コーディアル人事労務オフィス

紙の教科書はもう古い!? 動画マニュアルで新人研修

19.12.03
業種別【美容業】
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新人教育もITを駆使する時代となり、美容業界でも先輩社員からのOJTを減らし、これまでマンツーマンで行っていた教育に、動画を活用する動きが注目されています。
教育や研修のIT化は、言葉や文字では伝わりにくかった技術のコツなどをわかりやすく共有できるなど、さまざまなメリットがあります。
今回は、動画を活用した新人教育について紹介していきます。
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トップの“知らぬ存ぜぬ”も新人の不満・不安も解消!

新人教育においては、先輩スタッフがまず基本的なことを教え、組織のトップがその進捗状況を把握するというのが一般的です。
これはサロンに限らず一般企業も同様で、教育する側には新人を育てる大きな責任があります。
しかし、実際には先輩スタッフも日々の業務に追われ、細かく教えてあげたくても実現できていないことが多いようです。

たとえば、シャンプーやカットなどの技術はもちろんのこと、オープン前の準備や、営業中の細やかな掃除・接客のイロハ、閉店後の片付けや翌日準備など、タスクは膨大です。
作業に慣れている先輩スタッフは、時間が限られている場面では『自分がやったほうが早い』と、指導をスキップしてしまうことも。
そして、トップは先輩が新人を指導している姿をいつもチェックしているわけではありません。
そのため、『きっと指導は行き届いているであろう』と考え、“実はできていない現状”に気づかないパターンもあるのです。

こうした悪循環が続くと、新人スタッフは『教えてもらいたいのに、教えてもらえない』『自分には向いていないのだろうか』と不満や不安を募らせていきます。
そして指導者である先輩スタッフとの関係性も悪化し、離職につながることもあり得ます。
これが続くと、いつまでも新人スタッフが育たない、入社してもすぐ辞めてしまうという、経営者にとっても大きなデメリットになってしまいます。

こういった問題を解決するには、業務を通した教育訓練(OJT)の効率化・見える化が必要です。
そして、その点でおおいに活用できるのが『動画』です。
トレーニング用の動画を用意しておけば、新人スタッフが入るたびに付きっきりで教える必要はなくなります。
新人も、わからないところは繰り返し視聴して確認できるため、理解度が高まりますし、スタッフ間で共通認識を持つことで、サロンの方針がブレることも少なくなります。


動画でカットからクレーム対応の教育まで

では、どのようにして動画を用意すればよいのでしょうか。

コストをかけずに行いたいなら、スマートフォンなどで撮影した動画を、そのままスタッフに見てもらうという方法があります。
その際、YouTubeなどの動画共有サービスを、スタッフのみが見られる設定にして利用し、コメント欄をスタッフ同士の意見交換に使用してもよいでしょう。
より本格的なマニュアル動画を制作したい場合は、動画マニュアル作成ソフトや動画制作サービス会社を活用するという方法もあります。

このほか、たとえば以下のような、美容師向けに提供されている動画サービスを利用しても、手軽で高い効果を得ることができます。

・『hair study』
“月250人以上の指名客を抱えている”などの条件を満たす業界屈指のデザイナーが講師となり、ケーススタディの形で『技術』や『話し方』などを動画で伝授していくというもので、会員登録をすればいつでも見られます。他店の技術を学ぶことができるため、時間的・距離的な問題で外部の技術セミナーに参加することがむずかしい人でも、営業中の空き時間に学びを深め、提案の引き出しを増やすことができます。

・『STUDY360(スタサン)/ BEAUTY』
『Swipe Video』という特許技術を使い、人気カリスマ美容師の技術を“360度、好きな角度から”見ることができる動画サービスです。技術セミナーを行うレベルの美容師の技術をWeb上で好きなときに視聴できるだけでなく、実際の技術セミナーでは見ることができない角度からも映像で確認できるという特長があります。

・『soeasy buddy for beauty』
美容サロン向け動画トレーニングSNSです。普段SNSに投稿するように、スマートフォンで撮影した動画を投稿することで、スタッフにサロン内の技術や業務のマニュアルを動画で伝えることができます。管理画面でスタッフの視聴状況をモニタリングできるため、『スタッフがちゃんと見ているか?』と不安になることもありません。さらに、業務連絡や業務中に浮かんだ気づきや疑問をスタッフ全員で共有できるSNS機能も搭載。スタッフ間で学びを促進することもできます。課題や日報を画像付きで報告してもらうようにすれば、『新人は今何ができて、何ができないのか』を把握しやすくなり、具体的なアドバイスや次の課題を提示するのが容易になります。新人スタッフにとっては、日記感覚で自分の成長を日々可視化できるというメリットがあるでしょう。


ツールの活用でコミュニケーションも円滑に

新人研修には人対人のコミュニケーションが不可欠ですが、そこにITを投入するだけで、効率が飛躍的にアップすることも事実。
ショート動画に慣れているSNS世代の新人スタッフにとって、一つのコツを数分単位で学んでいける動画研修は、負担が少なく感じられるようです。
SNSやチャット機能を用いたコミュニケーションにもさほど抵抗がなく、逆に、先輩スタッフに『忙しそうで話しかけづらい』と気兼ねする必要もなくなります。
今後ますます時代に合ったマニュアル作りや教育が必要となっていきそうです。


※本記事の記載内容は、2019年12月現在の法令・情報等に基づいています。