社会保険労務士法人村松事務所

まずはリスクの洗い出しから。サロンでできる最新のコロナ対策

20.11.02
業種別【美容業】
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新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、あらゆる業種でさまざまな予防対策が取られています。
しかし、サロンに限っていえば『美容関係だからこそ特にすべきこと』は、それほど知られていないのではないでしょうか。
今後このような状況が長引くことを踏まえ、これから美容院が取り組むべきことは、具体的に何でしょうか。
冬には感染の再拡大が懸念されているので、その前に改めて基本的な知識を確認していきましょう。
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サロンごとに違う対策。まずはリスク評価を

ひと口に『感染予防対策』といっても、サロンによって、必要な対策はさまざまです。

世間的には、いわゆる3密(密閉・密集・密接)を避けるために、互いに手を伸ばすと届く距離での会話や発声などはなるべく避けるべきといわれていますが、サロンでは、これを守ることが難しい場合もあります。
長期化が予想されるコロナ対策に向けて、通常の業務形態に取り入れられるような対策を考えることが重要です。

全日本美容業生活衛生同業組合連合会(以下、全美連)が策定した『美容業における新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドライン』によれば、店内における感染防止の基本は、『密閉空間』『密集場所』『密接場面(手を伸ばしたら届く範囲での会話や発声)』の3つの条件を避けることです。
そのうえで、課題を洗い出すための『2つの感染パターンのリスク評価』を行います。

●接触感染におけるリスク評価
複数の従業員が共有する器具や、顧客も触れるドアノブなど手が触れる場所を特定し、これらへの接触の頻度を評価する。
よく触る部分(受付テーブル、美容椅子、ドライヤー等の美容器具、美容用剤、シャワーヘッド、ドアノブ、電気のスイッチ、電話、レジ、蛇口、手すり、エレベーターのボタン等)を認識しておく。

●飛沫感染におけるリスク評価
施設における換気の状況を判断して、人と人との距離がどのくらい取れるか、施設内での会話や客に直接触れる作業がどんなタイミングで起きるかなどをチェックする。

全美連では、これらをリスク要因としてあげ、対策が必要であるとしています。

リスク評価に基づいた具体的な対策方法もあるので、詳しく知りたい場合は、以下のURLを参考にするとよいでしょう。
(全日本美容業生活衛生同業組合連合会:http://www.biyo.or.jp/news/guildline.html

ガイドラインは随時見直されることを前提としているので、感染の状況が変わった時には、再度ご確認ください。 


まずは基本的な対策をしっかり押さえて

最近では、感染経路不明の患者が急増し、目の前の人が感染しているのかどうかも、よく分からないような状況になりつつあります。
来店した人から、「発熱などの症状があった」「感染者の濃厚接触者となった」などと連絡があった時のために、顧客名簿はしっかり管理し、その時間に店にいたスタッフや客を把握できるようにしておきましょう。

また、すぐにできることとしては、

●利用者がすでに感染している可能性がないか問診で把握する
●待合スペースが混雑しないよう予約状況を調整する

などもあります。

ほかにも、店内の動線に配慮する、スタッフと客との接触機会をなるべく減らす、といった対策や、クリアカーテンなどで仕切り、飛沫を防ぐといった方法も有効です。

壁や壁紙をウイルスに強い抗菌仕様にしたり、十分な換気ができるよう空気の流れを遮断しない店内構造に改装したりと、より積極的に対策しているサロンもあります。
人と人の接触を極力減らすため、客が自分の手で荷物を預けられる専用ロッカーを設置するなどの工夫もされています。

最後に、日本よりも感染状況が深刻になっているアメリカ・ミズーリ州で、あるサロンが感染防止に成功した事例をご紹介します。

この店では、ヘアスタイリスト2名がコロナウイルスに感染し、それぞれ施術した140名の客すべてに、感染の疑いが浮上しました。
ヘアスタイリストと客は、市の条例とサロンの方針に従い、施術の間はマスクをしていました。
感染の疑いが出てからは、該当する客すべてが2週間の自宅待機を余儀なくされましたが、期間が終わって検査を受けたところ、全員が陰性という結果でした。

クラスター化を免れたことについて、保健当局は、『マスク着用などの基本的な安全対策を徹底していた』ということが効果的だったとして、取り組みを称えました。
この事例は、スタイリストと客との間は濃厚接触していたにも関わらず、感染が広がらなかったことから、すべての人がマスクをする、という基本的な対策が有効であった、ということを示しています。

コロナ対策は業務の妨げになりやすいですが、これからもしばらく続くことが予想されており、いかに通常業務のなかに取り入れるかがとても重要です。
まずは、さまざまな取り組みをリサーチしながら、自店が今できることを検討しましょう。


※本記事の記載内容は、2020年11月現在の法令・情報等に基づいています。