社会保険労務士法人村松事務所

美容室でできる無断キャンセルをさせない環境づくり

23.05.01
業種別【美容業】
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美容室を経営するうえで、避けて通れないのが無断キャンセルです。
事前にキャンセルの連絡があれば、空いた時間を別の予約で埋めたり、準備の時間に充てたりすることもできますが、当日の無断キャンセルはそうした代替手段を取ることもできず、本来は得られるはずだった利益をそのまま失うことになります。
原材料費の高騰などで支出が増えるなか、収益の減少を食い止めるには、無断キャンセル対策が大切です。
お客の心理などを把握し、無断キャンセルを減らすための対策を講じましょう。
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困った無断キャンセル。まずは現状把握を

無断キャンセルは店の規模やスタッフ数にかかわらず、どの美容室でも必ず発生してしまうものです。
しかし、毎日の無断キャンセルの数や割合、無断キャンセルで生じた損失の額などを正確に調査している店は少ないのではないでしょうか。
無断キャンセルを減らすためには、まず店の実態を把握する必要があります。

たとえば、ある月の無断キャンセル率を導き出す場合、以下の計算式で求めることができます。

〈1カ月間で発生した無断キャンセルの数÷1カ月間の全体の予約数×100%〉

このように数値化することで、どの程度の対策が必要なのかがわかります。
一般的に無断キャンセル率は低い店で5%、高い店で20%ほどといわれています。
つまり、上記の計算式で20%に近い無断キャンセル率の美容室は、かなり無断キャンセルが多いことになります。
逆に5%以下の店は、そこまで心配することはないといえるでしょう。
無断キャンセルはすでに定着しているリピーターではなく、まだスタッフとの関係性ができていない新規予約客に多い傾向があります。
したがって、リピーターの多い店は、必然的に無断キャンセルが少なくなります。

お客の心理を理解することは、無断キャンセルを防止するヒントをつかむことにもつながります。
そもそも新規予約客はなぜ、無断キャンセルをしてしまうのでしょうか。

キャンセルの理由として最も多いのは、「都合が合わなくなった」という客側の事情だとされています。
本来予約していた時間に、仕事や家族からの用事、友人からの誘いなどが入り、美容室に行けなくなってしまうこともあるでしょう。
また、「髪形を変える気分ではなくなった 」や「ほかのお店に変えた」などの理由でもキャンセルされることがあります。
店としては「キャンセルするのであれば連絡してほしい」というのが正直なところです。
しかし、無断キャンセルをするお客としては「連絡が面倒くさい」「キャンセルが気まずい」などの理由で連絡をせず、「もう行かないからいいか」と、そのままにしてしまいます。

一般的に、美容室の予約にはキャンセルに関する規定を明示していない店が多いことも、お客が無断キャンセルをしがちになる理由の一つなのかもしれません。


無断キャンセルを減らすための4つの対策

店の無断キャンセル率を可視化し、原因を把握し、お客側の心理を理解したら、実際に無断キャンセルの対策を講じる必要があります。
無断キャンセルを減らすには、主に以下の4つの対策が考えられます。

(1)無断キャンセルの規定を作成する
いわゆる『キャンセルポリシー』として、キャンセルのできる期間やキャンセル料を設定することで、無断キャンセル率の低下が期待できます。
ここで注意したいのは、キャンセル料の額です。
キャンセル料は、消費者契約法第9条に基づき、平均的な損害額を超える部分は無効になります。
無断キャンセルによって1万円の損害が出るのであれば、キャンセル料も最大1万円までしか設定できません。
具体的なキャンセル料を明示し、来店が遅れた場合の対応方法などもあわせてキャンセルポリシーに記載しておきましょう。

(2)前日にリマインドする
予約客に「明日は予約が入っています」など、メールやLINEなどでリマインドすることで、「予約したのを忘れていた」というお客の取りこぼしを防ぎます。

(3)SNSなどで定期的な告知を行う
割引キャンペーンやクーポンなどは客離れの対策でもありますが、同時にすでに予約したお客の来店意欲を高める効果もあります。
ほかの店に乗り換えることによるキャンセルを防ぐためにも、定期的に告知を行っていきましょう。

(4)事前決済を導入する
オンライン決済機能を備えたホットペッパービューティーの『スマート支払い 』などの事前決済サービスを導入します。外部のサービスを経由して予約をしたお客の無断キャンセル率を、大幅に減らすことができるでしょう。

これらの対策をどのように取り入れていくのか検討し、まずは計画を立て、できることから実際に導入してみることが重要です。
3カ月から半年ほど試してみて、自店に合った無断キャンセル対策を構築していきましょう。


※本記事の記載内容は、2023年5月現在の法令・情報等に基づいています。