて、当社の顧問先様、セミナー参加者などの皆様が、何に価値を感じておられるのだろうか・・・
机に両ひじを突いて、顧問先様、セミナー参加者の顔を思い浮かべながら、ボーっと考え込んでいました。
売上を上げるため? コストを下げるため?
会社を守るため? 会社を強くするため?
単に税務会計手続きが楽になるため? 業界情報をいつでも入手できるため?
(内部管理業務の)バックオフィスを任せて、営業や経営に専念するため?
CFOとして丸ごとアウトソーシングできるため???
それとも、それとも。。。人生を豊かにするため?
お客様が感じておられる“本質の価値”はどこにあるのか・・・
この点も、まずは徹底的に自分の頭で考えて、社内みんなで考えを深めていきたい・・・。
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■キシリトールガムがヒットした理由・・・
キシリトールガムがヒットした理由・・・
『予防歯科こそ歯医者の仕事』と信じて疑わないある商社マンに出会った、キシリトールのマーケティング担当者が、『虫歯にならないために歯医者に行く』というビジネスモデルをつくったこと。
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会計事務所でいうならば・・・
これまでは、例えば“資金調達が必要なお客様に出会って”(相談を受けて)ビジネスにつながっていました。
そうではなくて、“資金調達が必要にならないために”会計事務所の門を叩いていただく。
本の言葉を借りれば『予防会計こそ、会計事務所の仕事』とでもいうか・・・まさに発想の転換ですね。
■調子悪くなって、会計事務所に駆け込まなくても済むように・・・会計事務所に行く!
会社が病気にならないように・・・(予防として)ビジネスドクターである会計事務所の門を叩いていただく。
会社が病気にならないように・・・毎月、事業計画書の予算・実績管理等を通じて定期健診する。
会社がよもや大病を患わないように・・・毎年、決算診断書の説明で(人間ドックのように)会社の中で弱くなっている部門、業務、商品、サービスなどはないか・・・、総合的に検診する。
経営者に万が一のことがあっても、会社が事業存続していけるように・・・最後に大きなリスクを負わないように、予めあらゆるリスク管理をしておく。
倒産したい、高い金利を払ってまで資金を借りたい、返済資金に毎月苦労したい・・・などと思われている経営者の方は、おられないはずです。
だとすると・・・
『虫歯になって、歯医者に駆け込まなくても済むように、歯医者に行く!』
ならぬ
『会社が調子悪くなって、会計事務所に駆け込まなくても済むように、会計事務所に行く!』
そんな観点からのビジネスモデル、発想の転換のトレーニングが必要なようです!
それにしても、とても参考になる一冊でした。
難しそうな話を、やさしくわかりやすく説明できるかどうか・・・私たちプロフェッショナルの真価が問われる場面でもあります。
その意味でも、絶好の課題図書でした。
次なる課題図書は・・・『人事屋が書いた経理の本』。勉強会の成果、またご報告します!
平成25年(2013年)2月
山 崎 泰