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上限額が40万円に引上げ!『少額減価償却資産の特例』をおさらい

26.05.26
ビジネス【税務・会計】
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事業を行ううえで、パソコンや製造機械などの設備投資は避けて通れません。
通常、10万円以上の備品を購入した際は、数年に分けて経費にする「減価償却」を行いますが、一定の要件を満たす中小企業者等であれば、「少額減価償却資産の特例」を利用できます。
これまで、資産の取得価額の上限額が「30万円未満」だったこの特例ですが、「令和8年度税制改正」により、「40万円未満」へと引き上げられる方針が示されています。
特例の仕組みをおさらいしながら、改正によって生じる変更部分を把握しておきましょう。

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対象資産の価格上昇に合わせ上限額が引上げ

少額減価償却資産の特例における30万円未満という基準は、2003年度に制度が創設されて以来、20年以上もの間、変わることなく据え置かれてきました。

しかし、対象となる資産の価格も、昨今の原材料費や輸送費の高騰による「物価高」によって、上昇傾向にあります。
以前なら30万円未満で購入できていた高性能なパソコンや専門的な機械なども、予算をオーバーしてしまうケースが出てきました。
こうした実態に合わせ、現在の経済状況に見合った現実的な水準として40万円という数字が設定されました。
この引上げによって、購入したその年に全額経費として計上できる物品の選択肢が大きく広がることになります。

そもそも「少額減価償却資産の特例」とは、どのような制度なのでしょうか。
本来、10万円以上の備品を購入した場合は「固定資産」として登録し、法律で決められた耐用年数に応じて少しずつ経費化していく必要があります。
これを「減価償却」といいますが、中小企業にとって一つひとつの備品を何年もかけて管理し、複雑な償却計算を行うのは、事務的に大きな負担となります。

そこで、青色申告を行う中小企業者等に限り、1個あたりの取得価額が一定金額未満であれば、購入した年度にその全額を損金として算入できるという優遇措置が設けられました。
この特例を利用する最大のメリットは、利益が出ている期に設備投資を行えば、その分だけ利益を圧縮して法人税などの負担を軽減できることです。

法人税は、売上から経費を差し引いた「利益(所得)」に対して課されます。
たとえば、事業に使用する耐用年数が4年で取得価額が20万円のパソコンを購入した場合、特例を使わないと「4年かけて少しずつ毎年、経費計上する」ことになります。
法人税率を30%と仮定した場合、その年に経費計上できるのは5万円だけとなり、残りの15万円分には税金がかかるため、特例を使った場合と比べて、その年は4.5万円分(15万円×30%)多くの税金を支払う必要があります。
しかし、特例を使う場合であれば、20万円全額が購入した年の経費になるため、その15万円について生じる税負担を、将来に繰り延べることができます。

縮小された対象法人の範囲に注意

上限額が40万円未満に拡大されて使い勝手がよくなる一方で、今回の改正では対象となる法人の範囲に一部変更が加えられた点には注意が必要です。
「資本金または出資金の額が1億円以下の青色申告法人」という基本条件はそのままですが、常時使用する従業員数の要件が、現行の「500人以下」から「400人以下」へと引き下げられる見込みです。
これは、より支援を必要とする小規模な企業や、中堅に近い規模の企業への重点的な支援を明確にするための見直しと考えられます。

また、この特例自体はもともと期限のある時限措置ですが、今回の改正に伴い、適用期限が2029年3月末(令和10年度末)まで、3年間延長されることとなりました。
今後、数年にわたる設備投資の計画を立てるうえで、期間の延長は判断材料の一つになるはずです。
この新しい基準は、2026年4月1日の取得分から適用されます。

これまで「あと数万円安ければ一括で落とせるのに」と購入を躊躇していた高スペックなIT機器や、少し高価なオフィス家具、特殊な工作機械なども、新しい枠組みのなかであれば導入のハードルが下がります。
ただし、上限額は引き上げられましたが、年間の合計限度額などのルールは変わりません。
この特例では、40万円未満の資産の購入費用を何個分でも自由に経費にできるわけではないことに注意が必要です。
その事業年度に取得した対象資産の「合計額が300万円まで」しか認められないことになっています。
合計が300万円を超える場合、どの資産を優先的に一括で経費計上するかは企業側で選択できます。
基本的には、耐用年数が長く、通常なら経費化に時間がかかる資産から優先的に特例を適用するのが一般的です。

改正によって1点当たりの単価が上がった分、年間合計300万円という枠にこれまで以上に早く到達しやすくなります。
「どの備品を特例にするか」という優先順位を、決算前にしっかりシミュレーションしておくことが大切です。


※本記事の記載内容は、2026年5月現在の法令・情報等に基づいています。