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無断で休日出勤した従業員がケガ! これって労災に認定される? されない?

23.07.11
ビジネス【労働法】
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労働災害(労災)とは、業務上の事由または通勤によって負傷、疾病、傷害または死亡(以下、傷病等)となることを指します。
事業者には労災を防止する義務があり、労災が起きた場合には、その責任を問われることがあります。
では、長期休暇中の従業員が無断出社して怪我をした場合、事業者に責任はあるのでしょうか。労働災害が認められる範囲について解説します。
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業務中以外でも業務災害が認められる可能性

事業主は一人でも労働者を使用したら、労災保険に加入する義務があります。
労災保険(労働者災害補償保険)は、従業員が業務上や通勤中に傷病等となった場合に、労災保険による給付が行われます。
ただし、従業員の傷病等がすべて労災に認定されるわけではありません。
労災は業務に起因する業務災害と、通勤中の通勤災害に分かれており、それぞれに認定基準が定められています。
ここでは、業務災害と認定される基準について説明します。

業務災害と認定されるためには、2つの条件があり、従業員が事業主の支配下にあること、支配下にあったこととその負傷等との間に因果関係があることです。
たとえば、工場で機械に巻き込まれて怪我をした場合や、飲食店で調理中に火傷をした場合などは、勤務中の傷病なので、事業主の支配・管理下にあるといえます。
このようなケースでは特別な事情がない限り、業務災害に該当する可能性が高いといえます。

ただし、故意に事故を起こしたことによる傷病や、業務とは関係のない作業が原因の傷病、自然災害で負った傷病(災害を被りやすい業務の事業は除く)などは、業務災害と認められません。

また、事業主の支配・管理下にあれば、業務に従事していなくても、業務災害と認められることがあります。
たとえばトイレ休憩の時間、用具や設備の後片付けの時間などは、業務に付随する行為であり、事業主の支配・管理下にあるとみなされます。
よって、このときに起きた事故などに起因する傷病は、業務災害と認められます。
さらに、休憩時間なども業務の時間ではありませんが、私的な作業や故意の事故で負った傷病ではない限り、業務災害と認められる可能性は高いでしょう。

従業員の自己判断による休日出勤にも要注意

従業員が外回りや出張などで事業主の管理下を離れている場合でも、会社や上司から命令を受けて業務に従事しているため、一般的には事業主の支配下にあるといえます。
つまり、外回り中や出張中の傷病でも、特別な事情がない限りは、通常の事業所などと同様に業務災害として扱われます。

では、たとえば長期休暇中の従業員が、無断で出社して怪我をした場合はどうなるのでしょうか。
このケースでも、事業主の支配下にあるか否かで判断することができます。
無断で出社しているということは、会社や上司の命令を受けずに、自己判断で業務に赴いたことになります。
これは事業主の支配下にあるとはいえず、このときに起きた事故などによる傷病は、業務に起因するものだったとしても業務災害とは認められません。

ただし、事業主の支配下になかったのかどうかは、実際の状況をふまえて個別に判断する必要があります。
長期休暇中の従業員が無断で出社していることを、本当に会社や上司が知らなければ、事業主の支配下になかったといえるかもしれません。
しかし、暗黙の了解になっていたり、黙認されていたりした場合などは、事業主の支配下にあると判断されて業務災害が認められる可能性もあります。
休日出勤の場合でも、会社の指示のもとなのか、自己判断なのかなどによって結果は異なります。

どちらにせよ、休暇中の従業員が無断で出社して、自己判断で仕事を進めることは、会社にとってリスクでしかありません。
予防労務の観点からは、出社をさせない、出社しても社内に入れないようにセキュリティカードの設定を行うなどの事前の対応も重要です。

無断で出社する従業員がいたら、上司や同僚らが把握していたのかどうかなど、状況をよく確認したうえで、就業規則に沿い適切な対応を行いましょう。


※本記事の記載内容は、2023年7月現在の法令・情報等に基づいています。