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登記できない権利を第三者に「自分のものだ」と主張するには

19.04.02
業種別【不動産業(登記)】
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思わぬ不動産トラブルとして、自分自身が所有している土地が知らない間に勝手に第三者に売られてしまうというケースがあります。
しかし、『所有権保存登記』をしておけば「この土地は自分のものだ」と主張することができ、トラブルを防ぐことができます。 
つまり、“目に見えない権利”を第三者にもわかるようにするために、登記という制度が設けられているのです。 

しかし、すべての権利を登記することはできません。 
登記できない権利を「自分のものだ」と他人に主張するためには、どのような方法があるのでしょうか。 
今回は、権利を第三者に示すための『公示方法』についてご紹介します。
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登記の役割は、権利を明らかにすること

不動産だけでなく船舶や会社なども、登記をすることで第三者に自分のものだと公示することができます。
登記できるのは所有権だけではありません。
債務不履行の場合、土地や家を担保とする抵当権も登記することができますし、質権設定や法人がする債権譲渡なども登記することができます。

登記が役立つ典型的な例が不動産トラブルです。
たとえば、所有している土地を登記しないまま放置していて、家族が勝手に第三者に売却してしまったとします。

一般的な感覚であれば、所有者ではない人が勝手に売買したので、土地は取り戻せるようにも思えます。
しかし購入者が先に登記を備えてしまったら、「土地は購入者のものだ」と公示されることになり、取り戻すことは非常にむずかしくなるのです。


権利を公示しないことの問題点とは?

登記などの方法で権利を公示しなくても、権利が存在することには変わりはないため、当事者同士の間では問題はありません。
たとえば、不動産を売ったけれど買主がずっと所有権移転登記をしないからといって、売主が「自分の登記のままだから、所有権は自分にある」と買主に対して主張することはできません。

しかし、第三者が出てきたときには問題になる可能性があります。
たとえば、買主であるBさんがずっと所有権移転登記をしないのをいいことに、売主Aさんが同じ不動産を、事情をまったく知らないCという第三者にも売却したとします。
Cさんはすぐに所有権移転登記をしました。
このとき、BさんはCさんに対して「先に自分がその土地を購入したんだから、この土地は私のものだ」と言うことはできないのです。


登記以外の公示方法とは?

自分の権利を第三者に公示できる『登記』という制度ですが、冒頭でも述べた通り、すべての権利が公示できるわけではありません。
何十万もするような時計や貴金属などの高価なものであっても、動産は基本的に登記をすることはできません。
また、原則として債権も登記をすることはできません。

そこで、登記ができない権利に関しては、ほかの方法での公示機能が定められています。
それは次の通りです。

・動産の公示機能は『占有』
動産に関しては、第三者に権利を対抗(主張)するためには『動産の引き渡し』が必要とされています。
たとえばある時計を購入したときは、自分の手元に時計が引き渡されていることによって、第三者に対しても所有権を主張することができます。

・債権の公示機能は『通知』『承諾』
債権で公示機能が重要になるのは、当事者が第三者に債権を譲渡したときです。
たとえば、最初はDさんが貸主、Eさんが借主となっていたのに、突然Fさんが登場して「Dさんから債権を譲り受けたので、今後は私にお金を返済してください」と言われたとします。
DさんはDさんで「Fさんに債権譲渡をした覚えはないから、これまでと同じく私にお金を返してください」と言ってきたとき、債務者であるEさんはどちらに返済したらよいのでしょうか?

債権は形がないため、目に見える形で引き渡すことができません。
そこで、こういったときに役立つのが『通知』と『承諾』という公示機能です。

特定された債権については、債務者に対する通知と債務者の承諾がなければ、その権利を対抗(主張)することができないとされています。
このケースであれば、「Fさんに債権を譲渡した」というDさんからの通知が債務者であるEさんに届いているか、EさんからDさんに対して「債権者がFさんになることを承諾します」という承諾がなされていなければ、Fさんは「自分が債権者だ」と主張することはできません。


「この権利は私のものです」と第三者に対しても主張できる公示機能。
思わぬトラブルを防ぐためにも、しっかり設定しておきましょう。


※本記事の記載内容は、2019年4月現在の法令・情報等に基づいています。