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派遣先企業は知っておくべき! 派遣労働者の最低賃金制度

23.08.29
ビジネス【労働法】
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最低賃金とは、使用者が労働者に支払わなければならない最低限の賃金のことです。
原則として正社員やパートなどの雇用形態を問わず、事業場で働くすべての従業員に適用され、使用者は最低賃金以上の額の賃金を労働者に支払う必要があります。
もちろん、派遣労働者にも最低賃金は適用されます。
派遣労働者は派遣元の事業場の所在地に関わらず、原則として派遣先の最低賃金の適用を受けることになります。
派遣会社と契約を締結している派遣先企業が知っておきたい、派遣労働者の最低賃金について説明します。
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派遣先の地域の最低賃金が適用される

最低賃金は最低賃金法に基づき、毎年8月ごろに改定が公表され、10月初旬から改定された最低賃金の適用が開始されます。
都道府県ごとに定められている地域別最低賃金を見てみると、2022年度の最低賃金は東京都が1,072円と全国で最も高く、最も低いのは853円だった青森県や沖縄県などの合計10県で、全国平均は961円でした。

最低賃金に地域間格差があるのは、地域における労働者の生活費や賃金、企業の賃金支払能力などを総合的に判断しながら決めているためです。労働者の生活費が比較的高く、賃金の支払い能力の高い企業が集まる都会は最低賃金が高くなる傾向にあります。

このように最低賃金は都道府県ごとに定められているため、同一の会社でも事業所が異なる地域にある場合は注意が必要です。
たとえば、本店と支店の事業場が別の都道府県にある場合は、各事業場がある地域の最低賃金が適用されます。
経理機能が本店にあるからといって、支店に本店の事業場がある地域の最低賃金が適用されるわけではありません。(ただし、たとえば本社勤務と支店勤務で同じ階層の社員(新入社員など)の給与に差があるような状況は、労務管理上問題になることもあります)

派遣労働者に対しても同様で、原則、派遣労働者が働いている事業場の地域の最低賃金が適用されることになります。
派遣元の事業場がA県にあり、派遣先の事業場がB県にある場合、派遣労働者にはB県の最低賃金が適用されます。

改正によって最低賃金を下回ってしまったら

派遣先企業が気をつけたいのは、派遣労働者に支払っている賃金が最低賃金を下回ってしまった場合です。
現状で最低賃金以上の賃金を支払っていたとしても、最低賃金の見直しによって、最低賃金を下回ってしまう可能性があります。

派遣先企業が派遣労働者を受け入れるには、通常派遣元となる派遣会社と労働者派遣契約を締結します。
そして、それぞれの派遣労働者と派遣元が、雇用契約を締結します。
これらの契約であらかじめ賃金について定めていたとしても、10月に改定された最低賃金を下回った場合は、ただちに法令違反となってしまいます。

最低賃金は、改定された最低賃金の公表とともに適用が開始される月日が明示されます。
それまでに改定後の最低賃金以上の金額を派遣労働者に示し、適用開始後はその金額を支給しなければいけません。
その際、契約期間中の賃金の改定は労働条件の変更になりますが、派遣元と派遣労働者で再契約を取り交わす必要まではありません。
理由は、どのような契約だったとしても、最低賃金以上の賃金を支払うのは法律で定められた使用者の義務だからです。
しかし、労働条件の明示については賃金に関する部分は絶対的明示事項です。
変更がある場合は、改定後の最低賃金になる旨を書面で本人に交付しましょう。

特定(産業別)最低賃金の適用とは

また、自社に特定(産業別)最低賃金が適用されている場合にも注意が必要です。
特定(産業別)最低賃金とは、地域別最低賃金よりも高い水準の最低賃金を定めることが必要とされる特定の産業ごとの最低賃金のことです。
2023年3月の時点で、全国で226件の産業で特定(産業別)最低賃金が認められています。
派遣先の企業に、この特定(産業別)最低賃金が適用されている場合、派遣先の使用者は、派遣労働者に特定(産業別)最低賃金以上の賃金を支払う必要があります。
特定(産業別)最低賃金よりも低い地域別最低賃金は適用されないため、注意しましょう。

ただし、以下の条件の労働者は特定(産業別)最低賃金が適用されず、地域別最低賃金が適用されます。

・18歳未満または65歳以上の労働者
・雇入れ後一定期間未満の技能習得中の労働者
・そのほか当該産業に特有の軽易な業務に従事する労働者

最低賃金は雇用形態にかかわらず、事業場で働くすべての労働者に適用されます。
当然ながら、派遣労働者も例外ではありません。
2023年度はさらなる最低賃金の引き上げが決定しました。
使用者は賃金額を確認し、対応していきましょう。


※本記事の記載内容は、2023年8月現在の法令・情報等に基づいています。