社会保険労務士法人村松事務所

組織への目配せはスタッフ全員でやればいい

14.01.05
ビジネス【人的資源】
dummy
組織を束ねるリーダーも、ひとりの人間である。

自分の指揮下にあるグループが大きくなければ、
相性の良くないタイプや苦手な性格の部下が、
ひとりぐらいはいるものだろう。

部下に嫌われてしまうこともある。
それが女性なら、難易度は上がる。

距離感を縮めようとすると、
さらに関係が悪化する恐れがある。
無理に踏み込めない分、対処法に苦慮しがちだ。
スポーツの視点からみる人的資源

「こちらから熱心にアプローチしても、
自分を慕ってくれない部下もいるものです」
と話すのは、女子サッカー日本代表
『なでしこジャパン』を率いる佐々木則夫監督だ。

「最初のアプローチとしては、
上司から歩み寄ることが大切でしょう。
相手を変えさせるよりも、
自分が変わるほうがずっと簡単です」

自分の周囲にいる人間を、
佐々木監督は三つに分類している。
(1) どんな状況でも自分を受け入れてくれるタイプ、
(2) ケース・バイ・ケースで受け入れてくれるタイプ、
(3) なかなか自分を受け入れてくれないタイプ、である。

「誰からも好かれたいと願うのが人間ですが、
(3) との関係改善にばかり
エネルギーを注ぐのは避けるべきです。
『どうして自分を認めてくれないのか』
といったストレスが溜まりますし、①や②との関係が
おろそかになってしまうこともあるからです」

自分に心を閉ざす選手がいたら、
佐々木監督はコーチの助けを求めるという。
「監督である私を毛嫌いする選手でも、
コーチの誰かとは打ち解けているものです。
そこにコミュニケーションの突破口があります。
『A』という選手と仲の良い『B』という選手を通して、
『A』の情報を吸い上げることもあります」

身近にいる部下の力を借りるのは、
上司としての責任を放棄することではない。
部下に対する信頼の表れでもある。

「組織へのスタッフ全体でやればいい」と、
佐々木監督も語るのだ。


次回のスポーツの視点からみる人的資源は
「「上司の決断力」とは?」(仮)をお届けします。


[プロフィール]
戸塚 啓(とつか・けい)
1968年、神奈川県生まれ。法政大学法学部法律学科卒業後、雑誌編集者を経てフリーのスポーツライターに。新聞、雑誌などへの執筆のほか、CS放送で欧州サッカーの解説なども。主な著書に『不動の絆』(角川書店)、『僕らは強くなりたい~震災の中のセンバツ』(幻冬舎)。


[記事提供]

(運営:株式会社アックスコンサルティング)