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成年年齢の引き下げにともなう、消費者トラブルを未然に防ぐ

23.08.04
ビジネス【法律豆知識】
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2022年4月から、成年年齢が満20歳から満18歳に引き下げられました。
この引き下げにより、契約や商品・サービスの購入に関する知識や経験が不十分な若者を巻き込んだ消費者トラブルの増加が懸念されています。
消費者トラブルは、商品やサービスを供給する企業にとっても避けたいものです。
そこで今回は、トラブルを未然に防ぐクーリング・オフについて説明します。
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若者が巻き込まれやすい消費者トラブルとは

未成年者であるうちは、親権者の同意なく契約をしても、民法の定める『未成年者取消権』を行使して契約を取消すことできます。
しかし、成年になると未成年者取消権による保護が受けられなくなり、自分が契約を締結した以上、簡単にそれを「なかった」ことにはできなくなります。

もともと若者は好奇心が旺盛な一方で、自分で高額の買い物をしたり、契約を締結するという経験が乏しいため、消費者トラブルに遭いやすいといえます。
そのようななか、成年年齢の引き下げにより、契約や商品・サービスの購入などに関する必要な知識や経験がまだ十分身に付いていない、若い消費者が増えることになりました。
若者を巻き込んだ消費者トラブルの増加が懸念されるのも当然といえるでしょう。

なお、国民生活センターによれば、商品や役務別に見た場合、18歳、19歳の若者からの相談件数が増えているのが、『美』と『金』に関するものとのことです。
具体的には、『美』についてはエステや美容医療など美容に関する相談で、『金』については内職・副業などお金儲けに関するもののほか、クレジットカードやキャッシングサービス、金融サービスに関連するもの全般が含まれています。
また近年では、アイドルやアーティストのコンサートチケットの購入をめぐるトラブルも急増しています。

成年年齢の引き下げにより、こうした分野での消費者トラブルはさらに増えることが予想されます。
では、どのようにしてトラブルを回避すればよいのでしょうか。

消費者を守るクーリング・オフを理解する

成年になり、未成年者取消権による保護が受けられなくなったとしても、消費者保護のための制度をきちんと知っておくことで、自分の身を守ることは可能です。

その代表的なものが、特定商取引法上の『クーリング・オフ』です。
クーリング・オフは、いったん契約の申込みや締結をした場合でも、一定の期間内であれば無条件で契約の申込みを撤回したり、契約を解除したりできる制度です。

クーリング・オフができる取引の種類と期間は、特定商取引法で定められています。

具体的には、訪問販売(キャッチセールス、アポイントメントセールスなどを含む)、電話勧誘販売、特定継続的役務提供(エステ、語学教室、学習塾、家庭教師、結婚相手紹介サービスなど)、訪問購入(業者が消費者宅などを訪問し、物品を買い取るもの)は、申込書面または契約書面のいずれか早い方を受け取った日から8日間、連鎖販売取引、業務提供誘引販売取引(内職商法、モニター商法など)は20日間、原則としてクーリング・オフが可能です。
ただし、通信販売には、クーリング・オフ制度は適用されないので注意が必要です。

また、クーリング・オフの方法は、書面(ハガキも可)、またはメールなどの電磁的記録を用いて、契約の申込みを撤回する、あるいは契約を解除するとの意思をクーリング・オフ期間内に、一方的に表示すれば足ります。
このとき、住所、氏名、契約年月日、商品名、購入金額、相手方会社名等を記載する必要はありますが、撤回や解除の理由をわざわざ記載する必要はありません。

対象となる取引の種類や行使できる期間について法律上の定めはあるものの、クーリング・オフは決してむずかしい制度でありません。
クーリング・オフなどの消費者を守るルールを正しく知っておくことは、若者がみずからを消費者トラブルから守る大きな助けになります。

成年年齢の引き下げに伴い、企業としても自社の商品やサービスの販売方法・契約方式等がルールに沿っているか、若者にわかりやすい内容になっているかを確認し、トラブルを未然に防ぐような対策をとりましょう。


※本記事の記載内容は、2023年8月現在の法令・情報等に基づいています。