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予防歯科に効果大!『唾液検査』でう蝕(虫歯)のリスクを評価

26.05.05
業種別【歯科医業】
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近年、歯科医院に求められる役割は、「削って治す」ことから、「守って保つ」ことへとシフトしつつあります。
そのなかで、患者一人ひとりに最適な予防プログラムを提案するための有力なツールとなるのが『唾液検査』です。
唾液を採取することで、口腔内の環境を数値化・可視化できるこの検査は、診断の精度を高めるだけでなく、患者の口腔ケアへの意識向上や、医院のブランディングにも役立ちます。
今回は、歯科医院が唾液検査を導入するメリットや、具体的な測定システムについて解説します。

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予防歯科の標準になりつつある唾液検査

『唾液検査』とは、患者から採取した唾液を専用の機器やキットを用いて分析し、口腔内に潜む細菌の活性度や種類、唾液の性質を明らかにする検査のことです。
従来、う蝕のリスクは歯科医師の経験や目視による判断に頼る部分もありましたが、唾液検査を導入することで、現在および将来のう蝕・歯周病リスクを予測するための指標として活用できるようになりました。

具体的に測定できる項目としては、う蝕のきっかけをつくる「ミュータンス菌」や、う蝕を進行・悪化させる「ラクトバチラス菌」の活性度や量、さらには唾液の分泌量や、酸にさらされた歯を修復(中和)しようとする力である「緩衝能」などがあげられます。
これらのデータは、その患者固有の「う蝕になりやすさ」を示す科学的な根拠となります。

検査自体は低刺激で、専用のガムを噛んでもらったり、少量の洗浄液で口をゆすいでもらったりするだけで完了するため、子どもから高齢者まで、幅広い年代の患者が負担なく実施できるという特徴があります。
そうして得られた詳細なデータをもとに、ブラッシング指導の強化や、食事習慣の改善、あるいは高濃度フッ素の使用といった、その患者のための予防プログラムを構築することが、現代の予防歯科では標準になりつつあります。

唾液検査を導入するメリットとデメリット

歯科医院が唾液検査を導入するメリットは、患者への説明に説得力が生まれることです。
ただ「磨き残しがありますよ」と伝えるだけでなく、「数値として虫歯菌がこれだけ多いので、今のケアでは防ぎきれません」と提示することで、患者も「自分事」としての意識が高まります。

また、一人ひとりのリスクに応じた治療を提供できるため、画一的な指導による「効果の出にくさ」を解消できます。
たとえば、唾液の緩衝能が低い患者には食習慣のアドバイスを重視し、細菌数が多い患者には除菌を主眼に置いたアプローチを取るなど、戦略的な診療が可能になります。

さらに、唾液検査を実施していること自体が「科学的根拠に基づいた高度な予防歯科を実践している医院」というアピールになり、他院との差別化を図ることにもなります。
特に、健康意識の高い層の集患に寄与する可能性があります。

一方で、唾液検査は原則として保険適用外の自費診療となるため、患者にとっては金銭的な負担が増えることになります。
そのため、なぜこの検査が必要なのか、検査を受けることでどのようなメリットがあるのかを、丁寧に伝えなければなりません。

加えて、検査機器の導入コストや、検査キット、専用の試薬といったランニングコストも発生します。
これらを単なる経費としてとらえるのではなく、受け持つ患者の口腔内の健康を長期にわたって守るための投資として考えましょう。

唾液検査システムの導入で予防歯科を強化

現在、多くの歯科医院で活用されている唾液検査のシステムに、「SiLL-Ha(シルハ)」や「SMT(サリバリーマルチテスト)」などがあります。

アークレイ株式会社の「シルハ」は、わずか5分間で口腔内トラブルに関係の深い6項目(虫歯菌、酸性度、緩衝能、白血球、タンパク質、アンモニア)を同時に測定できるシステムです。
測定結果がレーダーチャートとしてビジュアル化されるため、専門知識がない患者でも自分の弱点を一目で理解できます。
特に、自覚症状が出にくい初期の状態を客観的なデータで示せる点は、予防への動機づけにおいて非常に強力な武器となります。

一方の「SMT」は、ライオン歯科材株式会社のシステムです。
必要な機器は測定機とパソコン、プリンタの3点と非常にシンプルで、スペースの限られた診療室でも導入しやすいのが魅力です。
こちらも多項目を短時間で測定し、わかりやすい結果シートを出力できるため、スタッフ間の共有や患者へのフィードバックがスムーズに行えます。

こうした唾液検査システムの導入は、科学的な裏付けを持った予防歯科を推進することにもなります。
地域住民の口腔内の健康を守るという意味でも、唾液検査の導入を検討してみてはいかがでしょうか。


※本記事の記載内容は、2026年5月現在の法令・情報等に基づいています。