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今後は赤字でも税金がかかる? 法人税率引き下げの『真の意味』を考えよう

15.03.04
ビジネス【税務・会計】
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平成27年度税制改正の目玉のひとつに、国際的にも高いと言われている法人税率を、25.5%から23.9%に引き下げることによって、実効税率を34.62%から32.11%に引き下げるということがあります。
そして、来年には31.33%まで引き下げようという見込みもあります。

企業経営者にとってみれば、税金というコストが下がることは、大いに歓迎すべきことではあります。
ただ、税率が下がったからといっても、実は必ずしも税金そのものが下がるわけではないことに注意が必要です。
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利益を上げる税務・会計

税金は赤字会社には掛かりません。
日本国内で利益を出して法人税を納めている企業は、実は3割程度しかありません。
ということは、日本の7割の企業は法人税率が下がろうとも、その恩恵を受けられないということになるのです。

ただ一方で、政府としては法人税率を引き下げる代わりに、次のような動きを示しているといわれています。

・一部の利益を出している企業にだけ税金を掛けるのではなく、赤字であっても税金を掛けるような制度を導入する
・赤字であっても一部の経費については税金の計算上、損金として認めないようにする
・過去の赤字である繰越欠損金額のうち、当期に充てられる金額を制限する

これらによって、税収そのものを上げていこうという動きがあります。
赤字企業の経営者は、税率の引き下げよりも、むしろ、これらの動きに注目すべきでしょう。

日本の国債が1千兆円を超え、毎年百兆円ずつ増加している中、政府が単純に税収の減少につながりかねない政策を取るわけはないのです。

では、企業側としては、どのような防御をすればいいのでしょうか?
それは、かつてのように利益が出たことによる税金の節税という視点ではありません。
さまざまな情報にしっかりと耳を傾け、赤字であったとしても掛かってくるであろう、コストとしての税金を削減する防御策を、専門家とともにしっかりと考えることが大切なのです。


[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)