コーディアル人事労務オフィス

AIを人事評価に取り入れるメリットとリスクを考える

23.02.20
ビジネス【人的資源】
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AIとは人工知能(Artificial Intelligence)のことで、これまで人間が行ってきた作業を代替する役割が期待されています。
人事領域においてもAIを活用した人事評価システムがリリースされており、公平性の高い評価を実現できる、人事業務を効率化できるなどのメリットがあります。
一方で、人事評価がブラックボックス化するリスクもあり、評価基準の透明性を確保する対策が求められます。
今回は、AIを人事評価に取り入れるメリットやリスクとともに、AIシステム運用を成功させるポイントを紹介します。
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不適切な人事評価でエンゲージメントが低下

人事評価制度とは、社員の働きぶりや仕事の実績を評価し、報酬や待遇に反映させる仕組みをいいます。
表現は企業によって異なりますが、社員が設定した目標の達成度合いを評価する『業績評価』、評価期間中に社員が取得した資格やスキルを評価する『能力評価』、仕事に対する姿勢やチームワークを評価する『情意評価』など用いて総合的に評価するのが一般的です。

経営理念から経営戦略、組織目標へと落とし込んだ人事評価制度の設計が企業経営において重要なカギを握ります。
また企業の目標に社員一人ひとりの目標がリンクすることで、企業に対する一体感やより大きな達成感などの醸成も期待できます。
さらに、人事評価制度を公正に運用することで、従業員の企業に対する忠誠心といったエンゲージメント、仕事に対するモチベーションを高めることにもつながります。

新しい人事評価制度を導入するにあたっては、はじめに評価基準を明確に定めておくことが重要です。
できる限り考課者ごとの評価基準のばらつきをなくすことが、評価に対する信頼感、納得感の基盤となります。
そのため多くの企業では、評価者研修などを定期的に実施するほか、評価後に評価のすり合わせを行うなど、公平性を担保するための仕組みを取り入れています。
これは裏を返せば、公平な評価をすることがいかにむずかしいかを示しているともいえるでしょう。


AIシステム導入で公平性と効率化を実現

2020年1月に防衛省が人事評価にAIを導入することを発表しました。
人による評価はどうしてもバラつきが生じるため、AI導入によって公平性を確保すると同時に、業務の効率化が図れるのではと期待されています。

人事評価にAIシステムを導入するメリットは以下の通りです。
・AIによる客観的なデータ分析で評価の公平性・透明性を高められる
・手作業で行っていた評価シートの記入や回収などの業務を自動化・効率化できる

海外と比べると、日本ではこの分野でのAI利用はまだ少ないものの、今後は事例が増えると考えられます。


AIシステム導入・運用を成功させるポイント

では、人事評価におけるAIの導入を成功させるには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。
主なポイントは3つあると考えられます。

(1)AI導入を社員に周知する
AIシステムを導入する前に、AIによる判断の仕組みや従業員が享受できるメリットについてしっかりと説明しておくことが大切です。
従業員の理解を得ることなしに、AIによる評価に納得感を持ってもらうことはできず、社内から不満が噴出する恐れがあります。

(2)一部の部署から始める
新しいシステムを導入するときは、『スモールスタート』で始めることがリスク軽減に役立ちます。全社で一斉に導入・運用するのではなく、まずは一部の部署でトライアルを行い、運用に問題がなければ徐々にその範囲を拡大していくのがよいでしょう。

(3)評価者が意思決定を行う
AIによる分析結果は参考にできるものの、判断を過大評価しすぎるのは危険です。AIシステムは、考課者が意思決定をスムーズに行うための補助ツールとして使うのが望ましいでしょう。

人事評価にAIを導入するメリットはさまざまありますが、まずは現在の自社の人事評価制度を見直してみましょう。
そのうえで、社員の理解を得ることも含めてAIシステムをどのように導入するか検討し、人事評価の公平性・効率化を実現するAI運用を進めていきましょう。


※本記事の記載内容は、2023年2月現在の法令・情報等に基づいています。