5.1「社会課題」リストとしてのSDGs(第2部・第5章・第1節)
永続を目指し続ける~非上場・中堅・中小企業のための「持続可能な経営の設計技法」~
今回は、青字の部分です。
第2部:4バリュー実現のための経営技法(各論)(ToDo)
5. 社会の繁栄
5.1「社会課題」リストとしてのSDGs
5.2「●●対地球」モデルからの脱却
5.3ステークホルダーに「●●できることで、まだしていないこと」
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5.1 「社会課題」リストとしてのSDGs
2015年9月25日、国連総会で1つの文書が決議されました。
「我々の世界を変革する:持続可能な開発のための2030アジェンダ」(外務省仮訳)
Transforming our world: the 2030 Agenda for Sustainable Development(原文)
よく、SDGsが決議されたといわれますが、正確にいうと、この「2030アジェンダ」という文書の中の、目標・指標パートがSDGsという位置づけです。SDGsは一部であって、すべてではありません。
これは、経営計画における目標数値が、経営計画の一部であって、すべてではないのと同じです。
そして、最初の一文に「このアジェンダは、人間、地球及び繁栄のための行動計画である」と記されているように、「2030アジェンダ」は行動計画です。こんな構成になっています。
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■前文ー目的
■宣言-ビジョン
■持続可能な開発目標(SDGs)とターゲットー目標・指標
■実施手段とグローバル・パートナーシップー実施計画
■フォローアップとレビュー-PDCA
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日本では目標・指標パートのSDGsだけが独り歩きしている感があるのですが、SDGsに対する批判やもやもやの多くは、行動計画全体を知らない・知ろうとしないことに起因しているのではないかと思います。
実際のところ、読むのはなかなか大変な文書ですし、「2030アジェンダ」以前の様々な国連のイニシアティブ・条約・議定書等々を引用・参照しているので、私も商事なところ、くまなく理解しているとはいえません。
ユニセフの「SDGsって何だろう?」のページにあるデジタル絵本・動画が、前文・宣言(目的・ビジョン)について理解するうえで、無料で見られる中ではいちばんわかりやすいのではないかと思います。
また、目標・指標パートについても、17ゴールだけが注目され、具体的な指標である169ターゲットをつぶさに見たことがある、という方は少ないのではないでしょうか。SDGsはできもしない理想論、大衆のアヘン、などと批判する向きもありますが、たとえば第1番目のターゲットをみて、どう思いますか?
1.1 2030年までに、現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。
1日1.25ドルは、今のレート(160円/ドル)で日本円に換算すれば、1日200円です。今やコンビニのおにぎり1個買って終わりです。ディスカウントストア等であれば、おにぎり1個と飲み物1本買えるかもしれません。これで1日の買い物終了です。
実際、最新のレポートでは「SDGs、17目標すべてで2030年達成が困難」ですから、「できもしない」のは残念な事実です。
しかし、、、
それと会社経営、「わが社」はどう関係するのかは、また別の問題です。
数年前、アウトサイド・イン・アプローチということで、SDGs17ゴール・169ターゲットから直接、個々の会社の目標に落とし込む手法がはやりかけましたが、今は廃れていますね。どだい、無理なアプローチだったので、いたしかたないことと思います。
なぜ無理かといえば、SDGs17ゴール・169ターゲットは「社会課題」のリストであって、「経営課題」のリストではないからです。
社会課題は、その自社への影響を、リスクと機会の観点から分析評価する、という作業を通じて初めて、経営課題に変換できます。
※「プリズム」としての「リスクと機会」分析(第1部・第1章・第2節)参照
ただ、中堅・中小企業の支援を通じて私がお勧めしたいのは、インサイド・アウト・アプローチです。
自社の存在意義・歴史・経営資源から出発して、望ましい未来を先に描き、それに対して、どのSDGs17ゴール・169ターゲットが近いか(おそらくぴったりはまることはほとんどない)を後付けで説明できるようにする、という順番です。
最近はほとんど参照・言及されることのないSDGコンパスというガイドブックがあります。①理解、②優先課題の決定、③目標設定、④経営統合、⑤報告・コミュニケーションの5ステップで、企業のSDGs活用の段取りを解説しているのですが、アウトサイド・イン・アプローチは、③目標設定の段階での手法です。
私のいうインサイド・アウト・アプローチは、その前の②優先課題の決定の段階です。そもそも、何が「わが社にとって」優先すべき課題なのか、それは外からあてはめられるものではないですよね。SDGコンパスでは、この段階では「バリューチェーンをマッピングし、影響領域を特定する」としていますが、これつまり、「自社ワールド」の分析です。
ただ、その分析が独りよがりな判断でないか、「自社ワールド」の人々の価値観からずれていないか、チェックは必要です。そのときに、アウトサイド・イン・アプローチは有効です。順番を間違えると、ゲームはクリアできません。
あなたの会社の経営資源でできることで、まだしていないことは何ですか?
「自社ワールド」の人々へのお役立ち、まずそれを考えましょう。看板は後付けでかまいません。看板から考えても人々へのお役立ちはできません。