社会保険労務士法人村松事務所

「組織原則が組織運営の問題を解決する」編

20.05.25
ミニコラム
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   ミニコラム「組織原則が組織運営の問題を解決する」編        
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<賃金は支給目的が一番の原則>
    
二十数年前から日本で広まってしまった「賃金格差をつけて、モチベーション
を上げる」という方法は、成果の上がらない社員のモチベーションを高め、
成果を上げさせ、業績向上を実現できる方法のはずでした。

しかし、賃金だけでモチベーションを上げようとした会社では、優秀な社員が
自分のことしか考えない社員に成長してしまったために、組織全体のことを考
えることはなくなってしまいました。
本来なら、優秀な社員がさらに優秀に
なるためには、自利の世界から利他の世界に成長させることが必要だったのです。
その機会を失ったことが、会社全体の業績の低下に繋がっていることに徐々に
経営者が気が付き始めたことでしょう。

今も、賃金で社員のモチベーションを上げることができると多くの経営者が
誤解しています。しかし、賃金制度は社員のモチベーションを上げるための
道具にしてはならないのです。

社員のモチベーションを上げるための道具は、社員の成長を認めること以外に
ありえないのです。そのために成長のゴール、モデルを評価シートとして示す
方法をお伝えしています。

賃金制度を社員が納得できるようにつくるためには、成果を上げたから高い
賃金にするという短絡的な作り方ではなく、社員の成長に伴って賃金が増える
ということ、その思いを可視化することになります。その中で一番大切なことが、
賃金項目の支給目的となります。

賃金体系には大きく分けて基本給と諸手当があります。基本給には内訳として、
社員の成長に伴って増えていく成長給と、生活保障するための年齢給、それから
定着率を高めるための勤続給があります。

もちろん、年齢給や勤続給の支給目的は経営者が考えるものであり、専門家に
その目的を教えてもらうものではありません。賃金の支給目的は法律的に何も
決まっているわけではありませんし、ビジョン的にも正しいと言われるものが
あるわけでもありません。この点について、誰かに頼ることはできません。
経営者自らがその賃金項目の支給目的を決めなければなりません。

諸手当もそうです。役職手当にはどういう支給目的があるでしょうか。家族手当
の支給目的はなんでしょうか。住宅手当はどうでしょう。資格手当とは何でしょうか。

それぞれに支給目的があります。それは経営者自らが決めなければなりません。
それによって、その目的に適った運営がされていかなければなりません。

例えば、資格手当が社員の資格を取得するために役に立たない、場合によっては
社員の成長にとってその資格取得が必要だという認識になれば、それは資格取得
によって手当を支給するのではなく、昇格要件にすべきだという変更が必要になるでしょう。

経営者自らがその支給目的を決めれば、これからの人事制度の見直しを経営者の
考えとおりに行うことができます。しかし、間違って専門家の考え方に巻き込まれ
てしまえば、経営者自らが見直しすることはできなくなります。

ですから、すべての賃金は支給目的を明確にしていかなければなりません。
賃金制度を構築する時の一番の大切なことはそれです。そして5年後10年後に
賃金制度を見直す際には、目的に沿った形で改廃、新設をしていただきたいと思います。

見直しは常に行われていきます。しっかりと経営者の価値観に基づいた支給目的を決め、
見直しをしてください。

    = この続きは、来月またお送りいたします。 =