コーディアル人事労務オフィス

転売注意! フリマアプリやオークションサイトで違法になるもの

23.05.09
ビジネス【法律豆知識】
dummy
最近では、フリマアプリやオークションサイトで、「いらない物が思わぬ高値で売れた!」といった経験がある人が増えたのではないでしょうか。
スマホやインターネットの普及で個人でも中古品販売が容易になりました。しかし、自身が出品した物や購入した物が、法律違反にあたる可能性もあるため注意が必要です。
今回は、フリマアプリやオークションサイトにおける『転売』と『中古品』の、法律違反になるものについて解説します。
dummy
転売は、基本的にはOKとされている

フリマアプリやオークションサイトで出品されている物の多くは、誰かが使用していた中古品や、使用はしていないが自分で使用するために購入した未使用品です。
なかには転売目的で商品を購入し、金額を上乗せして転売されている物もあります。

転売により利益を得る構図は、「安く仕入れ、高値で売る」ことにあります。
商品によっては、店頭販売価格を大幅に上回る価格でしか買えないこともあり、弊害がゼロというわけではありません。
それでも、基本的に転売は違法行為ではないとされています。
ただし、基本的には違法ではないとしながら、例外的に転売が法律違反になる場合もあります。
それはどのようなケースなのでしょうか。

たとえば、『古物商許可』を得ずに、繰り返し転売して利益を得ていた場合などです。
フリマアプリの出品者情報を詳しく読んでいる人は、「古物商許可取得済み」といった記載を見たことがあるかもしれません。
営利目的で中古品販売を反復継続して行う際は、古物営業法において、都道府県の公安委員会より古物商許可を得る必要があると定められています。
そして、この法律に違反して無許可で販売を行った場合、3年以下の懲役または100万円以下の罰金という罰則も規定されています。

許可の名称に『古物』とついているからといって、まだ使ったことのないものや、骨董品のような歴史的価値のあるものを売らなければ大丈夫だろうと考えていると、法律違反になるおそれがあります。


法律で定められた古物の範囲と禁止品目

では、具体的に古物とはどのような物を指すのでしょうか。

古物営業法において、古物とは、「一度使用された物品もしくは使用されない物品で使用のために取引されたもの、またはこれらの物品に幾分の手入れをしたもの」と定められ、いわゆる美術品などの販売に限定されていません。
警視庁が出した『古物営業関係法令の解釈基準等について』では、使用されていない物でも使用のために取引された物、たとえば贈答目的で購入した商品券や食器セットも古物にあたるとされています。

つまり、フリマアプリやオークションサイトでの古物の販売に関しては、品目ではなく、売買回数や利益の大きさなどから判断されるため、品物だけを見て、一概には「絶対に法律違反ではない」とはいい切れません。
しかし、自己の不用品の販売に留まる程度であれば、古物商許可なしで行う販売を心配し過ぎる必要はないといえます。

一方、古物のようにケースバイケースで判断される物もあるなかで、法律で転売が禁止されている品物を転売した場合には、当然、法律違反になります。
たとえば新型コロナウイルスの感染が拡大した当初は、マスクや消毒製品に対する需要が極端に拡大したことにより、『国民生活安定緊急措置法施行令』によってマスクやアルコール消毒製品の転売が規制されました。
ちなみにこの規定は現在、廃止されていますが、世の中の状況にあわせて禁止される物もあることには注意が必要です。

このほかにも、医薬品は薬局開設者または医薬品の販売業の許可を受けた者でなければ、販売してはならないと定められており、転売も同様です。
また、模造品・コピー商品であることを知りながら、正規のブランド品であるかのように偽って販売した場合には、商標法違反、不正競争防止法違反、詐欺罪に該当するおそれもあります。

フリマアプリやオークションサイトの普及により、誰もが気軽に不用品を販売して利益を得たり、中古品を安価で購入したりできる時代になりました。
しかし、便利だからといって闇雲に販売や購入をすると、知らぬ間に法律違反になっていることもあります。
買う側であっても、売る側であっても、ルールを守って上手に活用していきましょう。


※本記事の記載内容は、2023年5月現在の法令・情報等に基づいています。