KUMA Partners株式会社

物価高騰の影響も!? サロンが値上げを成功させるためには

25.05.06
業種別【美容業】
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近年、さまざまなものが値上がりして、生活に影響を与えています。
美容サロンも例外ではなく、光熱費や材料費の高騰により、経営が圧迫されている店舗も少なくありません。
「値上げをしないと厳しいかもしれない」と考えているオーナーも多いと思いますが、値上げは客足が遠のくリスクもあり、慎重に判断する必要があります。
値上げを検討するタイミングや失敗しないための方法など、サロンの値上げについて考えます。

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倒産を防ぐためには値上げも仕方ない?

円安による輸入品の価格上昇や世界経済の影響などにより、日本では物価の高騰が続いています。
総務省統計局によると、2020年を100とした場合、2025年3月の消費者物価指数は111.1と、前年同月比3.6%の上昇を記録しました。
消費者物価指数とは、消費者の購入する商品やサービスの価格変動を測定する指標のことで、物価上昇や物価下落の判断に使用されます。
政府の対策や企業の賃上げが進んでいるものの、現在は持続的な物価上昇の局面に移行しつつあると考えられています。

多くの物の価格が上昇しているなかでも、特にエネルギー価格や原材料費の高騰は、美容室の経営を圧迫する大きな要因になります。
電気代やガス代などの光熱費は大幅に値上がりしており、美容室の運営コストを押し上げています。
シャンプーやトリートメント、カラー剤などの材料費も高騰しており、仕入れ価格の上昇が深刻な状況です。
テナント料の値上がりなども相まって、店を畳むサロンも増えてきました。
2024年度の美容業の倒産件数は、これまで最も多かった2023年度の182件を超えて、2025年2月までで197件と、過去最多を更新しています。

サロンの倒産を防ぐためには、値上げに踏み切らなければならないかもしれません。
これまでと同じ価格でサービスを提供していては、利益が減少し、経営が立ち行かなくなる可能性があります。
高品質なサービスを提供するためには、施術に必要な材料や薬剤の代金をサービス価格に転嫁せざるを得ません。
また、物価の高騰は従業員の生活にも影響を与えます。
値上げによって得られた利益を給与に還元し、従業員の生活を守ることは、オーナーの責務でもあります。

値上げをする際に注意するべきこと

物価の高騰によって、値上げをしなければならない状況になったとしても、簡単に決断できるオーナーはいません。
なぜなら、値上げはさまざまなリスクがあるからです。

まず、値上げによって、お客がより安い美容室に流れてしまう可能性があります。
特に、価格に敏感なお客は、値上げを機に離れてしまうかもしれません。
さらに、値上げしてもサービスの内容自体が変わらなければ、お客は「料金が高くなったのに質が変わらない」と感じ、結果として顧客満足度が低下し、リピーターが減ってしまうでしょう。

こうした客離れを起こさずにサービス価格の値上げを行うには、事前の準備と戦略が重要になります。
はじめに競合店の価格を調査し、自店の価格設定が適切かどうかを判断しましょう。
競合店よりも高い価格を設定する場合は、それに見合うだけの付加価値を提供できないと、お客は離れていってしまいます。
あまりにも値上げ幅が大きい場合は、お客の反発を招く可能性もあるので、段階的に値上げをするなどの工夫も必要です。
ただし、何度も値上げを繰り返すと逆効果になる場合もあるので、状況を見て判断しましょう。

また、お客に値上げを受け入れてもらうためには、値上げについて納得感のある理由を明確に説明できなければいけません。
「物価高騰によるコスト増」「サービスの質を維持・向上させるための投資」など、具体的な理由を伝えましょう。
お客の理解を得ることさえできれば、値上げはそうむずかしいことではありません。

値上げを伝える際にも、お客に納得していただくためには丁寧な説明と誠意ある対応が必要になります。
値上げが決まったら、口頭でお知らせすることはもちろん、ホームページやSNSなど、複数の方法で可能な限り早く告知を行いましょう。
告知が遅れると、お客に不信感を与えてしまう可能性があります。
そして、値上げの理由とあわせて、値上げ後も来店してくださるお客に、感謝の気持ちを伝えましょう。
感謝の気持ちを伝えることで、お客との信頼関係を維持し、良好な関係を築いていくことができます。

美容室の値上げは、経営を維持・向上させるために必要な選択肢の一つですが、一方で、客足が遠のくリスクも伴います。
よく考えて決断し、値上げする際には、お客への丁寧な説明と誠意ある対応を心がけましょう。


※本記事の記載内容は、2025年5月現在の法令・情報等に基づいています。