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円安で利益を得た場合、確定申告が必要なケースとは

23.02.07
ビジネス【税務・会計】
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2022年は、歴史的な円安を記録しました。
厳しい経済環境といえますが、一方で外貨貯金などを通じて『為替差益』を得た方もいたのではないでしょうか。
外貨を円安のタイミングで円に換え、その差額で得た利益のことを為替差益と呼びます。
為替差益を得た場合は確定申告が必要です。
そこで今回は、円安のタイミングで為替差益を得た人こそ知っておきたい、確定申告のルールについて説明します。
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為替差益は『雑所得』に分類される

最初に2022年のドル円レートを振り返ってみましょう。
2022年3月上旬まで1ドル115円前後で推移していたドル円レートは、10月20日に1ドル150円台に乗り、1990年8月以来となる32年ぶりの安値水準を更新しました。
その後はやや回復したものの、円安傾向が続いています。

この歴史的な円安により、為替差益を得た方もいたと考えられます。
たとえば、2022年3月の1ドル115円の時点で外貨預金した1万ドルを、1ドル136円のタイミングで円に換えれば、136万円-115万円の差額である21万円が為替差益になります。

この21万円から両替手数料を引いた額は、個人の所得になるため、税金がかかります。
給与所得者の場合は会社が年末調整を行うので、確定申告をする必要はありません。
法人の経営者も、企業から役員報酬という名の給与を受け取っている給与所得者なので、通常、確定申告は不要です。

しかし、年間収入が2,000万円を超える給与所得者や、二カ所以上から給与の支払を受けている人のうち、二カ所目以降の年末調整されなかった給与収入や、給与所得以外に株の配当金(配当所得)や家賃収入などの所得の合計が、年間20万円を超える場合は確定申告が必要です。
為替差益は、確定申告が必要な所得のうち『雑所得』に分類されます。
2022年のような急激な円安によって、給与所得者の場合でも、20万円を超える為替利益を得た場合には、忘れずに確定申告を行うようにしましょう。


雑所得同士で利益と損失を相殺させる

外貨を円に換える、逆に円を外貨に換えるといった両替を行うと、円が目減りすることもあります。
たとえば、1ドル150円で購入した1万ドルの外貨預金を1ドル136円のタイミングで円に換えると、150万円-136万円となり、14万円分損をしてしまいます。
為替による損を『為替差損』と呼びます。
為替差損となった場合は、所得が発生しているわけではないので、確定申告をする必要はありません

ただし、複数の雑所得がある場合は、確定申告をしたほうが得になるケースもあります。
雑所得は為替差益のほか、公的年金など、非営業用貸金の利子、副業に係る所得(原稿料など)、仮想通貨取引などの利益が該当します。
これら雑所得の間では、利益と損失を相殺させることができます。

雑所得で利益や損失を相殺するのが重要なのは、雑所得を含む所得にかかる税は累進課税方式だからです。
所得が多ければ多いほど税額は大きくなるため、利益と損金を相殺させて所得額を減らすことで、納める税金が少なくなります。
ちなみに、株などの配当金や外貨預金の利子などは支払い時に源泉徴収されているため、雑所得には入りません。

確定申告は、1月1日から12月31日までの1年間のすべての所得と、所得にかかる税金を計算して、税務署に申告します。
確定申告期間は、翌年の2月16日から3月15日までとなっています。
為替差益で利益が出ているかどうかを再度確認し、忘れずに確定申告をしましょう。


※本記事の記載内容は、2023年2月現在の法令・情報等に基づいています。