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相続税の追徴課税はなぜ起こる? 不動産評価の落とし穴と予防策

26.02.03
業種別【不動産業(相続)】
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相続税の申告後、税務署の調査によって追加納税を求められる「追徴課税」をご存じでしょうか。
国税庁の調査事績でも、相続した不動産の評価誤りや申告漏れに起因する追徴課税が多く発生している傾向がみられます。
特に土地や建物は評価方法が複雑で、面積の認識違いや路線価の適用誤り、特例の要件不備など、小さなミスが高額な追徴課税につながることも少なくありません。
今回は、追徴課税がどのような場面で発生するのか、不動産に関係する内容を中心に、押さえておきたいポイントを解説します。

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追徴課税が発生する主なケース

追徴課税とは、申告誤りなどにより追加で納付すべき税額に加え、その不足や遅延に対して課される加算税・延滞税などの付帯税を総称したものです。
相続税で主に問題となる追徴課税には、「過少申告加算税」「無申告加算税」「重加算税」「延滞税」などがあります。
税務署が申告内容を確認した際に「評価誤り」「申告漏れ」「特例の不適用」などが判明すると、追徴課税が行われます。
税務調査の結果、申告誤りが確認されると「更正通知書」により追加納税額が確定し、その際に加算税や延滞税もあわせて課されます。

特に多いのが、不動産に関する評価額の誤りです。
代表的な例としては、土地の面積を誤って計算していたケース、路線価を隣接区画のものと取り違えていたケース、建物の評価で固定資産税評価額を正しく反映していなかったケースなどがあげられます。
路線価の誤りには、隣接路線の選択ミスや角地補正・側方路線影響加算・不整形地補正の適用漏れがあり、特に奥行価格補正率の誤用が多く見受けられます。
相続税では、建物の評価額は原則として固定資産税評価額をそのまま用いるため、この金額の確認漏れが誤りの原因となることもあります。

また、「小規模宅地等の特例」は、一定の要件を満たす宅地について、相続税の課税価格を最大80%減額できる制度です。
しかし、同居要件や利用実態の確認が厳格で、住民票の記載だけでなく実際の生活状況が重視されるため、要件を満たしていないことが後から判明して否認されるケースも少なくありません。
被相続人が施設に入所していた場合の取扱いなど、例外も多いため、事前に要件を精査することが重要です。

そのほかにも、預貯金や有価証券などの金融資産の申告漏れ、生前贈与の申告漏れ、名義預金(被相続人が家族名義で管理していた預金)の見落としなども、追徴課税の原因となります。
これらは、故意でなくても、結果として追加の税金が発生し、延滞税や過少申告加算税が課されることになります。
過少申告加算税は通常10%ですが、税務調査前に自主的に修正申告を行なった場合には5%に軽減されます。
また、追加税額が50万円を超える部分については、加算税率が15%に引き上げられます。
延滞税の利率は毎年見直されるため、最新の年度のものを確認する必要があります。

追徴課税を避けるための予防策

追徴課税を防ぐためには、まず「不動産評価の正確性」を確保することが重要です。
土地の形状、利用区分、私道負担の有無、間口や奥行の長さなど、評価に影響する要素は多岐にわたり、一般の方だけで判断するのは困難な領域といえます。
評価明細書を作成する前に、地積測量図や登記事項証明書を確認することが第一歩です。
登記記録上の面積と実測面積が異なるケースもあるため、必要であれば専門家による実地調査を行うことで、重大な計算誤りを回避することができます。

また、路線価図を確認する際は、対象地がどの路線価に該当するのかを慎重に見極める必要があります。
国税庁の路線価図はインターネットで公開されていますが、隣接道路との関係や角地補正、側方路線影響加算など、専門的な判断が求められる場面も多いため、専門家に相談することをおすすめします。

特例の適用についても、要件を満たしているかどうかを事前に確認しましょう。
小規模宅地等の特例を適用する場合は、被相続人との同居実態を証明できる書類(住民票、光熱費の支払記録など)を準備しておくことが重要です。

また、生前贈与加算の対象期間が拡大されており、2024年以降は段階的に延長され、最終的には相続開始前7年以内に行われた生前贈与分が相続財産に加算されます。
制度変更を踏まえ、贈与記録を整理しておくことが大切です。
書類の保管や時系列の確認など、事前準備を徹底することでリスクを最小限に抑えることができます。

相続税の申告期限は、相続開始を知った日の翌日から10カ月以内です。
この期間内に正確な評価と申告を行うためには、早めに準備を始めることが重要です。
特に不動産が複数ある場合や、事業用資産が含まれる場合は、評価に時間を要するため、相続開始後は速やかに専門家へ相談することをおすすめします。

相続税の追徴課税は、評価誤りや申告漏れなど、ちょっとした見落としから生じることが少なくありません。
不動産は評価が複雑なため、専門的な確認が不可欠です。
申告前のチェックを丁寧に行い、必要に応じて専門家に相談することで、適切な申告を行うようにしましょう。


※本記事の記載内容は、2026年2月現在の法令・情報等に基づいています。