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管理者要件の経過措置延長! 居宅介護支援事務所の課題とは?

20.03.03
業種別【介護業】
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2018年、居宅介護支援事務所の管理者は、主任ケアマネジャーに限定されることになりました。
しかし、実務経験年数が短いケアマネジャーしかいない介護事業所もあります。
そのため、2026年まで経過措置延長が決まりました。
これによって、居宅介護支援事務所はどのように動いていけばよいのでしょうか。
今後の課題を探っていきます。
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6年間の延長措置が決定 

2018年の介護報酬改定時に、ケアマネジメントの質の向上と公正中立性の確保を目的に居宅介護支援事務所の管理者要件を、主任ケアマネジャーであることとするという見直しが発令されました。
この時点では2021年3月31日までの3年間が経過措置期間として設けられましたが、ケアマネジャー協会や介護現場からの要望もあり、2019年12月12日に2027年3月31日まで6年間の延長措置が正式に決定しました。

実際に介護現場で主任ケアマネジャーの資格を保有している職員がどの程度いるのかは、厚生労働省が実施した『居宅介護支援事業所及び介護支援専門員の業務等の実態に関する調査』で確認できます。
2018年10月度の調査では、『管理者が主任ケアマネジャーである』と回答しているのが事業所全体の51.2%、逆に『管理者が主任ケアマネジャーでない』と答えた事業所が43.7%あり、現状では約半数の居宅介護支援事業所が管理者要件の基準を満たしていないということになります。
主任ケアマネジャーになるためには、『5年以上の実務経験』と『70時間の研修』が必要となります。
しかし、そもそも実務経験年数が短いケアマネジャーしかいない事業所では当初の3年間の経過措置をもってしても5年以上の実務経験を満たさないという調査報告があり、このままでは約10%の事業所が廃業せざるを得なくなるため6年間の延長が決定しました。

延長期間が『6年』になると、2021年3月時点で実務経験が0年のケアマネジャーが『実務5年+主任ケアマネジャー研修1年』で要件を満たせるスケジュールということになります。
ただし、この延長措置は2021年3月31日時点で管理者が主任ケアマネジャーの資格保有者ではない事業所に限られており、2021年4月1日以降に、新たに管理者となる者については主任ケアマネジャーの資格保有者しか就けないということになります。


今後に向けて課題は山積み

では、実際に主任ケアマネジャーの研修を受けるためには何が必要か確認してみましょう。
都道府県によって受講要件に違いがありますが、基本的には次の4点を満たしていることが必要となっています。

(1)専任(常勤専従)の介護支援専門員として従事した期間が通算して5年以上ある者
(2)ケアマネジャーの資格を有し、ケアマネジメントリーダー養成研修を修了した者または認定ケアマネジャーであって専任(常勤、専従)の介護支援専門員として従事した期間が通算して3年以上ある者
(3)現にケアマネジャーとして従事している者
(4)ケアマネジャーとして業務に関する十分な知識と経験を有する者

しかし、多くの事業所で「忙しい業務の時間を割いて研修を受講することが困難」、「受講要件が厳しい」という声も多く、人材不足に悩んでいる事業所にとっては、高いハードルが課せられているといえます。
また、主任ケアマネジャーになっても、業務負担と責任が重くなるだけで、給与面でのメリットが感じられないという声も聞こえてきます。
改正の狙いとして、専門的知識を備えたケアマネジャーの育成を推進し、多数輩出することにより、彼らによる質の高いケアプランの構築を促し、介護事業所全体のケアマネジメントの質の向上が見込まれています。
しかし実際の介護現場との乖離はまだまだ大きいといえます。
今後に向けて、給与待遇面でのモチベーションアップや都道府県の受講要件の統一化など、課題も山積みとなっています。

とはいえ、6年の追加猶予期間に主任ケアマネジャーを何とかして確保することが必要となります。
外部からの採用を強化するのか、または育成システムを固めていくのか、この6年の猶予期間をどのように捉えるのかで、介護事業所の存続が大きく左右されるのではないでしょうか。


※本記事の記載内容は、2020年3月現在の法令・情報等に基づいています。