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思考が偏ってしまうエコーチェンバー現象の危険性

22.02.22
ビジネス【マーケティング】
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効果のないプロモーションを行っていたり、炎上しそうな企画を進めてしまったり、マーケティングの世界には落とし穴がいくつもあります。
その要因の代表的なものが、『エコーチェンバー現象』です。
エコーチェンバー現象とは、閉鎖的なコミュニティのなかで同じような価値観を持つ者同士がコミュニケーションを繰り返すことにより、特定の情報だけが増幅される現象のことです。
今回は、問題のあるコンテンツを市場投入してしまうことのないように、エコーチェンバー現象の危険性について解説します。
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少人数だと陥りやすいエコーチェンバー現象

エコーチェンバーとは、日本語で『残響室』のことをいいます。
残響室とは、音響の実験を行うための部屋のことで、壁面などを加工し、長い残響が生じるように設計されています。
この残響室になぞらえたエコーチェンバー現象とは、閉鎖的なコミュニティ内で偏った意見や情報が増幅される現象のことで、ほかの異なる意見や情報がかき消されてしまうという特徴があります。

たとえばSNSは、自分と似た趣味嗜好を持つ者同士がつながるため、しばしばこのエコーチェンバー現象が発生するといわれています。
たとえ過激な意見であっても、それが同じ考えや同じ興味関心を持つ人たちの発言であれば、メンバーはその意見が正しいものだと思いこんでしまう傾向があります。
そして、その意見はコミュニティによって増幅され、コミュニティ内の人々はその意見を絶対的に正しいものとして取り扱うようになります。
そしてメンバーたちは、狭い世界で繰り広げられる意見や情報を、世の中の一般的な常識だと思い込んでしまうのです。

特に、一つのテーマを掘り下げることの多いマーケティング担当者は、このエコーチェンバー現象に陥ってしまうことが多いそうです。
たとえば、ある商品のプロモーションを行うプロジェクトチームが立ち上がり、企画を進めていくなかで、チーム内の意見だけを頼りにしていると現在進めている企画の落とし穴や大事なことが見えづらくなることがあります。
同一の目標に向かって仕事をしている仲間からは、反対意見が出にくい傾向にあり、反対意見が出ても、その声はかき消され、チーム内の正解とされている意見が優先されてしまいます。
偏った意見によって企画は進んでいき、結果として、あまりユーザーに刺さらないプロモーションが世に出てしまうことになります。

少人数のコミュニティやチームはどうしても閉鎖的になりがちで、エコーチェンバー現象が起きる可能性も高くなります。
エコーチェンバー現象を防ぐには、やりとりをオープンにし、別の部署や社外からの意見を募り、チームのメンバー全員が多角的な視点を持つことが大切です。
さまざまな立ち位置の人から寄せられる異なる意見は、プロジェクトの軌道修正に役立つでしょう。


検索情報に偏りが出る『フィルターバブル』

コンテンツを製作する際に行う、インターネットでの情報収集の段階でもエコーチェンバー現象に注意する必要があります。

世界中の情報を幅広く取得できると思われがちなネット検索ですが、個人の傾向に合わせた検索結果を表示していることも多くあります。
大手検索サイトのGoogleでは、個人の閲覧履歴や検索履歴からユーザーの好む広告などを表示しており、それが検索結果の表示リストにも並ぶことがあります。
気づかないうちに、取得する情報に偏りが生じるため、方向性のズレたコンテンツを作り続けることにもなりかねません。

自分の趣味嗜好、興味関心のある情報しか取得できないということは、反対に見たくない情報を遮断するということでもあります。
このように見たくない情報をフィルターによって遮断し、泡のように自分の見たい情報に包まれることを『フィルターバブル』といいます。

フィルター越しの情報だけでは、提供される情報が偏っているため、ユーザーが本当に求めているものや見たいものにたどり着けない可能性があります。
フィルターバブルのなかで見ているものは、あくまでそのコンテンツ製作者が満足できるように調節されたものでしかありません。

偏りのないコンテンツを生み出すには、このフィルターバブルから逃れて、多様な情報に触れる必要があります。
まず、ネット検索する場合は、個人の閲覧履歴を残さないようにし、フィルターがかからないようにするなどの工夫をしましょう。
同時に、ネットだけではなく、書籍や新聞、雑誌など、複数のメディアから情報を取得することも大切です。
得たい情報に通じている専門家や識者に聞くという方法も効果的でしょう。

エコーチェンバー現象は考えの幅を狭め、コンテンツを偏ったものにしてしまう可能性が大いにあります。
マーケティング担当者には、自分の感覚や狭いコミュニティのなかで出た意見だけを信じずに、外の情報を得ようとする姿勢が必要だといえるでしょう。


※本記事の記載内容は、2022年2月現在の法令・情報等に基づいています。