KUMA Partners株式会社

こんどは、リアルタイム・マーケティング! それって、いったい?:その1

15.05.31
ビジネス【マーケティング】
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前回までコンテンツ・マーケティングについて説明して来ましたが、もうひとつ注目を浴びている手法が、リアルタイム・マーケティング。現実のイベントに応じて、その場で対応するという広告手法です。

この方法がにわかに注目を集めるようになったのは、2012年のスーパーボウルでオレオというクッキーのブランドが行った、ツイッターを活用した広告が始まりでした。
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スーパーボウルと言えば、アメリカじゅうを熱狂させるプロ・アメリカンフットボールの年間王者を決める試合。広告界のビッグイベントでもあり、テレビCM放映料金は30秒3億円にも上ると言われています。有名なブランドがその日のためだけに高額を注ぎ込んでテレビCMを制作し、翌日には大衆紙で人気CMランキングが発表されるような国民的なイベントです。

その年、そこでいくつかのブランドがツイッター施策を行っていました。試合展開に合わせて“リアルタイム”に内容を変えてツイートする、というもので、それらはすべて一種のリアルタイム・マーケティングと言えます。

オレオもその中のひとつでした。オレオは100年の歴史を持つ老舗のクッキー。牛乳にひたして食べるのが一般的で、そのことをDunk(ダンク)と言います。

その日、スーパーボウルの最中に会場であるスタジアムで停電が起こったのです。すかさず見事な反応を見せたのが、オレオでした。暗闇の中、そこだけ淡い明かりが当たったクッキーの写真とともに、「停電? 問題ないよ。暗闇の中でだって、オレオは楽しめる(You can still dunk in the dark)」と投稿し、その機転の利き具合がウケて、1万5000回を超えるリツイート(再投稿)を獲得。大きな話題となり、大成功を収めました。

このように、「リアルタイムで起こっていること」を上手に取り入れて、自社製品の広告に関連づけることができれば、通常では考えられないほどの反応が期待できるわけです。

従来の広告実務の世界では“キャンペーン時期”が設定され、そこに向けて時間をかけてアイディアを考え検討し選んで作り上げたわけですが、デジタルの時代は、つねにON(Always On)である必要があると言われます。また、360°コミュニケーション(360°あらゆる方向から施策を検討する方法)をもじって、「360から365へ(365日毎日毎日の意)」とも言われるなど、この手法は今や、当然検討すべきやり方のひとつになっています。

次回も、このリアルタイム・マーケティングについて、ご紹介していきましょう。

次回の「佐藤達郎のマーケティング論」は『こんどは、リアルタイム・マーケティング! それって、いったい?:その2』をお届けします。


佐藤達郎のマーケティング論


[プロフィール]
佐藤 達郎(さとう・たつろう)
多摩美術大学教授(広告論/マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。

[記事提供]

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