ラーメンとプライバシー
突然ですが、博多ラーメンはお好きですか? 私は15年ほど前に北九州で半年間仕事をしたのをきっかけに、当時はまだ全国展開していなかった「一蘭」を博多の中洲で初めて知り、以来ときどき東京のお店に寄るようになりました。 この店のシステムが相当変わっています。食事はすべてカウンターで供され、しかも両隣に仕切りがあり、投票所の記入コーナーのよう。かなり狭いスペースに客を座らせていますが、仕切りがあるために見知らぬ隣人と結構密接していることも、隣からつゆが飛んでくることも気になりません。 席に着いたら問診票…いや注文書に○をつけ、ボタンを押すと店員が小窓からそれを受け取ります。「会話」の必要がありません。何しろ隣の顔は見えませんから、数名で一緒に来ても当然会話は弾まず、黙々とラーメンを食べる。そして食べたら長居せずさっと帰る。実に機能的です。味に定評はありつつも、食す姿が「家畜っぽい!」「若者のコミュニケーション能力を奪う!」と友人の間でも賛否両論。しかし、いわゆる「個食」の時代には合っているのだろうと思います。