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直感的思考で判断を下す『代表性ヒューリスティック』とは

19.08.27
ビジネス【マーケティング】
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『ヒューリスティック』は、人が何かを判断する際に、正確な理論と判断基準ではなく、直感的な思考によって判断を下すことを意味する心理学用語です。
今回は、この『ヒューリスティック』の一種である『代表的ヒューリスティック』の解説と、マーケティングにおける活用例をご紹介していきます。
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“考えること”を回避しようとする脳

人が何かを考えるとき、その脳は猛スピードでエネルギーを消費しています。
人体における脳の割合はわずか2%しかありませんが、脳の基礎代謝は全体の20%を占めます。
一般男性が1日に基礎代謝で消費するエネルギー量を約1,500キロカロリーとすると、脳はそのうち約300キロカロリーものエネルギーを消費していることになります。

考える時間が増えていけばいくほど、脳の消費エネルギーも比例して増えていきます。
つまり、人は脳を使うだけで、大量のカロリーが必要になるわけです。
そこで脳には、この限られたエネルギーを極度に消費しないように、ある程度のところで考えることを回避しようとする機能が備わっています。
この機能を発動させることが『ヒューリスティック』です。
これは、考えるのを回避するために、自分の過去の経験や少ない事例から判断を下す無意識のプロセスのことです。


固定観念で物事を判断する思考プロセス

『ヒューリスティック』にはいくつか種類がありますが、そのなかでもマーケティングなどでよく使われているのが、『代表性ヒューリスティック』です。
これは、あるジャンルにおいて、自分の人生経験や社会一般で唱えられている説を過大評価しやすい思考プロセスのことです。

たとえば、血液型による性格診断などがこれにあたります。
「血液型が性格に及ぼす影響は皆無」という研究結果が出ているにもかかわらず、今なお多くの人が、血液型による性格診断をもとにその人の性格を判断しようとします。
『A型だから几帳面』や、『О型だからおおざっぱ』などの言葉を聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

ビジネスに照らし合わせると、『日本製品だから安心』や『有名なお寿司屋だから美味しい』といった『固定観念』があげられます。
その日本製品が本当によいものかどうかや、その料理が実際に自分の口に合うかどうかとは本来関係ないはずですが、人はしばしば、社会的な評判や自身の思い込みを、評価の判断基準にしがちです。
『代表性ヒューリスティック』とは、このように固定観念を大きく見積もってしまう脳の“癖”といってもよいでしょう。


マーケティング戦略に活用するヒント

マーケティングの世界においては、この『代表性ヒューリスティック』を逆手に取った、つまり、人の固定観念をビジネスに利用する手法が取られています。
どんな活用例があるのでしょうか?

たとえば、『高いもの=よいもの』という典型的な固定観念があります。
あるブランドでは、通常の価格ラインの商品を売るために、あえて廉価版のラインの商品をつくり、アピールしました。
すると、廉価版は値段の安さもあって好評を博しましたが、同時に通常の価格ラインの商品についても、ユーザーは『廉価版よりも価格が高いのだから、よい商品に違いない』と考え、廉価版と同じくらい売れました。

食品に関するマーケティングでも、同様の手法はよく使われています。
『国産』とか『本場』などのキャッチコピーは、その典型といえるでしょう。
社会的な評価から、『国産=よいもの』ととらえている人が多いため、わざわざ国産と銘打ったほうが商品がよく売れるようになる仕掛けです。
また、レストランなどでも、『本場で10年修行したシェフ』のいる店と、何も謳っていない店では、前者の店に決めたくなるのではないでしょうか。

もちろん、商品の質を偽ってユーザーを勘違いさせる行為は許されませんが、ユーザーが一般的、典型的な評価を『正解』と思い込むことで商品を手に取り、それが結果的に顧客満足につながるのであれば、とても意義のあるやり方といえるでしょう。

上記の例以外にも、『代表性ヒューリスティック』をマーケティングに応用するやり方は、いろいろと存在します。
自社の商品やサービスに置き換えて、マーケティングを行う際に効果的な方法を考えてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2019年8月現在の法令・情報等に基づいています。