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広告のよしあしを決めるのは「コンセプト」!そのワケは…? その3

17.04.13
ビジネス【マーケティング】
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「コンセプト」とは、広告ビジネスになくてはならないもので、いわば「大方針」です。 

広告以外にも、いろいろと役に立つ考え方だと前回までお伝えしてきました。 

他にも多くのビジネスをこの「コンセプト」の視点で語ることができます。
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■「既存の権威への異議申し立て」でクリエイティブな人々の心をつかむ 
iPhoneのアップル社は、「既存の権威への異議申し立て」というコンセプトを持っています。そのコンセプトが、クリエイティブな人たちのための商品というイメージにつながり、根強いファンがいます。 

この企業のコンセプトを体現したテレビCM『1984』は名作として有名です。You Tubeなどで簡単に見ることが可能ですので、まだ見たことのない方は、ぜひ一度ご覧になってください。 


■「実名を使った安心できるSNS」で世界を席巻 
Facebookは「実名を使った安心できるSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)」というコンセプトで、またたく間に世界を席巻しました。 

Facebookが登場した2004年当時のアメリカでは、すでに先発のSNSとして「マイ・スペース」が人気を博す一方で、匿名ゆえの誹謗中傷やトラブルが問題化していました。 

ハーバード大学内のサービスとして出発したFacebookの成功要因はいろいろありますが、“実名登録”としたことが最も大きな要因だと考えられます。SNSの便利さを知りつつも、匿名によるトラブルを嫌う多くの人々を、この「実名を使った安心できるSNS」というコンセプトがひき付けたのです。 

今の日本でも、多くの40代以上の大企業サラリーマンは、SNSを始めるとなると、だいたい「比較的安心できるFacebook」を選びます。 


■「そこそこお洒落な、格安の日用ファッション」で大発展 
これら“コンセプトによって成功したビジネス”は、何もアメリカに限ったことではありません。普段われわれの身近にある多くの日本のビジネスも、コンセプトの視点で語ることができます。 

例えば、ユニクロです。このヒット・ブランドは、「そこそこお洒落な、格安の日用ファッション」というコンセプトで大発展を遂げました。 

それまでのファッション・ビジネスは、「日用品として使うには高過ぎる有名ブランド品」と「安いのはいいけれど、ブランド名を人に言えない格好悪い日用品」に二極化していました。そこに登場したのがユニクロです。価格は格安ですが、そこそこお洒落。積極的な広告宣伝でグッド・イメージの醸成にも成功し、「いいじゃない、そのポロシャツ」→「これ、ユニクロ。普段着るにはこれで十分だよ」という会話を成立させることに成功しました。 


■「立ち飲み・立ち食い」で低価格・高回転を実現 
銀座を中心に都内で話題を集めている『俺のフレンチ』は、どうでしょうか。この店は、「一流シェフのフランス料理を、お手ごろな価格で提供する店」です。通常1万5000円はするメニューを5000円ほどで提供。行列ができるほどの人気を博し、今では『俺のイタリアン』や『俺の割烹』など幅広い業態で展開しています。 

では『俺のフレンチ』は、どうしてそんなに安い価格で提供できたのか。それは「立ち飲み・立ち食い」という実施する際のコンセプトがあったからです。立ったまま飲み食いをすることで、回転率が高まり、安い価格で料理を提供しても、お店の側の収益が確保されるというわけです。 


次回も引き続き、コンセプトとビジネスについてお話ししていきましょう。 


佐藤達郎の今すぐ使える!マーケティング手法 


●プロフィール● 
佐藤達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。