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開業資金はどうする? 資金不足に陥ったら? 医院の資金調達方法

23.12.05
業種別【医業】
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新規開業を予定している医院では、内装や医療機器などに多額の費用を要するため、足りない初期費用を補填する必要が出てきます。
また、赤字経営が続く医院では、運営資金が尽きないように、財源の確保が急務になります。
こうした医院の資金不足を解消し、経営を安定させていくためには、なんらかの方法で資金調達を行わなければいけません。
黒字経営の医院も備えとして知っておきたい、資金繰りを改善するために必要な医院向けの資金調達方法を紹介します。
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開業前や赤字経営の医院に必要な資金調達

医院の開業にはさまざまな費用が発生します。
その開業資金のうち、預金などの自己資金は平均して全体の1~2割といわれており、残りは資金調達によって補わなければいけません。
親族から資金の提供を受けて開業資金とするケースもありますが、返済しない前提での資金提供は贈与とみなされ、贈与税が発生する可能性があります。

また、新しく医院を開業して経営を軌道に乗せたとしても、人件費の増大や売上を上回る医薬品費などによって、赤字経営に陥ってしまう医院が少なくありません。
常に人手不足の医療機関では、高い報酬を設定しなければ人は来てくれず、継続的に収益を出していかないと、医薬品費の仕入れ額が売上を上回ってしまいます。
さらに、医院の主な収入源である診療報酬は請求月から約2カ月後に振り込まれるため、余剰資金が足りずに、いわゆる自転車操業に陥ってしまう危険もあります。

赤字経営の医院を黒字化するためには、業務の効率化や集患への注力、在庫の見直し、経費削減、ほかの診療科との連携など、抜本的な改革が必要になります。
そして、それと並行して資金繰りも改善していかなければいけません。

こうした医院の開業準備や安定した運営の実現のために、まず考えたいのが資金調達です。
医療法人は公益性が高く、非営利性を旨とするため、株式会社のように株式や社債を発行して資金を集めることができません。
ただし、医院に限定した資金調達方法などもあります。
「開業前に資金が足りない」「赤字になってしまった」といった状況に陥っても、冷静に対処することが大切です。

借り入れや助成金、さまざまな資金調達方法

医院の資金調達方法として、まず考えられるのが金融機関からの借り入れです。
銀行などの民間の金融機関では、医院向けの貸出商品や貸付事業を行なっているところが多く、銀行によっては無担保・無保証人なうえに、低金利で貸付を行うところもあり、融資の相談にも親身に乗ってくれます。
ただし、医院向けの融資は、基本的に一般的な企業よりも有利な条件で受けることができる反面、返済の計画をふまえた事業計画書が曖昧だったり、信用度が低かったりすると、融資を受けられない可能性もあります。

民間以外でも、政府系金融機関の日本政策金融公庫は、個人でも医療法人でも低金利で借り入れができ、厚生労働省とこども家庭庁の所管である独立行政法人福祉医療機構(WAM)の貸付制度は、低金利なうえに長期間の返済が可能で、貸付利率が固定という特徴があります。

また、各地に点在する医師会や医師信用組合でも融資を行なっており、なかには開業ローンや事業拡大ローンなど、目的に合わせた貸付を行なっている組合もあります。
地方自治体そのものが医院向けに融資を行なっていることもあるので、まずは問い合わせてみることをおすすめします。

金融機関からの借り入れ以外では、医療機関向けの助成金や補助金があります。
中小企業庁や厚生労働省、各自治体などが主体となって医院に支給してくれる制度で、返済する必要もありません。
開業から雇用や設備、事業の再構築のためのものまで、用途もさまざまあります。
ただし、助成金や補助金の多くは募集期日が設定されていて、いつでも活用できるものではないことに注意が必要です。

融資や助成金などのほかにも、『医療機関債』や『診療報酬債権の流動化』による資金調達の方法があります。
医療機関債は、金融機関などに対して医院が証書を交付し、代わりに資金を払ってもらい、期間の満了時に元金を返済して証書を返却してもらう方法です。
診療報酬債権の流動化は、医療機関の債権買取を目的として設立された特別目的事業団体に、将来的に支払われる診療報酬債権を買い取ってもらう仕組みのことです。
ただし、一旦はじめると途中で中止がむずかしいことや、手数料がかかるなどのリスクもあるため、自院の状況が適しているかどうか、制度の内容をよく確認したうえで検討することが大切です。

どの資金調達法にもメリットとデメリットがあります。専門家などにも相談しながら、医院の財政状態に見合った資金調達を行いましょう。


※本記事の記載内容は、2023年12月現在の法令・情報等に基づいています。