コーディアル人事労務オフィス

人事担当者が意識するべき『EQ(心の知能指数)』とは

23.10.09
ビジネス【人的資源】
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職場の人間関係は、仕事のパフォーマンスや会社の業績にも影響します。
人間関係が良好であれば、仕事上のコミュニケーションも活発になり、個々の業務で大きな成果が期待できるでしょう。
そのため、人事はできる限り人間関係が良好な職場環境の構築に務めなければいけません。
そのような採用や社員教育などのシーンで意識しておきたいのが、『EQ』です。
EQは自分や他者の感情を理解して、自分の心をコントロールする能力のことです。
職場の人間関係の改善にも役立つEQについて説明します。
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EQが高い人が職場の人間関係を改善する

2021年8月に公表された厚生労働省の『令和3年雇用動向調査結果の概況』によれば、2021年の1年間に転職入職者が前職を辞めた理由はさまざまです。
そのなかで男性は「その他の個人的理由」を除けば、「定年・契約期間の満了」が最も多く、「職場の人間関係が好ましくなかった」と続きます。
一方、女性は「その他の個人的理由」を除くと、「定年・契約期間の満了」が最多でした。

職場の人間関係に関する諸問題は、人事担当者にとっても避けては通れない課題です。
会社が組織である以上、人間関係を巡るトラブルは必ず起きます。
また、適正な人員配置を行わないと、人間関係が悪化し、ひいては会社の業績にも悪影響を与えてしまいます。

円滑な人間関係の構築には、自分や他者の感情を理解したうえで、自分の感情を抑制したり、他者に共感したりしながら、適切な距離感を取ることが重要です。
そうした感情のコントロールに長けている人のことを「EQが高い人」と表現します。

EQとは「Emotional Intelligence Quotient」の略で、「Intelligence Quotient」の略であるIQが「知能指数」を示すのに対し、EQは「心の知能指数」を示します。

EQは、心理学者でアメリカのイェール大学学長を務めるピーター・サロベイ博士と、ニューハンプシャー州立大学で教授を務めたジョン・メイヤー氏によって1990年に提唱された理論です。
EQが高ければ、環境に適応しながら、円滑な人間関係を築くことが可能とされています。
そしてEQの高さは、そのまま対人能力の高さと言い換えることができます。
IQが高ければ言語能力や思考能力が優れているといえますが、ビジネスでは同じくらい対人能力も重要視されます。
IQが低くてもビジネスを成功させる人はEQが高い人であるケースが多く、逆にIQが高くてもEQが低いせいでビジネスに失敗してしまう人もいます。

職場においては、EQが高ければ高いほど、人間性でよい上司・よい部下といえるでしょう。
たとえば、EQが高い上司は部下の悩みに共感しながら、自分の感情を優先させずに適切で効果的なアドバイスを送ることができます。
逆にEQが低い上司は、部下に寄り添わず、自分の感情を優先させて頭ごなしに叱り、部下のモチベーションを下げてしまいます。

採用や社員研修の現場で必要になるEQ検査

つまり、従業員のやる気を引き出し、労働生産性を向上させるためには、EQが高い人材を集めるのが大切です。
採用時にEQが高い人材を見極めたいのであれば、適性検査を導入するのが望ましいでしょう。

適性検査とは、面接や履歴書、採用試験などと並行して、応募者のパーソナルな部分を知るための判断基準のことです。
入社後のミスマッチを防ぐために多くの企業で導入されています。
適性検査の種類は膨大な数があり、能力適性や社会人としての資質、知的能力などを判断するための検査のほか、性格やストレス耐性、心の機微などをチェックする検査などがあります。
『SPI3』や『HRベース』『アッテル診断』など、横断的に応募者のパーソナリティをチェックする適正検査も多いので、自社に合った検査をセレクトしましょう。

また、EQは後天的に高めることも可能です。
近年はEQを高めるためのプログラムなども普及しており、人間関係に問題を抱えている職場であれば、EQの講師を招いたり、社員研修を行ったりなどの施策によって改善が期待できます。
特に、リーダーや管理職の育成などは、部下のEQを把握したうえで、自身のEQを認識させることが大切です。

適性検査以外にも、EQの無料診断テストや診断ツールなどが増えてきています。
企業による検査だけでなく、自分のEQ能力を知りたい人が個人でも手軽にEQを診断できるようになりました。

EQの重要性を認識するためにも、まずは人事担当者や経営者層が、みずからのEQを測定してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2023年10月現在の法令・情報等に基づいています。