コーディアル人事労務オフィス

従業員のスキルアップを図る訓練を実施する事業主を支援

25.05.13
ビジネス【助成金】
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人材開発支援助成金「人材育成支援コース」は、雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識や技能を習得させるための職業訓練を実施する事業主を支援する制度です。
職業訓練を受けることで、企業の競争力を強化し、従業員のスキルアップを図ることができます。
また、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部を助成することで、企業の経済的負担を軽減し、より多くの従業員に対して質の高い訓練を提供できるようになります。
本助成金は、企業の計画的かつ効果的な人材育成を支援し、労働者のキャリア形成と企業の生産性向上を図ることを目的としています。

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人材開発支援助成金「人材育成支援コース」

【対象事業主】
雇用保険の適用事業所の事業主

【対象労働者】
雇用保険の被保険者

【対象訓練】
人材育成支援コースでは、以下の3つの訓練メニューが用意されています。
(1)人材育成訓練:職務に関連した知識および技能を習得させるための10時間以上のOFF-JT
(2)認定実習併用職業訓練:主に新規学卒者などを対象として、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を6カ月以上行う
(3)有期実習型訓練:有期契約労働者等の正社員転換を目的として実施するOJTとOFF-JTを組み合わせた訓練を2カ月以上行う

【助成率・助成額】
(括弧内は中小企業事業主以外の助成率・助成額)
(1)人材育成訓練
・正規雇用労働者等
経費助成率:45%(30%)/要件を満たす場合(※1)は+15%

・有期契約労働者等
経費助成率:70%/要件を満たす場合(※1)は+15%

(2)認定実習併用職業訓練
経費助成率:45%(30%)/要件を満たす場合(※1)は+15%
OJT実施助成額(1人1コース当たり):20万円(11万円)/要件を満たす場合(※1)は+5万円(+3万円)

(3)有期実習型訓練(※2)
経費助成率:75%/要件を満たす場合(※1)は+25%
OJT実施助成額(1人1コース当たり):10万円(9万円)/要件を満たす場合(※1)は+3万円

賃金助成額(※3)(1人1時間当たり)((1)~(3)共通)
通常:800円(400円)
要件を満たす場合(※1):+200円(+100円)

※1 訓練修了後に行う訓練受講者に係る賃金改定前後の賃金を比較して5%以上上昇している場合、または、資格等手当の支払を就業規則などに規定したうえで、訓練修了後に訓練受講者に対して当該手当を支払い、かつ、当該手当の支払い前後の賃金を比較して3%以上上昇している場合に、助成率などを加算
※2 正社員化した場合に助成。有期実習型訓練を実施したものの、結果として、対象労働者の正規雇用労働者等への転換が実施されなかった場合であっても、支給決定時までに一定の要件を満たしたときは、「人材育成訓練」の助成内容により助成対象となる場合があります
※3 eラーニング、通信制による訓練は経費助成のみ対象

【受講者1人1訓練あたりの経費助成限度額・1年度1事業所あたりの助成限度額】
(括弧内は中小企業事業主以外の助成率・助成額)
・10時間以上100時間未満:15万円(10万円)
・100時間以上200時間未満:30万円(20万円)
・200時間以上:50万円(30万円)

・1事業所1年度あたりの助成限度額:1,000万円

※賃金助成限度額(1人1訓練当たり)は、1,200時間まで、専門実践教育訓練については1,600時間まで
※訓練受講回数は労働者1人につき、1年度で3回まで(有期実習型訓練については同一の事業主が同一の労働者に対して1回まで)

■申請前の必須要件
(1)研修や人事の担当課長などを職業能力開発推進者として選任していること
職業能力開発推進者は、企業内で従業員の職業能力開発を計画的に推進するキーパーソンとなります。
職業能力開発推進者は、職業能力開発計画の作成と実施、従業員への相談・指導、国や都道府県との連絡などを担当します。
選任は「職業能力開発促進法」に基づく企業の努力義務ですが、本助成金の申請にあたっては、職業訓練実施計画届の提出までに選任しておくことが必須です。
(2)事業内職業能力開発計画を策定し、雇用する労働者へ周知していること
事業内職業能力開発計画とは、企業が従業員の職業能力を段階的かつ体系的に向上させるための計画です。
経営方針に基づき、必要な職業能力や教育訓練の内容を明確にし、従業員の能力開発を支援します。
この計画は具体的であることが求められ、従業員の意見を反映し、定期的な見直しが重要です。
見直しにより企業の競争力を維持・向上させることが期待されます。
職業訓練実施計画届の提出日までに周知しておく必要があります。
(3)(1)と(2)を実施したうえで「職業訓練実施計画届」(助成金の提出様式)を提出し、計画に沿った訓練を実施すること
職業訓練実施計画届は、企業が従業員に対して職業訓練を実施する際に、その計画内容を労働局に届け出るための書類です。
訓練の目的、内容、期間、対象者などを詳細に記載し、助成金の申請に必要な手続きの一部として提出します。

【おわりに】
日頃の業務から離れて、OFF-JTで集中して最新の知識や技能を効率的に習得しスキルアップすることで、業務効率が向上することは事業主、労働者双方にとって大きなメリットとなります。
少子化が進み人材の確保と定着がむずかしくなっているなか、人材育成の重要性はますます高まっています。
従業員にとっても、人材育成に力を入れている会社は、自分の能力を発揮できる環境を整えてくれていると感じ、会社との信頼関係を築きやすくなると思われます。
育成と定着が連動する好循環を生み出すためにも、本助成金に取り組んでみてはいかがでしょうか。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/d01-1.html


※本記事の記載内容は、2025年4月30日現在の法令・情報等に基づいています。