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カンヌライオンズ2014から、広告・マーケティングの最前線をレポート:その3

14.11.30
ビジネス【マーケティング】
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毎年6月に南仏で開催されるカンヌライオンズ。
この広告/マーケティング界の一大イベントの今年の傾向を表す4つのキーワードの3つ目は「ACC(アクション・コネクテッド・クリエイティブ)」です。
従来の広告が、気持ちや理性に訴えかけようとしていたのに対して、このACCは、アクションに直結させることで、広告としての機能を果たそうとする、新しいタイプの手法です。

その代表作は、ドイツの人権団体MISEREORが行ったSOCIAL SWIPE。
ドイツから遠い外国で食事に困り人権を蹂躙されている子供たちを助ける寄付について、“呼び掛ける”のではなく、直接的にアクションを起こさせました。
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佐藤達郎のマーケティング論

街に用意されたデジタルサイネージでの広告。
デジタルサイネージとは、デジタル化された屋外広告のことです。
映像が流せたり、タッチスクリーンのように使えたり、“iPad等のタブレットPC状のものが看板になっている”と考えると分かりやすいと思います。

ビジュアルは縄の手錠をはめられた子供の手。
ちょうど手錠の真ん中に、クレジットカードを通らせる溝が設けられています。
この溝にクレジットカードを通してスキャンさせることをSwipeと言うわけですが、自分のクレジットカードをSwipeさせると2ユーロ(約300円)が寄付され、ビジュアル的には縄の手錠が断ち切られます。
別のバージョンでは、Swipeすることで大ぶりのドイツパンから一切れが切られ、その一切れを子供の手が持ち去るというビジュアル。
そのアクションで2ユーロが寄付されるのです。

「彼らを助けよう!」と呼びかけたり伝えたりするのではなく、実感を伴う形で上手にアクションさせました。
従来の広告のように何かを“伝える”のではなく、体感を伴って“行動させる”新しいタイプのクリエイティブです。

もうひとつ、南米で行われたニベアの「雑誌×スマートホン」の広告も、アクションに直結するものでした。
Protection Adと名付けられたこの事例では、雑誌広告に発信機能付きリストバンドを掲載。
切り取り線で切り取って小さな子供の手首につけた後、母親はスマホでアプリをダウンロードします。
すると、ビーチで子供が視界から消えても、あらかじめ設定した距離の外に出るとスマホで通知してくれ、またスマホでどこにいるかも検知できるというもの。
ニベアが肌を太陽光からプロテクトしてくれる(守ってくれる)ことと、子供を迷子にならないようにプロテクトしてくれるリストバンドを結びつけ、実感として、アクションを通してメッセージする広告コミュニケーションとなっています。

次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『カンヌライオンズ2014から、広告・マーケティングの最前線をレポート:その4』をお届けします。

[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

[記事提供]

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