社会保険労務士法人村松事務所

企業のグローバル化と人材のローカル化

14.10.15
ビジネス【人的資源】
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例えば、100円ショップのダイソーで文具を買ったとします。
いまは、品質といいデザインといい、日本製の文具と遜色のないものがきらびやかに店頭を飾っています。
ところが、使い切って補充しようと店に行きますが、そこで発見することに「同じものがない」ということ。
店員に訊いても似た物を紹介するばかり(100円ショップに店員はあまりいませんが)。
私たちは知らない間に、使用価値よりメーカー名にしばられているのかもしれません。
同じメーカーを買っていれば安心という。
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企業成長のための人的資源熟考

けれどもダイソーにそれを求めるのは無理。
なぜならその買付は、中国から品物を船一杯単位で買うからです。
つぎの船に、同じものを積むことはありません。
同じようなものは積んでも、中味はあちら任せです。
ですから使い切って終わりということになります。

ダイソーは、1977年創立以来、2014年には国内に2,800店舗、海外25ヵ国に840店舗を持つほどに成長を遂げています。
価格破壊戦略が成功しているのですが、その陰には、これまでの商慣行の破壊も含んでいます。
国により地域によって事情はいろいろです。
ローカルの事情、例えば大阪と東京の違いなどもあるでしょう。
価格破壊をグローバルな力とすれば、個別事情はローカルな力ということ。
よく、「グローバルに考えてローカルに行動せよ」といいますが、まさに「グローカル」な世界です。

ヒト、モノ、カネの順序で、国境の垣根が低くなりグローバル化が進むだろうことはすぐわかります。
けれども実際はそう簡単ではありません。
とくに最近では、国や連合体や地域の制度的な規制が複雑にからむようになっています。
例えば、カネの国際移動の制限や域内貿易の自由化などが話題を呼んでいます。
ヒトについては、外国人労働者が緊急課題です。

企業がグローバル化するとき、ヒトはどのように対応すればいいのでしょうか。
まず、日本国内における外国人従業員の受け入れ問題があります。
つぎに、日本人社員を海外に派遣する、とくに指導者層として活躍してもらうためです。
適当な社員を派遣できない場合は、現地で資格のある日本人を契約社員として雇い入れることもあります。

けれど一般に多国籍企業では、現地人を活用するのが普通です。
親元企業の技術や経営慣行の移転にこだわらなければ、資本はグローバルで人材はローカルです。
日本企業は一般に日本人寄りなので、経営人材の現地化が遅れていると言われています。


[プロフィール]
佐野 陽子(さの・ようこ)
慶應義塾大学名誉教授。1972年慶應義塾大学商学部教授。87年から2年間、日本労務学会代表理事。89年から2年間、慶應義塾大学商学部長・大学院商学研究科委員長。96年東京国際大学商学部教授。2001年から4年間、嘉悦大学学長・経営経済学部教授。主な著書:『はじめての人的資源マネジメント』『企業内労働市場』(ともに有斐閣)。

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