社会保険労務士法人村松事務所

「組織原則が組織運営の問題を解決する」編

19.03.29
ミニコラム
<成長コースは難易度統一の原則>

すべての社員は会社に入社するときに適性を考えて仕事を選びます。その際
の適性とは自分で仕事をするプレーヤーの世界での適性あることに間違いは
ありません。つまり、自分でやりたい仕事は何であるか、その適性を考えて
入社する会社を考えていると言えます。
ところがその入社した会社でプレーヤーの仕事で優秀になると、次はマネジ
メントの仕事をさせようと経営者は考えています。そのため、次の中堅職に
ステップアップした社員は自分で仕事をするだけではなく、部下を持ち部下
を成長させることに取り組むことになります。

今までは自分で苦労し、上手くいけば結果が出て、上手くいかなければやっ
ている仕事を見直すことで次の成功につなげることはできました。それは
プレーヤーの世界だからです。

次のマネジメントの世界に入るとこの問題は異質となります。なぜなら、
自分では一生懸命指導しているつもりであっても、部下が成長しないことが
あるからです。そのときに部下が成長しなければ、部下の問題と考えてしま
うからです。

この問題を自らのマネジメントの問題であると理解できなければ、いつまで
経っても部下を成長させられる上司にはなれません。そして自分の部下指導、
マネジメントに自信を失ってしまうことがあります。

もちろん、すべての社員の部下指導が上手になるとは言えません。ですから
プレーイングの仕事で組織貢献をするプロフェッショナルコースに自分の成
長する道を見出そうとする社員がいます。

経営者もその社員のためにプロフェッショナルコースを考えるようになります。
その成長シートには当然ながら、「部下指導」という重要業務は入っていません。
その代わりに一般職層よりも難易度を高めた重要業務が記載されることになります。

もちろんプレーヤーとして上げるその成果も、一般職層よりも高い必要がある
ことは経営者も重々知っています。ところが、多くの場合、期待成果の大きさが
「中堅職の成長シートよりも高い」というレベルにしてしまいます。

このままでは問題があります。たとえば、中堅職層の社員が3人の部下を持って
いれば、3人の部下の成長をさせることによって3倍の組織貢献をすることに
なるからです。

つまり、プロフェッショナルコースの社員はそれと同じだけの期待成果を成長
基準に持たなければなりません。仮に5,000万円の期待成果を上げる社員を3人
育て上げるということが中堅職のゴールであるとすれば、プロフェッショナル
コースの成長基準の5点はその3人分の期待成果、「1億5,000万円」がゴール
とならなければなりません。

もちろん簡単にクリアできる期待成果ではありません。しかし、中堅職層にステ
ップアップしたマネジメントコースとプロフェッショナルコースの社員の成長
シートの難易度を同じにしなければ、処遇を同じにすることはできません。
処遇を同じようにするためには、成長シートの難易度を統一することが必要なのです。

プロフェッショナルコースの社員は成長シートを見て、その難易度に「厳しい」
「難しい」と感じるかもしれません。しかし、それはマネジメントコースの社員
も同じです。部下を一人前に成長させることは、簡単なことではありません。

マネジメントとプロフェッショナル、両方のコースの成長シートを見て、「どち
らで成長するのもいばらの道だな」と社員が感じられなければ、不公平感が生ま
れてしまいます。処遇(昇給・賞与)を同じにするためにも、難易度を同じにする。
その点を肝に銘じて成長シートをつくってください。

   = この続きは、来月またお送りいたします。 =