社会保険労務士法人村松事務所

「お客様の言った通りに」は不正解。“顧客志向”の難しさ。

13.09.29
ビジネス【マーケティング】
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マーケティングの基本の一つは“顧客志向”です。 
マーケティング登場以前はもっぱら作る側の都合で、 
たまたまできた製品、作りたかったから作った製品を 
なんとか売ろうと努力していました。 

そこに、マーケティングが“顧客志向”をもたらしました。 

顧客の欲しいモノを作る、顧客が欲しいサービスを提供する。 
いまや多くの企業が、そんな風に考えてビジネスに
挑んでいます。 

ですが難しいのは、 
「顧客志向=お客様の言った通りにする」ではない、
ということです。
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本当に欲しいモノやサービスを、
顧客自身はうまく語れないのです。 
お客様に欲しいものを尋ね、 
アンケートを行ったりするのは有意義な行為です。 

しかし、顧客志向のビジネスの「解答」はそこにはありません。 
あるのは、せいぜいヒントです。 

よく言われるのが大ヒットしているiPhone。 
現在のスマートフォン・ブームの火付け役ともなった商品です。

しかし、iPhone登場以前に消費者にアンケートを取っても、 
けっしてiPhoneみたいな商品のニーズは出てきませんでした。 

企業の側が顧客のニーズを想像し、 
様々なヒントからアイディアを出して作り上げたのが、iPhoneというわけです。 

ハンバーガー業界でも、アンケートを取ると欲しい商品として、 
たいてい“サラダバーガー”みたいなものが上位に来るそうです。 
ところが、作ってもあまり売れない。 
むしろテキサスバーガーといったガッツリ系や、 
1,000円バーガーなど超デラックスなモノが売れたりします。 

あなたのビジネスに対する、 
顧客の不満やニーズを聞き出すことは重要です。 
しかし、そこで得られた情報に「答えるだけ」では、 
必ずしも顧客の満足は得られない。 

むしろ「なんだ。言ったことをやってきただけじゃないか!」と、 
不満を持たれかねません。 
iPhoneのようなビッグヒットに限らず、日々の業務においても、 
顧客からの要望に対して、少し何かを付け加えた提案、 
あるいは少し角度を変えた提案も必要だと思います。 

それは、「顧客自身も明言できない顧客のニーズを探り当てる行為」。 

難しくもありますが、 
そこができてこそ、多くの収益も見込めることになるでしょう。 


[プロフィール] 
佐藤 達郎(さとう・たつろう) 
多摩美術大学教授(広告論 / マーケティング論)、コミュニケーション・ラボ代表。2004年カンヌ国際広告祭日本代表審査員。浦和高校、一橋大学、アサツーDK、(青学MBA)、博報堂DYを経て、2011年4月より現職。著書に、『NOをYESにする力!』『アイデアの選び方』『自分を広告する技術』『教えて!カンヌ国際広告祭』がある。