KUMA Partners株式会社

『アサーション』が社員のメンタルにもたらす効果

26.05.26
ビジネス【人的資源】
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現代の職場では、対人関係に悩む社員が増えています。
特に、リモートワークの普及により、対面であれば補えていた感情の機微が伝わりにくくなり、言葉足らずによる誤解や孤立感が生じやすくなっています。
こうしたなかで、メンタルヘルスケアの有効な手法の一つとして注目されているのが「アサーション」というコミュニケーション手法です。
自分も相手も大切にしながら意見を伝えるアサーションが組織にもたらすメリットや、実践的なトレーニング方法について、解説します。

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心の健康を守る「アサーション」とは

働く人々が抱えるストレスの原因を紐解くと、常に上位にランクインするのが、職場での「対人関係」です。

厚生労働省が2023年に実施した「労働安全衛生調査」によると、労働者の8割以上が仕事や職場になんらかのストレスを感じており、そのなかの3割近くが職場での対人関係に頭を悩ませていることがわかりました。
上司との折り合い、部下への指導、あるいは他部署との調整など、仕事の成果はコミュニケーションの質に大きく左右されます。
職場での対人関係を円滑にし、心理的な負担を軽減するために有効なのが「アサーション」です。

アサーションとは、自分も相手も尊重しながら、率直に自己表現をするスキルのことを指します。
もともと1950年代のアメリカで、自分の意見をうまく伝えられずに悩む人々のための心理療法として始まりました。

日本人は特に、周囲との調和を重んじるあまり、自分の気持ちを押し殺してしまう「非主張的」なタイプか、逆に自分の意見を押し通そうとする「攻撃的」なタイプに分かれがちです。
しかし、アサーションはそのどちらでもない、相手を尊重しながら、自分の意見を伝えるという、建設的な第3の道を目指します。

従業員がアサーションを習得するメリット

従業員がこのスキルを身につける最大のメリットは、過度なストレスによるメンタル不調の防止です。
たとえば、許容量を超える仕事を依頼された際、断れずに引き受けてしまい、パンクしてしまう社員は少なくありません。
アサーションを身につけていれば、相手の状況に配慮しつつも「今の状況ではこれ以上引き受けることがむずかしい」と適切に伝えることができます。
これにより、一人で抱え込むリスクを回避し、良好な関係を維持したまま業務を調整することが可能になります。

適切に伝える力は、日本で深刻な課題となっているハラスメント問題の予防にもつながります。
パワハラなどの多くは、伝え方のバリエーション不足から、つい言葉が強くなってしまうことで発生します。
アサーションは「相手を攻撃せずに、自分の要望を伝える」技術であるため、管理職がアサーションを学ぶことで、部下を傷つけずに適切な指導ができるようになります。
結果として、職場全体の心理的安全性が高まり、風通しのよい組織文化が醸成されます。
採用の場でも同様で、求職者を一人の人間として尊重するコミュニケーションは、企業の信頼性を高め、優秀な人材の獲得にもつながるでしょう。

また、アサーションは社外との交渉においても効果を発揮します。
取引先からの無理な要求に対し、感情的にならず、かつ卑屈にもならずに「対等なパートナー」として解決策を提示できるようになります。
これは社員の自信につながるだけでなく、会社としての利益やブランドを守ることにも直結します。

日常のなかで実践できるトレーニング手法

アサーションは、トレーニングによって誰でも習得できる技術です。
たとえば、「アイ(I)メッセージ」というトレーニングがあります。
「あなたはなぜこれをやっていないの?」と相手を主語にすると、相手は責められていると感じて防衛的になります。
これを「『私は』この作業が終わっていないと困る」と、自分を主語にして伝えることで、相手に威圧感を与えず、自分の状況を正確に伝えることができます。

また、具体的な伝え方のフレームワークとして「DESC(デスク)法」もあります。
以下のように、D・E・S・Cのステップを踏むことで、感情に流されず、論理的かつ温和に自分の意見をまとめることができます。

Describe(描写):客観的な事実を伝える
Explain(説明):自分の気持ちや状況を表現する
Suggest(提案):具体的で現実的な解決策を提案する
Choose(選択):相手の反応に応じた選択肢を用意する

また、心の持ち方を整える「ABCDE理論」も有効です。
これは、起きた出来事(Activating event)そのものではなく、それをどう受け止めるかという自分の考え方(Belief)が、感情や結果(Consequence)を作るという理論です。
非合理な思い込みを論理的に否定(Dispute)し、新しい効果(Effect)を得ることで、ストレス耐性を高めることができます。

研修やミーティングなどを通じて、こうした手法を組織全体で共有することが、アサーションを文化として定着させる第一歩になります。
自社の職場環境に合わせて、まずは管理職向けのコミュニケーション研修からアサーションを取り入れてみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2026年5月現在の法令・情報等に基づいています。