コーディアル人事労務オフィス

マニュアルを作り、飲食店スタッフの接遇教育に活かそう

21.08.31
業種別【飲食業】
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社員やアルバイトなど自店のスタッフに、どのようにして飲食店としての接遇教育を行えばよいかわからず、頭を悩ませている飲食店オーナーは少なくありません。
きちんとした接遇でお客をもてなす気持ちを表現することは、メニューや価格設定と同じくらい大切なことといえます。
接遇マナーをスタッフ全員に徹底するには、どのようなポイントに注意すべきかをマニュアル化し、定着させる工夫が必要です。
今回は、接遇教育を見直すときに、考えておくべき要点について解説します。
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最低限身につけるべき接客ルールとは

どんなに素晴らしい料理を提供し、店内を美しく整えても、従業員の態度が悪かったり、お客の注文や要望をうまくくみ取れていないと、よい評価にはつながりません。
たとえば、メニューの説明も料理の提供も完璧なスタッフが、客席を離れたとたん私語が目立つようでは、逆にお客を不快な気分にさせてしまうかもしれません。
スタッフの態度が悪い、返事が小声でうやむや、店や料理のことをよく把握していないなど、料理以外で悪評判がついてしまう飲食店も多くあります。

接客時のルールや方針を立てる目的は、スタッフ一人一人の接客の強化はもちろん、スタッフ全員の接客レベルを同じくらいにそろえることにあります。
店長をはじめ、ほとんどのスタッフが気持ちのよい接客ができていたとしても、そのうちのスタッフ1人でもマナー違反をしていると、お客にとっては店全体の印象が悪くなってしまいます。
SNSなどでさまざまな評価を目にしやすい昨今、従業員の少しのマイナス点が大きな赤字を生むようなことにならないためにも、当たり前のルールを全員で共有するための『接客マニュアル』は大切なのです。

まずはどのようなシーンで接遇が必要になるかを細かく見てみましょう。
飲食店で接客が必要になるシーンとしては、

(1)出迎えと席までの案内
(2)メニューの説明
(3)オーダーを受ける
(4)料理を提供する
(5)会計と見送り

などが一般的です。
マニュアルを作成するのであれば、この基本的な流れに『サービスの心構え』や『接客の姿勢』、『言葉づかい』の正しい方法を載せていくイメージで作っていくとよいでしょう。

サービス業の基本となる言葉づかいや席までの誘導、料理の出し方や会計など、飲食店ではさまざまなシーンで接遇が発生するので、マナー教育が大切です。
なかでも、正しい敬語で接客するための“接客7大用語”は、基本的な知識として、最初に指導しておくとよいでしょう。
その7大用語とは、「いらっしゃいませ」「少々お待ちください」「かしこまりました」「お待たせいたしました」「申し訳ございません」「恐れ入ります」「ありがとうございました」などです。
それらをきちんと使い分けることで、その後のお客様への対応も、円滑に進めやすくなります。


具体的なシーン例で接客の落とし穴を確認

あからさまに悪い印象が残らないとしても、客側に少しの“違和感”があるだけで、リピート率に影響が出てしまいます。
気持ちのよい接客の先には、常に「次もまた来たい」と思ってもらえる可能性があることを忘れてはいけません。
来店から店を出て行くときまで、さまざまなシーンでスタッフやお店に好印象を持ってもらうチャンスはあります。
たとえば、次のようなスタッフの姿勢が、お客に好印象を与えます。

●はっきりとした声で、明るい笑顔で出迎える
●ホール待機中も私語を慎み、顔や髪を触るなどせず仕事に集中する
●すべてのスタッフが接客7大用語を認識している
●満席で入店できない場合なども、次の来店につながる声かけができる
●オーダーや料理提供など、さまざまなタイミングを見ながらサービスができる
●注文や会計などでミスをしてしまった際、真摯に対応できる
●見送り時に感謝の気持ちを伝えられている

まずは自分がお客の立場になってみて、来店してから店を出るまでの間に、スタッフのどこを見ているかを想像し、ノートに書き出してみるのもよいでしょう。
そのうえで、具体的な成功例・失敗例・予測できるトラブルなどを想定して書き足していきます。
好印象を持ってもらうために「どう行動するのか?」だけでなく、来店してくれたお客が気持ちよく過ごせるために「なぜそれが接客に必要なのか?」まできちんと解説することが重要です。

作成したマニュアルは冊子にして配布するよりも、スタッフ限定公開のSNSやクラウド上で共有しておくと、スマホ世代の若いアルバイトは学びやすいかもしれません。
ネット上ではマニュアル作成方法やひな形も紹介されているので、活用してみるのも一つの手です。

これまでの業務フローに新規で追加しなければならない作業も振り返り、小さな項目からマニュアル化していきましょう。


接客のベースにある “おもてなし”を忘れずに

飲食店での“接客”は、お客に対し、必要とされるサービスを提供することをいいます。
一方、“接遇”とは、お客を迎える準備をしたり、身だしなみを整えたり、お客の目に見えない部分からおもてなしの心を持つことです。

日本の飲食店の接客マナーのベースにあるのが、この”接遇”という考え方です。
この接遇は、日本では昔から重視されてきましたが、デジタル社会となった昨今では、お客と会話をするタイミングが減ってしまいました。

たとえば、従来は紙の伝票を基に現金計算で会計していたため、スタッフとお客がコミュニケーションをとる時間もありましたが、今はキャッシュレス決済が増えたため、店側にはスマートな対応が求められています。
また、今までは電話だけの予約受付だったものが、今はインターネット予約が主流となったため、予約時にお客の要望などを丁寧に聞くことがしにくくなりました。
言葉を交わしたり、顔を見て話したりするタイミングが限られているぶん、お客が店に来た時にはしっかり接遇することがこれまで以上に重要なのです。


※本記事の記載内容は、2021年8月現在の法令・情報等に基づいています。