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介護事業所でのマタハラ! 事業所の責任と求められる対応とは?

22.08.02
業種別【介護業】
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介護事業所のように、女性の多い職場では、結婚や出産にともない、それまでと同じように働くことが難しくなる従業員が出てくるでしょう。
また最近では女性だけでなく男性が育児休暇を取得するケースも増えてきました。
そこで注意しておきたいのがマタニティハラスメント、通称『マタハラ』です。
今回は、どのような行為がマタハラに該当するのかと、マタハラの防止策をあわせて紹介します。
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マタハラに該当する行為とは?

女性の社会進出が進むなか、男女雇用機会均等法および育児・介護休業法の改正により、2017年1月から各企業には職場での妊娠・出産・育児等を理由とした嫌がらせ、いわゆる『マタハラ』を防止するために必要な措置を講じることが義務づけられています。

マタハラとは、マタニティー・ハラスメントの略で、働く女性が、妊娠・出産・育児を理由として、職場で精神的・肉体的な嫌がらせを受けたり、解雇や雇い止め、自主退職を強要されたりという不当な扱いを受けることを意味しています。
女性従業員だけではなく、育児に参加しようとする男性従業員もマタハラの対象となることがあります。

法律の施行前と比較すると、マタハラ防止に取り組む企業は増えています。
しかし、未だマタハラ行為が根強く残る職場もあり、とある介護現場でも過去には裁判に発展したケースもありました。

以下のような行為は、マタハラに該当する可能性が高いといえます。

●妊娠の報告に対してネガティブな反応をされる
●妊婦健診等のために休暇の取得を希望した際に、「休みが多い」「休日に行けないのか」などの嫌味を言われたり、個人的な価値基準を押しつけられる
●正社員からパート等への雇用形態の変更を強要される
●一方的に部署異動をさせられたり、仕事内容や就業時間を変更される
●妊娠・出産・育児を機に、会社を退職するよう、それとなく迫られる

また、直接的なマタハラ行為がなくとも、従業員の妊娠等の申し出に対して、何も対策を講じなかった場合もマタハラとして認定されるケースがあります。

過去には、介護事業所で以下のようなマタハラトラブルが起き、裁判に発展しました。

<介護サービスを営む会社の営業所長と女性職員との紛争>
営業所長は、面談にて妊婦であった女性職員から妊娠の報告を受けた後、早期に業務の軽減を行わず、放置していました。
また「制服も入らないような状態でどうやって働く?」「妊婦として扱うつもりはない」などの発言もしています。
裁判所は、営業所長の発言に嫌がらせの目的は認められないにしても相当性を欠き、社会通念上許容される範囲を超えたものであって、妊産婦労働者の人格権を侵害するものと判示。
会社が職員との面談・妊娠の報告を受けた後、早期に業務軽減に対応しなかったことは、職員の職場環境を整え、妊婦であった職員の健康に配慮する義務または労働契約上の就業環境整備義務に違反したと認定し、損害賠償として35万円を認めました。

こうしたマタハラ行為は、妊娠・出産・育児をしながら働く労働者を苦しめることになります。
マタハラなどのハラスメントは、法改正により会社に防止措置を講じることが義務づけられたため、以前と比べて徐々に各人の意識も高まっています。
しかし、未だにハラスメントや認識違いによる不当な扱いも多く、各事業所は早急に自社の現状を把握し、具体的な対策を検討する必要があります。
たとえば、次のような対策が考えられます。

<ハラスメント防止措置の手順と対策(例)>
(1)経営者によるマタハラなどのハラスメント防止に向けての方針を発表する
(2)就業規則などでマタハラなどのハラスメント防止規程を作成し、従業員に周知する
(3)相談窓口を設けて、ハラスメントとなり得る事案の情報収集を行う
(4)担当者が双方に個別でヒアリングを行い、事実確認をする
(5)事実確認に基づき、社内で設けた紛争防止チームにてハラスメント対策協議を行う
(6)ハラスメント対策協議で決定した内容を実行する
(7)加害者のペナルティ、被害者への配慮措置(人事異動、配置転換等も含めて検討)
(8)シフトを調整(時差出勤、時短勤務など)する
(9)多様な働き方の選択を可能にする(短時間正社員、週4正社員など)
(10)再発防止策を検討し、実行する
(11)定期的な研修・セミナーなどを実施(管理職、一般従業員に分けて実施)
(12)経営者によるマタハラなどのハラスメント防止に向けて方針を発表、経過報告など

事業所の環境や働くメンバーの状況に合わせて、適正なハラスメント防止措置を構築しましょう。


※本記事の記載内容は、2022年8月現在の法令・情報等に基づいています。