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ビジネスチャンス到来! 訪日外国人観光客のニーズを掴むには

24.01.30
ビジネス【マーケティング】
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コロナ禍で落ち込んだインバウンド需要は、2022年10月から行われた水際対策の緩和によって回復しています。
日本政府観光局が発表した2023年10月の訪日外国人観光客は、251万6,500人でした。
これは新型コロナウイルス感染症拡大以降、初めて2019年同月を上回る数字であり、この傾向が続くと「2024年には過去最高を記録する」と予想している民間調査会社もあります。
インバウンド需要を好機と捉え、外国人観光客をターゲットにしたビジネスも活性化しています。
増え続ける訪日外国人観光客のニーズや、集客のためのヒントを探っていきます。
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訪日外国人観光客の消費に起きている変化

インバウンドの回復と同時に、円安も追い風となり、訪日外国人観光客の数と旅行消費が増え続けています。
観光庁の『訪日外国人消費動向調査』によれば、2023年7月~9月期の訪日外国人観光客による旅行消費額は、2019年の同期よりも17.7%増の1兆3,904億円と推計されています。

外国人観光客による消費活動が活発になるということは、それだけビジネスチャンスが広がるということでもあります。
ただし、その消費の中身が変化しつつあることに注意しなければなりません。

コロナ前の2014年~2015年は、中国人観光客を中心に、家電製品や医薬品、食料品などを円安利用で大量購入する光景が大きな注目を集めました。
これらの消費活動は「爆買い」と呼ばれ、2015年の流行語大賞にも選ばれましたが、のちに沈静化しました。

また、訪日外国人観光客における国ごとの消費額の構成比率も、コロナ前とコロナ後では変化が生じています。
観光庁の統計によれば、2019年7月~9月期はインバウンド消費を牽引していた中国が40%以上を占めていましたが、2023年7月~9月期は20%ほどにまで落ち込み、代わりに台湾、韓国、アメリカなどによる消費が増えてきています。
項目別の消費の構成比率を見ても、2019年は「買い物代」が約33%でしたが、2023年は約26%にまで減り、代わりに「宿泊費」や「飲食費」、「娯楽等サービス費」などが増えています。

このことからも、インバウンド消費の中心が、いわゆる商品を購入しモノの所有に価値を置く「モノ消費」から、商品やサービスの購入時に体験や経験の価値を重視する「コト消費」に移行しつつあるといえるでしょう。

訪日外国人観光客は、日本でしかできない体験を好む傾向があり、最近は嗜好が多様化してきています。
同じ日本食でも高級店に限らず回転寿司や一人焼肉、立ち食い蕎麦など、日本人が普段使いするような飲食店が列をなすほどの人気ぶりです。
また、神社仏閣や城、美術館や歴史館、温泉地などが常に賑わっていることから、コト消費が広まっている様子が伺えます。
リーズナブルな価格帯で日本での体験を楽しみたい外国人観光客をターゲットとしたサービス提供は、アイデア次第で大きなビジネスにつながる可能性を秘めています。

地域に密着した日本の“リアル”が好まれる

観光庁は、2023年7月~9月期の訪日外国人観光客一人当たりの旅行支出は、21万1,000円と推計しています。
国別ではフランスが約35万8,000円と最も高く、約35万円のスペイン、約34万2,000円のイタリアがこれに続きます。
また、費目別では「宿泊費」と「飲食費」はイタリア、「交通費」はスペイン、「娯楽等サービス費」はオーストラリア、「買物代」は中国が最も高いという結果が出ました。

訪日外国人観光客の6割はリピーターという調査結果もあります。
特に、欧州から来ている旅慣れた外国人観光客は、より日本の本質に近い体験を求める傾向が強いようです。
チェーン店や観光客向けの体験イベントなどよりも、その地元に根ざした一般的な日本人の生活に興味のベクトルを向けています。
観光客向けのレストランよりも個人経営の居酒屋、テーマパークよりも街中の銭湯、新幹線よりも路線バス、東京よりも地方都市といった具合に、よりディープでリアルな体験ができる店やスポットに注目が集まっています。
旅行ガイドブックにも載っていない郊外の食堂に、外国人観光客が押し寄せるという例もあります。
ほかにも、たとえば観光地化されていない熊野古道は欧米豪の外国人観光客からの人気が高く、2023年4月には、ツアーの申し込み件数がコロナ前を超えました。

また、訪日外国人観光客の「困った」にも、ビジネスチャンスが隠れています。
「ゴミ箱が少ない」「Wi-Fiに接続できない」「使えるキャッシュレス決済が限られている」「店の人とコミュニケーションが取れない」「多言語表示が少ない」「公共交通機関が利用しづらい」などといった、外国人の主な困りごとを解決するサービスは、一つのアイデアで大きな市場を開拓できる可能性があります。

このようなサービスや商品を外国人観光客に広く周知できるのが、FacebookやInstagram、YouTubeなどのSNSです。
観光庁の調査によれば、外国人観光客が訪日前に情報源としているのは、1位がSNSで、2位が個人ブログでした。
インバウンド景気のなかでより多くの集客を図るためにも、企業は通常のSNS運用と併せて、外国人観光客に向けたSNSも発信していくのが効果的です。

観光客向けではない郊外や地方都市の個人店はもちろん、ベンチャー企業やスタートアップにとっても、インバウンドは大きなビジネスチャンスといえます。
インバウンドを意識したマーケティングを積極的に展開していきましょう。


※本記事の記載内容は、2024年1月現在の法令・情報等に基づいています。