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従業員の命を守る! 職場の安全衛生にAED導入のススメ

22.07.26
ビジネス【労働法】
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事故や急病は、いつ、どこで起こるかわかりません。
労働安全衛生法では事業者は、労働者の安全と健康を確保するための安全衛生管理を進めるように定めています。
また、労働契約法の第5条では、労働者が生命や身体の安全を確保して労働できるような配慮が求められています。
従業員の命を守るという意味では、AED(自動体外式除細動器)の設置は、有効な安全衛生管理の一つです。
事業所への設置も増えているAEDの導入や点検について、考えていきましょう。
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心肺停止の救命措置は1分1秒を争う

AEDとは、心臓がけいれんし、正常に拍動できずに血液を流すポンプ機能を失った状態の心臓に対し、電気ショックを与えて、正常な脈に戻すための医療機器です。
公共施設などに設置してあるオレンジ色や赤色のケースに入ったAEDを見たことがある人も多いでしょう。

AEDは、欧米では1990年代から普及しており、日本では2004年に非医療従事者による使用が認められ、急速に普及しました。

人間は、心臓が止まると15秒ほどで意識を失い、1分以内に呼吸が止まります
心肺停止から1分以内に救命措置が行われた場合の生存率は95%ですが、3分後には75%、5分後には25%にまで下がってしまいます。
日本では救急車の到着にかかる時間が平均して約8.7分といわれており、到着までの間に周囲の人が、いかに救命活動を行うかが重要になります。

日本には現在、約60万台のAEDが設置されています。
しかし、使用された数は決して多くはありません。

総務省消防庁が公表した『令和3年版 救急・救助の現況』によると、2020年中に一般市民が目撃した心原性心肺機能停止傷病者数は2万5,790 人で、そのうち一般市民が心肺蘇生を実施した傷病者数は1万4,974 人となっています。
このうち一般市民がAEDを使用して救命活動が行われた傷病者数は1,092人に留まりました。

これには、AEDの使用に至らなかったケースと、そもそもAEDが設置されていなかったケースが考えられます。

日本では、特に、駅や空港、市役所や交番、学校や介護・福祉施設などの公共施設へのAEDの設置が進められてきました。
ほかにも多くの人が集まるデパートやアミューズメント施設、スポーツ施設やホテルなどへの設置も推奨されています。
これは、会社や工場、作業場なども例外ではありません。
人の多い職場であればなおさら、AEDの設置を検討する必要があるでしょう。
日本救急医療財団では、『50歳以上の社員が250人以上働く場所・施設には AEDを設置することが望ましい』としています。


AEDを設置して従業員の命を守る

AEDを入手するには、AED製造の各会社や販売代理店、大型家電販売店などから購入する、もしくはレンタルやリースを利用するといった方法があります。

オフィスに設置する場合は、心肺停止者を発見してから5分以内に除細動が行える場所が望ましいとされています。
たとえば、3階建ての自社ビルの1階にAEDを設置していたとしても、3階で心肺停止者が出た場合は間に合わなくなってしまう可能性があります。
会社が複数階にまたがるのであれば、フロアごとに設置したほうがよいでしょう。
設置場所や使い方などを全従業員に周知したり、講習会の開催も大切です。

また、設置後は定期点検を怠らないようにします。
AEDはバッテリー駆動の医療機器なので、インジケーターの確認や、電極パッドやバッテリーなどの消耗品の交換が必要になります。
各製造メーカーのサポートを受け、いつでも使えるようにしておくことが重要です。

同時に、設置場所が社内外の人にわかるようにしておく必要もあります
厚生労働省では、一般財団法人日本救急医療財団を通じて全国のAED設置情報を公開しています。
国内で販売されているすべてのAEDには、財団全国AEDマップ登録書が同梱されています。
こちらも忘れずに登録しておきましょう。

AEDの設置は義務ではありません。
しかし、業務上の事故や体調不良を起因とした心肺機能の停止が起きてしまったとしても、AEDを設置していれば命を救うことができます。
安全衛生管理や安全配慮義務の一環として、従業員の生命や身体の安全を確保するために、設置を検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2022年7月現在の法令・情報等に基づいています。