コーディアル人事労務オフィス

処遇の改善へ向け、スキルや就業履歴の可視化が進む!

18.01.05
業種別【建設業】
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働き方改革の実現に向けての動きが強まる昨今、建設業界では、個人の技能を可視化できず、給料や待遇に反映できないことが問題になっています。 

国土交通省では、こうした現状を打開するため、スキルや就業履歴を可視化する“建設キャリアアップシステム”を2018年秋を目途に導入する予定です。 
システムの導入にあたり、業界で働く人にどのようなメリットがもたらされるのでしょうか?
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官民が連携して、システムの導入を推進! 

国土交通省が導入予定の“建設キャリアップシステム”とは、『技能者ひとり一人の就業実績や資格を登録し、技能の公正な評価、工事の品質向上、現場の効率化などにつなげるシステム』です。 

2017年6月には、国と主要建設業団体が連携し『建設キャリアアップシステム運営協議会』がスタート。
システムの運用方針の検討が進められています。 

システム導入の背景には、建設現場で働く技能者の人材不足があります。 
一般的に、建設技能者はさまざまな現場で経験を積んでいくため、個人の能力を統一的に評価できる仕組みが存在しません。
そのため、他の業界に比べて給料や処遇の改善が図れていないのが現状です。 

この現状を打破するために、技能者の経験やスキルを業界統一のルールで建設キャリアップシステムに蓄積。
可視化した情報を給与や処遇に反映させていくことにより、人材の定着を実現していく狙いがあります。 


システムの利用方法とは? 

まず、技能者・事業者それぞれが①インターネット、②郵送、③建設業振興基金の窓口のいずれかの方法で登録を申請します。 
登録が完了すると、IDが付与されたICカードが建設業振興基金より交付されます。 

このICカードを利用し、氏名や住所、生年月日のほか、社会保険加入状況、就業履歴、保有資格、研修受講履歴などのデータをシステムに蓄積していくのです。 

元請事業者は、現場開設時に現場名や住所、工事内容などの“現場情報”をシステムに登録。
現場にカードリーダーを用意します。 
そのカードリーダーで技能者のICカードを読み取ることにより、就業実績が技能者のシステムにも蓄積されます。 
また、出勤・退勤管理もこのカードを利用することで、就業記録が自動的にシステムに記録・蓄積されていきます。 

システムに登録・蓄積された情報は、技能者・事業者、双方によって閲覧することが可能です。 
技能者は、自らの情報をパソコンやスマートフォンでいつでも閲覧できますが、事業者については、立場により閲覧できる情報の範囲が異なります。 


導入によって得られる効果とは? 

建設キャリアップシステムを導入することにより、以下の事項の実現が期待されています。 

・就業履歴や資格による、技能の確認や証明 
・技能者のスキルや職歴に応じた賃金の実現 
・建退共証紙の確認・把握(証紙から電子への切り替えも検討予定)
・現場管理の効率化 
・業界統一のシステム構築による合理化やコスト削減 

2018年4月から技能者・事業者の登録が、そして2019年度を目途に本運用が開始される予定です。 
官民一体となって取り組むこのシステムに今後も目が離せません。 



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