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違反するとどうなる? 経営者なら知っておきたい最低賃金法とは

20.03.10
ビジネス【労働法】
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『最低賃金法』とは、使用者が労働者に支払う賃金の最低額を定めた法律です。
各都道府県でその額は異なっており、従業員に対し、最低賃金よりも低い賃金しか払っていなかった場合、たとえ従業員との同意があっても、最低賃金との差額を支払わなければいけません。
もし支払いを拒否した場合には、罰則が科せられます。
そこで今回は、経営者が知っておくべき最低賃金法について説明します。
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最低賃金の理由と決定の仕方とは?

国が定める最低賃金は、労働者の生活を保障するという意味合いが強く、使用者側には遵守することが求められます。

では、最低賃金はどのように定められるのでしょうか。
まず、厚生労働省の中央最低賃金審議会が最低賃金の目安を決定します。
中央最低賃金審議会のメンバーは、大学教授などの公益委員、労働組合の次長などの労働者委員、さらには企業の代表取締役などの使用者委員で構成されています。

ここで決められた目安の額をベースにして、各都道府県の労働局に属する地方最低賃金審議委員会がさらに審議を重ねます。
さらに今度は各都道府県の労務局長が精査を行い、最終的な最低賃金を決定します。

そのため、各都道府県によって最低賃金の額は異なるのです。
たとえば、東京都であれば、現在(2019年10月発効)は時給1,013円が最低賃金となっています。
最低賃金は、ここ数年、毎年2〜3%引き上げられています。
東京都では、2018年10月から2019年10月までは985円でしたが、以降は1,013円に改められました。
東京都や神奈川県が1,000円を超えているのに対し、青森県や鳥取県、熊本県や沖縄県など、最低賃金が790円の県が15県もあり、地域格差は最大で223円となっています。

首都圏は物価が高く経済の動きが活発なことから、時給が高い傾向にあります。
特に東京に企業が一極集中しているため、改定の度に都道府県の中の最高額を記録しています。
政府は全国平均で1,000円を目指していますので、東京都や神奈川県では1,150円〜1,200円まで上がる可能性があります。

ちなみに、最低賃金は毎年8月〜9月に決定し、10月から発効されるのが一般的です。
企業側は、常にこの改定された最低賃金を従業員の時給に適用させていかなければなりません。

また、最低賃金には産業や業種などを問わず、すべてに適用される『地域別最低賃金』と、特定の産業に対して定められている『特定最低賃金』があります。
特定最低賃金が定められている業種は都道府県によってさまざまで、北海道では乳業、東京都では鉄鋼業、沖縄県では糖類製造業などがあげられます。

厚生労働省のサイトでは、各都道府県における特定最低賃金の一覧が公開されているので、自社の携わっている産業が該当するかどうかをチェックしておきましょう。


最低賃金を支払わない場合の罰則とは?
 
最低賃金は、正社員だけでなく、パートやアルバイトも適用の対象になります。
派遣社員に関しては派遣先の企業ではなく、派遣元企業が最低賃金に対応することになります。

最低賃金額を計算する場合、除外できるのは、臨時に支払われる賃金、1カ月を超えて支払われる賃金、時間外・休日・深夜手当、精皆勤手当、通勤手当、家族手当に限定されています。

従業員を時間給で雇用している場合には、単純に時間給と最低賃金を比較すれば問題ありません。
一方、月給の場合は、基本給と諸手当の合計を1カ月の平均所定労働時間で割れば1時間分の給与を算出することができます。

従業員に支払っている給与を計算してみて、もし給与が最低賃金を下回っているのであれば、会社側はすぐにこれを是正しなければいけません。
また、従業員から差額を請求された場合には、すぐに差額を支払う必要があります。

もし従業員に対して差額を支払わなければ、最低賃金法第40条違反として、使用者は50万円以下の罰金に処されます。
また、従業員が最低賃金を下回っていることが原因で労働基準監督署に相談した場合、労基署から指導が入る場合もあります。
また、弁護士に相談した場合は裁判にまで発展してしまう可能性もあるのです。

最低賃金は自社の従業員の生活を守るためにも必要なもの。
結果として会社を守るものでもあります。
常に最低賃金を意識して、必ず自社の管轄の都道府県の最低賃金を下回らない給与を支払うようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2020年3月現在の法令・情報等に基づいています。