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小売ビジネスでよく使う『マーチャンダイジング』の基礎知識

21.05.11
ビジネス【マーケティング】
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『マーチャンダイジング』という単語を、聞きなれない人も多いのではないでしょうか。
マーチャンダイジングとは、商品政策、商品化計画、などと訳されるマーケティング用語です。
主に、小売関連の業界で使われてきましたが、現在では、サービス提供者やビジネス全般においても使われるようになっています。
今回はマーケティング知識の一環として、マーチャンダイジングとはなにかを解説します。
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消費者に適切に商品を届けるために

マーチャンダイジングとは、チェーンストアやアパレルなどの小売業者を中心に広まってきた考え方で、『お店(販売者)側が消費者に、商品を適切に提供するための戦略』と定義されています。
この“商品を適切に提供する”とは、いったいどういうことなのでしょうか。

たとえば、消費者がCMを見て、欲しくなった商品を買いに行ったとき、店舗の棚にそれがなかったら、それは、マーチャンダイジングの失敗です。
商品を宣伝し、消費行動を誘発するだけではなく、それが適切な数量で店舗に供給され、棚に並んでいることが大切だからです。

また、画期的な新商品を破格の安値で売り出したにもかかわらず、出荷・運搬・配送などのサプライチェーンがうまく機能せず、供給量が安定しなかったために不発に終わってしまうこともあります。
これも、マーチャンダイジングにおける失敗と考えてよいでしょう。
本当はもっと売れていたかもしれない商品が、多くの人の手に届かなかったからです。

適切なタイミングで店舗に商品を供給するためには、サプライチェーンのコントロールが必要ですし、さらに細かくいえば、価格設定を柔軟にするためのコストコントロール、パッケージデザインやブランドイメージ戦略なども関係してきます。

こうした店(販売者)側の戦略のことを、大きく括ってマーチャンダイジングと呼ぶのです。

新商品の担当者は、知恵を絞って商品やサービスの広告・宣伝に取り組むと同時に、適切に商品を出荷し、消費者の目に留まるように仕向けなければいけません。
つまり、マーチャンダイジングでは、消費者がどのような意図で行動し、ものを買っているのかを考える必要があります。
どういった店舗で、どう販売すれば、最適な方法で商品が届けられるかという基軸で戦略を考えるのです。


重要な要素である『5つの適正』

マーチャンダイジングでは、消費者に商品を適切に提供するために、特に重視しなければならないことが5つあります。
これが以下の『5つの適正』です。

●適正な商品(消費者のニーズを満たす商品・品揃えがあるか)
●適正な時期(季節やタイミングなど、仕入れる時期と売り出す時期はいつか)
●適正な場所(店舗か、ネットショップか、またどのように陳列してどのように見せるか)
●適正な量(在庫管理に関連し、仕入れる量と売る量はどれくらいがよいか)
●適正な価格(値付けのこと。仕入れ価格と売る価格はいくらがよいか)

小売業においては、この5つが適正になって、初めて、消費者に商品を適切に提供できる状態になると考えられます。
では、1つずつ見ていきましょう。

●適正な商品
これは、マーチャンダイジングのなかでももっとも大切なテーマです。
ユーザーが欲していなければ、どんなに品質のよい商品でも売れません。
小売店やECサイトに限らず、さまざまな商品を並べていたとしても、来店した顧客の希望する商品がなければ、意味はないのです。
そのために、消費者ニーズに合う適正な商品を揃えることが、マーチャンダイジングの基本となります。

●適正な時期
仕入れや販売のタイミングを見計らうことを意味します。
衣料品店が春に夏服、秋に冬服の販売を始めるように、季節や時期を見計らい、先取りして商品を揃えることが適正な時期を実現させるということです。
特に日本のアパレル産業では、春夏秋冬の季節ごとに、気候や気温の変動に合わせた衣服の供給が必要です。
季節性・時期性に左右されやすい分野では、いつ販売するのかは、重要な要素といえます。

●適正な場所
ネットショップ・リアル店舗を問わず、消費者にどのような場所で商品を目に留めてもらうかを考えるということです。
たとえば、スーパーマーケットで野菜は野菜売り場に、魚は魚売り場に置くといった基本的なことから、ECサイトで、欲しい商品が簡単に絞り込めるようにする、関連して必要になる商品のページと紐づけて広告を出す、といった戦略のことでもあります。

●適正な量
これは、いわゆる在庫管理のことです。
在庫を多く抱えてしまうのは供給過多で問題ですが、在庫が足りない状況もまた、消費者に対して不親切です。

●適正な価格
必要とする消費者層にきちんと届くような値付けをするということです。
商品の価値に見合わない高額な価格設定では誰も購入しませんし、安すぎてもブランド価値が下がります。

ちなみに、この5つの適正は、販売者、生産者にとっての利益や効率を求めるものではなく、すべて『消費者にとっての適正』です。
マーチャンダイジングの根底には、消費者に価値や満足を届け、消費者の利益を最大にすることで、結果的に店の売上も良化するという考え方があるからです。
つまり、事業者自らが消費者に商品やサービスを適切に提供できているかどうかを振り返る際に、このマーチャンダイジングの考え方が役に立つのです。

マーチャンダイジングは、サービス・商品提供者であれば、計画や戦略を立てる際に活用できます。
自社の経営について、この考え方をもとに振り返ってみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2021年5月現在の法令・情報等に基づいています。