KUMA Partners株式会社

休職との違いは?『キャリアブレイク』の経験者に熱視線!

25.06.24
ビジネス【人的資源】
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働き方の多様化が進むなかで、日本でも「キャリアブレイク」という考え方が広まってきました。
キャリアブレイクとは、労働者が仕事から一時的に離れ、自身のキャリアや人生について深く考える期間を指します。
近年では、欧米を中心にキャリアブレイクを前向きにとらえる動きがあり、日本でもキャリアブレイク経験者の採用を積極的に行なっている企業があります。
今回は、企業の採用担当者に向けて、キャリアブレイクの具体的な中身や経験者が注目される理由などを説明します。

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キャリアブレイクの重要性が注目される理由

キャリアブレイクの目的は、労働者が日々の業務から離れ、自己の内面と向き合い、本当にやりたいことや目指す方向性を再確認することにあります。
また、これまで培ってきたスキルや経験を振り返りながら、今後のキャリアプランを戦略的に練り直すことも含まれます。
期間は数週間から数カ月、あるいは1年以上に及ぶことも少なくありません。

従来の働き方において、キャリアは直線的に積み重ねていくものと考えられがちでしたが、変化の激しい社会情勢や個人の価値観の多様化に伴い、今はキャリアの途中で意図的に立ち止まり、方向転換や再構築を図るという考え方が広まりつつあります。
キャリアブレイクは、決してキャリアの停滞ではなく、むしろより充実した自分らしいキャリアを築くための積極的な行動と位置づけられます。

キャリアブレイクは、リカレント教育やワークライフバランスなどが注目されている現代だからこそ、より重要性が高まっています。
終身雇用制度の崩壊や雇用の流動化が進むなかで、労働者は一人ひとりが主体的に学び直し、自身のキャリアを形成していく必要があります。
そのため、労働者は企業に依存するのではなく、自分のスキルや経験を磨き、市場価値を高めていかなければいけません。

また、長時間労働や過度なストレスを避け、自分自身の時間や価値観を大切にしたいというニーズが高まるなかで、心身のリフレッシュを図り、新たな気持ちで仕事に向き合うための期間も必要です。

さらに、グローバル化の波も無視できません。
海外では、キャリアブレイクは一般的な概念として浸透しており、多くの人々が積極的に活用しています。
日本においても国際的な競争力を高めるためには、多様な経験や価値観を持つ人材の育成や活用が不可欠であり、キャリアブレイク経験者は、その一翼を担う存在として期待されています。

ただし、海外におけるキャリアブレイクは、在職中に企業が制度として設けたり、個人が自発的に申し出て一定期間休職したりするケースが多いのに対し、日本では一旦退職して、期間を空けて転職活動を行うというケースがよく見られます。
このような状況から一部の企業では、社員のキャリア自律を支援する観点から退職ではなく、一時的な休職として業務から離れる「キャリアブレイク制度」を導入する動きも出てきています。

キャリアブレイク経験者採用時のポイント

日本でもキャリアブレイクを経験した人材の持つ可能性に注目し、積極的に採用しようとする企業が増加しています。
これらの企業は、労働者のキャリアブレイクを通して得られた主体性や多様な視点、適応能力、そして何よりも成長意欲の高さを評価しています。

キャリアブレイク中に、異文化に触れたり、新しい分野を学んだり、社会貢献活動に参加したりと、多様な経験を積んだ人材は、従来の組織にはない新たな視点や発想をもたらしてくれる可能性があります。

また、みずからの意思でキャリアを中断し、将来について深く考え、行動してきた経験は、高い主体性と自律性の礎となります。
キャリアブレイク経験者は、みずから課題を発見し、解決に向けて積極的に動く人材の可能性が高いといえます。

さらに、キャリアブレイクという大きな変化を経験し、乗り越えてきた人材は、変化への適応力や柔軟性が高い傾向にあります。
不確実性の高い現代において、環境の変化に対応できる人材は、組織にとって大きな強みとなります。

このようなキャリアブレイク経験者を採用する際は、なぜキャリアブレイクを選択したのか、その期間に何を経験し、何を得たのかを詳しくヒアリングしましょう。
単なる離職期間としてとらえるのではなく、その経験が応募者の成長にどのように影響しているのかを見極めることが重要です。
同時に、キャリアブレイクを経て、どのようなキャリアを描いているのか、自社でどのように活躍したいと考えているのかを具体的に確認する必要があります。
入社後のミスマッチを防ぐためにも、双方の考え方や価値観をすり合わせるようにしましょう。

キャリアブレイク経験者の採用は、従来の採用選考とは異なる視点を持つことが重要です。
たとえば、書類選考や面接だけではなく、グループディスカッション、ワークショップなど、多様な選考方法を取り入れることで、応募者の多面的な能力や適性を評価することができるでしょう。


※本記事の記載内容は、2025年6月現在の法令・情報等に基づいています。